ゲッシュ 再び
どうしよう…どうしたらいいんだ…
Camelotに行ったら…真理に会ったら俺の気持を読まれちまう
好きだって…わかられたら……絶対に笑われる…最悪…避けられるかも…
いや、だからってこのまま逃げるわけにいかねえだろ 俺
姉さんが自分の気持ちから 逃げちゃだめだって言ってたじゃないか
出勤前…央は自分の恋心が真理にバレるのを恐れていたが腹をくくる
うじうじ悩むなんて俺らしくないぜ! バレたらバレただろう
笑いたければ笑えばいい…
央くん なんか思い悩んでるけど大丈夫かなぁ…
心配そうに見つめるぱんき子を抱きしめて
「行ってくるな、ぱんき子」すりすり…
央くん 大好き! ぱんき子はなにがあっても味方だよ
声は聞こえなないが何気に伝わっているぱんき子の想いに勇気づけられ央は自宅を後にした
「おはようございます」
いつも通りの時刻にメイクルームに入り鏡を見て入念にチェックする
「おはよう」
ドキッ…
背後から聞こえた真理の声に内心心臓が飛び跳ねるような気がした
ドクン ドクン…鼓動が…身体じゅうが心臓みてえに脈打ってやがる
冷静になれ 俺 いつも通りに挨拶するんだ さあ…!
「真理様 おはようございま……す…」
潤んだ瞳で央を見つめる真理はいつにも増して妖艶だ
ドキドキドキ…ヤバい…好きだ…俺は…この人が…好きだ!
「この間は…迷惑かけてごめんなさいね もう大丈夫だから」
央はバッと跪くと真理を見上げ呟いた
「ご迷惑かもしれませんが…辛い時は我慢なさらずに俺を役立ててください 俺、ぶっ倒れたりしませんから」
真理はキョトンと央を見つめるとコロコロと鈴のように笑いだす
「あはは、真剣な顔して何を言うのかと思えば…あっははは…」
真理は笑いながらかがむと央の両肩に手を置いて立たせようとしている
「ありがとう…その時はお願いするわ」
グイッ…!
肩に置かれた真理の美しい指に指を絡め強引に引き寄せると唇を重ねていた
やわらかくて…甘い香りがする…気が…遠くなりそうだぜ
舌を絡め真理のなかへと侵入すると真理は意外にもあっさり央を受け入れ情熱的に返してくれる
どのくらい時間が経ったのか…口づけを交わしたふたりは固く抱き合っていた
「甘くて美味しかった…」
え…
「あなたの血…病みつきになりそう…」
真理の犬歯が央のうなじに深く差し込まれ甘美な切なさと悦びが全身を支配していく
このまま…吸いつくされてしまいたい…この人が愛しくて頭がどうにかなりそうだ…
※Vampireは性的に長けているので血を吸われた相手は快感で失神してしまうことがあります
「そろそろ開店の時間だよ…」
司の声にギヨッとして央は我に帰る
「つ、司様っ すいません、お、俺は…」
この人、いつからいたんだよ…っか、見られてたのか…
「きみがメイクルームに入った時からずっといたよ♪」
にっこりして司は答える
「でも…真理をきみのイゾルデにするつもりなら…それ相応の覚悟はしてもらわないとね…」
覚悟……
「はい…覚悟は出来ております。 この命にかけて…」
央は真っ直ぐに司を見つめて言い放つ
司は微笑み央の肩をポンと軽く叩いた
「真の紅を垣間見たよ…目覚めるのに時間かかったけどね…」
「え…目覚めるって?」
「ふうん…つくづく天然くんだねえ…きみって子は…」
「まあいい…覚悟があるなら僕からきみに ゲッシュを課そう…」
ゲッシュ?
「今年中にナンバー1にならなければ…真理は魔界に帰す…」
ええっ!!!!
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