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紅(くれない)  作者: はとたろ
第六章 接客
26/29

回想…

「永らく生きていると…時間の経過というものに酷く無関心になるものでね…もう…500年以上前になる…」



「真理は…当時マリアという名のヴァンパイアと人との間に生まれたダンピールだった」



ダンピール!! ヴァンパイアを滅ぼす力を持つという…



「古よりダンピールはヴァンパイアを滅ぼす運命にあると云われてヴァンパイア達から恐れられていた…


由緒正しき純血種のヴァンパイア、ゴードンは心から愛するエミリとの愛娘を守るため、マリアの成長を恐れて命を狙おうとする者達から身を隠して、森の奥深い屋敷に妻と配下の44人の騎士たちと共に暮らしていた


純血種の中でもとてつもない力を持つゴードンの娘の存在を恐れたヴァンパイア達は使い魔に命じて、森の近くに住んでいた村人たちに森の奥に住む魔物がお前たちを殺そうとしていると恐怖心を煽り、喉の渇きを癒すために村人達を襲ってはゴードンに殺されたとデマを吹き込んで家族を殺された村人たちの復讐心を焚きつけると明け方にゴードンの屋敷を襲わせた


当時のヴァンパイアは太陽が致命的であった為、不意をつかれたゴードン一家は騎士達もろとも村人たちに滅ばされた


生き残った数人の騎士達が命がけで幼かったマリアを守り国中を転々としながら彼女は美しく成長していった


父、ゴードンから「娘が二十歳になるまで守ってくれ…二十歳を過ぎればバンピールの能力を失い普通の人間に戻れるから」と託された遺言を守っていたが…


マリアが19になった時、ヴァンヘルシングの子孫がマリアの存在を知り、自分たちの下で立派なヴァンパイアハンターに育てたいからマリアを渡してくれないかと交渉してきたが誰もが首を縦に振らずハンターどもとの壮絶な戦いの末…騎士達は滅ぼされ散り散りになったんだ」



「独り取り残されたマリアは自分達を追い詰め死に追いやった者達へ復讐の炎を燃やし悪魔を召喚しようとしていた


ゴードンの友人だった僕がマリアを探し当てた時…床にペンタクルを描いていた彼女を見て交渉したんだ」


「きみの目的は…?」


「あなたは…悪魔なの? まだ召喚していないのに…」


「微妙な質問だな…僕はきみの父君の古くからの友人で大魔王だよ…召喚はされていないがね…」


「魂を引き換えにしてまでの復讐など…ゴードンは望んでいない…」


「じゃあ…村人に殺されたパパとママはどうなるの!! 優しかった騎士達は…私の…私の為に殺されたのよ…なのに何もするなって言うの?」


マリアは怒りをあらわに泣き叫ぶ


「私は許さない…あいつらを一人残らず滅ぼすまで…」


「そのことならね…」


「密告した下衆なヴァンパイアどもも村人達ももういない…みんな灰になったからね…」


「あなたが…?」


「ゴードンはいいやつだった…命がけできみを守ったんだよ」


「だが…あと1年で二十歳を迎えるまで…また奴らがきみの存在を嗅ぎつけない保証がない」


「…私はどうすればいいの…」


「ヴァンパイアに…ノスフェラトゥになればダンピールの気配もオーラも消えてなくなる」


「僕と契約をすれば魔女の力も与えてあげよう…ただし…きみの運命の相手が下界に生まれ変わった時…彼が目覚めるまで肌を重ねてはならない…

人間相手に純血を失えばきみはたちまちに力を失い永い眠りにつくことになる」



運命の相手…


マリアの顔色が変わる


「…そうか…見たところ乙女のようだが…まだ肌を許してはいないようだね…騎士のひとりか…」


「彼は散って逝ったわ…私を最後まで守ってくれた…」


「その男…下界に生まれ変わるだろう…きみを守っていた騎士達もね…」


「本当? あの人が人間として生まれてこられるの? 騎士の皆とまた会えるの? パパとママは?」


「ゴードンはすでに下界にいる…きみのママの生まれ変わりを探しているよ」


「騎士の何人かも下界にいる…僕の配下としてね…来るかい? 僕と共にノスフェラトゥとして下界に…」


「連れて行って…怖いものも失うものも何もない…また皆と会えるなら お願い、今すぐに私を連れて行って!」



「下界で生まれ変わりの相手と出逢った時…彼が完全に目覚めるまで純血を守るのを条件にマリアはノスフェラトゥになった…


愛する両親と騎士達と再会する為にね


下界に降りるとマリアは魔物の巣食う歌舞伎町を支配しながら妻を探していた父のゴードンと再会し共に母親と騎士達を探す為に真理と名乗り、Camelotのオーナーになったという訳さ…」



…まさか…その運命の相手って…



「きみだよ…央くん、 いいや、ルージュ侯爵…」



………俺……



――――――――







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