「第88話 - 分身軍団の猛攻」
アキトは分身を3体生み出し、4人の戦力で気ゴブリンに立ち向かうことにした。
(4人いるし、ひとまず攻撃してみるか)
彼は心の中で呟く。分身たちはかなりスムーズに動いてくれる。思った通りに動いてくれるし、別に指示をしなくてもいい感じに動いてくれる感じがする。
とりあえず、まんべんなく相手の気ゴブリン共に向けて攻撃を仕掛けることにした。
「「「「念力魔法矢マシンガン!」」」」
アキトと分身たちが一斉に叫ぶ。一人ひとりが毎秒2~3本の矢を放ち、それが『矢をたくさん打てるスキル』と『魔法がチョットだけ大きくなるスキル』で増えて強化されている。
矢に込められた魔法が次々に炸裂しているように見えるが......相手のもとにまで攻撃が届いていない。気の攻撃が矢の魔法を途中で起動させてしまうのだ。
「うーん。埒が明かない。そこの俺、氷河の矢で上から狙ってみろ」
アキトは分身に指示を出す。氷河の矢をゴブリンたちの直上で炸裂させて、氷塊を上から落とすようにするのだ。
10メートル四方の氷塊が毎秒凄まじい数で上から落ちてくるという凄まじい光景が眼前に広がる。
「ダメか。当たる前に砕かれてる。むしろ狙いづらくもなってきた。『気を使えるようになるスキル』の性能おかしすぎるだろ」
アキトは舌打ちする。相性の問題もあるのかもしれない。このままだと矢が尽きた時点で負ける気がしてきた。
(そうだ。こいつ、ゴブリンの王っぽい見た目してるよな?)
アキトは閃いた。周辺のゴブリンから狙っていったら、気ゴブリンがかばうんじゃないだろうか。
彼は分身2体で気ゴブリン共に対する攻撃を維持しながら、分身2体で周辺のゴブリン共を片っ端から攻撃していく。
「ガアアア!!!!!」
分身気ゴブリンは絶叫しながら、周辺のゴブリンをかばいに動く。
どうにか攻撃で抑え込もうとしたが、両翼から1匹ずつ、分身気ゴブリンが飛び出し、アキトの分身を追いかけていく。
アキトが発射した矢を気の攻撃で爆破し被害を抑えようとするが、焼け石に水の状態だ。
円状のゴブリンの集落。そこには数千匹の生き残りのゴブリンたちが潜んでいる。
俺の分身たちは時計の秒針のように、徹底的にすべてのエリアをなぞるように爆撃していく。時計回り・反時計回りにエリアを移動していく分身によって、ゴブリンの集落が少しずつ着実に焦土と化していく。
炎爆の矢、雷撃の矢、烈風の矢を中心とした攻撃系の矢によって、ゴブリンの集落が燃え上がっている。
暗い煙によって、真昼にもかかわらず、夜のような暗さになり、家だった残骸が燃え続けている。
緑樹の矢によって撒き散らされた蔓が瓦礫の間に潜り込み、生き残りのゴブリンの命を容赦なく消していく。
どうにか魔法から生き残ったゴブリンたちを、氷河の矢による上空からの氷塊による大質量攻撃が叩き潰す。
「すまんな。分身も増えていくんだ」
アキトは呟く。ゴブリンたちの命が消えるたびにレベルが上がっていき、MPの上限が上昇していく。同時に回復したMPで分身が作られ、ゴブリン討伐に参戦していくため、集落に潜むゴブリンたちは加速度的に数を減らしていく。
数分、時間が経過した。
「打ちかた、やめ」
2体の分身に、アキトは矢の発射の停止を命じた。
冒険者カード
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プレイヤーランク ★★
プレイヤーレベル 24→42
次のレベルまで 4415
累積経験値 8653→49348
ステータス 0
HP 141
MP 2/49 → 4/170
スキル 0
『スキルのことがよく分かるスキル』 -
『矢をたくさん打てるスキル』 ★
『魔法がチョットだけ大きくなるスキル』 ★
『火魔法スキル』 ★
『ステータスを偽装するスキル』 -
『肉体の損傷を再生するスキル』 ★★
『念力が使えるスキル』 ★★
『分身を作るスキル』 ★★
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スキルを使い続けた気ゴブリンたちは、疲労のあまり膝をついている。集落はアキトの魔法矢による攻撃によって焼き尽くされ、彼ら以外に生き残っているゴブリンはいなくなってしまった。
その周囲を20体前後のアキトの分身が取り囲んでいた。
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