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紅(くれない)  作者: はとたろ
第六章 接客
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第十一章 転生

よお よお、こんなとこで寝てっと風邪ひくぞ 姉さん 」


「 やだ…私、寝ちゃってた… 」


「 なんかさ、ぱんき子が悲しそうじゃね? 」


央がお気に入りのぱんき子を抱っこしながら心配している


「 ほんとだ いつもよりなんか悲しそう…ぱんちゃん、どうしたの? 何も心配しなく

ていいのよ 」


雪ちゃん、央くん、光くんが…光くんがいなくなっちゃった

雪ちゃんを助けるために…いなくなっちゃったんだよ…


ぱんき子がいくら説明しても央と雪には聞こえない


「 俺が出かけて寂しかったのか よしよし、今夜は一緒に寝ようなぁ♪ な、ぱんき子


央くん…優しい央くん、大好きだよ


光くん…もし生まれ変われたら…幸せになれるといいね

央に抱きしめられながらぱんき子は跡形もなく消えてしまった光に思いを馳せた


翌日…出勤すると見慣れない男性がカウンターでグラスを磨いていた


「 おはようございます 」


央が挨拶すると男性は深々と頭を下げ丁寧に挨拶を返した


「 気が付かなくて すみません 藤本亮といいます 」


「 知り合いに紹介されてね チーフとして今夜から働いてもらうことになったのよ 」


「 真理様、おはようございます 了解です 」


「 山田央です 源氏名はトリスタン(笑)よろしくな 」


「 こちらのほうこそ よろしくお願いします 」


孤高の狼のような…悲し気な瞳のどこか陰のある亮は静かに微笑んだ


「 真理様、今夜は彩香様のバースデーなんですよっ 」


央はラッピングされた大きな箱を抱えて満面の笑み


「 央 まさ…か…その中身… 」


「 あ、わかっちゃいました? 彩香様、絶対に喜んでくださいますよ♪ 」


やっぱり…特大サイズのぬいぐるみ…よね

ブランドやアクセにいかないところがこの子らしいか…


「 あなたらしいわね 」


「 ひっでえ! 真理様、バカにしてるでしょ 」


「 そろそろ開店の時間よ… 」


「 はい 」


央は鏡を見て身なりを整えCamelotの扉へと歩いて行った

ランスロットから受け継いだ姫君たちを出迎えるため…


「 御機嫌よう…央くん 」


「 お待ちしておりました 彩香姫… 」

ベイビーピンクの薔薇のブーケと共に央は嬉しそうに大きな箱を差し出した


「 ありがとう 央 開けていいかしら? 」


「 もちろんです 」


美しくラッピングされた箱をあけると…おおきな白い鳩のぬいぐるみが入っていた


「 これは… 」


鳩の首には彩香の誕生石のアクアマリンが上質な煌めきを放っている


「 姫は鳩が大好きだとおっしゃっていらしたので今宵から姫をお守りするナイトです


「 私の誕生石のペンダント… ありがとう央 」


「 pigeonからの贈り物です 」


央はそう言うと鳩の首からペンダントを外し彩香に付けた

 

「 綺麗…こんな美しいアクアマリン初めて見るわ 」


綾香は鳩を抱きしめるともっちりとしたやわらかな抱き心地にうっとりしている


「 気持ちいい…この子、なんて気持ちいいの 」


「 姫に抱きしめられて嬉しそうだ よかったなpigeon お名前をつけてあげてくださいね 」


温かい微笑みを浮かべる央を見て彩香は一瞬、子供に帰ったような気がした

何も心配せず無邪気で幸せだった少女時代に…


この子の笑顔は作り物じゃない…どうしてこんな…まるで父親が娘にするような…とろけそうに優しい顔が出来るの

なんだかとても…心地いい


「 ええ、ええ お名前つけましょうね そうね…真っ白い天使みたいだからホワちゃん」


「 ホワイトのホワちゃんですね 素敵な名前だ…よかったな、ホワちゃん うんと可愛がっていただくんだぞ~ 」


根っからのぬいぐるみ好きだからこその心からの言葉だった


バックヤードで見ていた真理は央の天性の包容力と優しさに微笑んでいた


「 本人は気付いていないけれど…あの子には女性が心のどこかで求めている父性があるのよ 」


「 それに触れた女性はとても心地よく誰もが少女のように無垢になれる 」


「 そして…火が点いた時の情熱はとどまるところを知らない… 」




「 千人にひとり…というよりも 一生のうちに出会うか出会えないかの奇跡の騎士ですね 」


「 そうよ まさしくその通りだわ …天津光くん… 」


水割りを差し出す亮に真理は静かに呟いた


――――――――


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