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紅(くれない)  作者: はとたろ
第一章 拾い物
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第一章 拾いもの

姉の復讐のため、ホストクラブに潜り込みナンバーワンの光に沈められそうだった客を救おうとして

光に折檻されていた央を見かけ、歌舞伎町を取り仕切り誰もがひれ伏す闇の女王真理は濡れた子犬を拾うように央に救いの手を差し伸べた

眠らない街 歌舞伎町


「おらおら!」


ガツ! ドスッ!!


18歳の山田央はホストクラブ「Blue Castle」のナンバーワン、天津光とその配下5人に

スタッフルームで囲まれボコられていた


殴られ蹴られ全身ぼろぼろにされた央は光に髪を掴まれ威嚇される


「店のルールは知ってるよな…なんで俺の客に手ぇ出した?ええ?」


折れた歯を吐き出し央はギラついた眼差しで光を睨んだ


「なんだぁ?その目はぁぁ…」


「じゃ…ない…」


「ああ? 何言ってんだ? 聞こえねぇんだよ!!」


「手を…出したんじゃ…ない…助けたかった…んだ」


はっはっは~


「ほぉぉぉ~ヒーローか何かのつもりかよ、え? 王子様…」


光の拳が顔面めがけて飛んでくる瞬間…


ガシッ!


「いってぇ…何しやがんだ、てめ…」


「…それくらいにしておいたら?」


光の手首を掴み腕を折れんばかりにひねりながら歌舞伎町を取り仕切る真理は

冷めた瞳で長い髪をなびかせながら無表情に光の腕を捻じ曲げている


ググググ……


「……つっ…!」


痛みで声も出せずに脂汗が額に滲む


「どうする?折ってもいいんだけど…」


「ま、真理さま、やめて…くれ…」


「この店じゃ年端もいかない子にヤンキーみたいな折檻するのね…しかも代表が」


「お、俺はただ、こいつがルール違反したから…」


「だから…?」


腕を掴んでいる真理の眼差しがみるみる怒りで色を変えていく

身の危険を感じた光は真理の手を振り払おうとするがもの凄い力で抑え込まれてびくともしない


「無駄よ…」


真理は顔色ひとつ変えずにジタバタともがいている光をにやにやしながら冷酷に見つめている


「は、放してくれ…」


「真理さま、うちの代表がお見苦しいところをお見せして申し訳ございません」


「オーナー!!! 助けてくださいよっ」


オーナーの司は光に歩み寄ると乱れた髪を直してやりひと言…


「貴様は今日で首だ…」


光の顔がみるみる青ざめる


「真理様、私の監督不行き届きです。お許しください」


跪いて頭をたれながら司は真理に敬意を表した


マイナス100℃の眼差しで光を見下しながら真理は掴んでいた腕を解放した


「こんな人間にナンバーワンをはらせているようじゃ…店の品性を疑うわね」


「とっとと放り出せ、二度と俺の前に現れるな!」


光の配下たちを叱咤すると司は央に手を貸し立たせようとする


その手を振り払い央はよろよろと立ち上がると真理に頭を下げた


「助けてくださってありがとうございます…」


「あら?助けたのはあなたのほうでしょ」


「え…」


「あのヤンキーに沈められそうになった女の子」


央は唇を噛み怒りに身体を震わせている


「許せないんだ…俺の姉はホストに騙されてボロボロになって…貢いで貢いで…自殺したんだよ!」


「それがヤンキー男ってわけ?」


「あいつにどうしても思い知らせてやりたくて…姉さんに謝ってほしくて」


「無理ね…」


突き放すように真理に言われ央は言葉を飲み込んだ


「なら…歌舞伎の誰もがひれ伏す最高の騎士(ナイト)になりなさい」


なに言ってんだ、こいつ…騎士ってなんなんだよ


真理はくすくす笑うと央の顎をくいっと持ち上げ顔を見つめる


「ふぅん…悪くないわね…あなたの中には女が欲しがる気高さと優しさ…真の(くれない)が宿っているわ」


「ホストに狂う女たちは誰もが特別な優しさを求めているの、でも下衆な奴らばかりで

紳士や騎士にはなりきれず客から吸い上げることしか頭にない」


真理は華奢な長い指をスッと差し出し


「うちにいらっしゃい…あなたのお姉さまを沈めたヤンキーに復讐したいでしょう」


「ああ…あいつに復讐できるなら…何だってやる」


「ならその前に手当しないとね…」


秋風が心地いい十月の夜…眠らぬ街、歌舞伎町でずぶ濡れの子犬のような央はこうして

歌舞伎町の女王、真理に拾われた



to be continued









魔物が住み着く不夜城に女性が求める真の(くれない)を持つ最強の騎士(ナイト)が現れた

一度描いて見たかったホストと私の好きなテーマをどう絡めていくか楽しみながら描いていきたいと思います

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