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スキルホルダーになったので、ダンジョンで無双します!  作者: よだれどり星人
1章 『スキルのことがよく分かるスキル』
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「第82話 - 破壊の嵐」

「なんか物騒なもの持ってんなぁ!」


アキトは叫ぶ。

ベコベコの金属バットのような武器を背負ったゴブリンが、廃墟になりかけた店の入口に立っている。


彼は躊躇なく、烈風の矢を投げつける。

普通にバラバラに切り刻まれ、ゴブリンは灰になった。


(一体どんなスキル持ってたんだろうな)


ベコベコの金属バットのような武器を蹴り飛ばしながら、アキトは首をかしげる。


『スキルのことがよく分かるスキル』の反応を見るに、どんどん戦闘スキルを持ったゴブリンが集まってきている。


「真正面から戦ってもいいことないもんな」


彼は舌打ちする。

ホルダーの矢を鷲掴みにして、火魔法を込める。


「いい感じに広がってくれ」


火魔法によって入口から発射された矢は、通りに沿って左右に分かれ、その先で魔法を発動させていく。


「火力は十分だ。防御系のスキルを持ってるやつばかりでもないから、適当にバラまけば数は減ってくれるな」


アキトは呟く。


裏口に向かう道に烈風の矢を投げつけて、建物ごと吹き飛ばす。


「とりあえず逃げるか」


彼は建物と建物の間に挟まれた道を走っていく。


ゴブリンたちが築いた街並みを見ながら、アキトは感心する。


「ゴブリンの癖に、そこそこ文化的な暮らしをしてやがるなぁ」


そんな彼の脳裏に、ある考えが浮かぶ。


「そうだ!いいこと思いついた」


全然いいことではないかもしれないが、やってみたくなったのだ。


(こんな脆そうな建物に向かって、混合魔法を放ったら、突き抜けていって、並んでる建物全部が崩れるんじゃないか?)


アキトは期待に胸を膨らませる。


「ものは試しだ。やってみよう」


彼は炎爆の矢、雷撃の矢、そして緑樹の矢を掴む。


(なんか、でも、建物を崩すなら、緑樹の矢じゃなくて烈風の矢のほうが面白そうだな)


アキトは考えを改める。


「さぁ、飛んでいけ!」


彼は叫ぶと、『火魔法スキル』で矢を発射した。


凄まじい威力の混合魔法が、ゴブリンの住処に襲いかかる。

炎爆の矢が建物を焼き尽くし、雷撃の矢が電撃を走らせる。

そして、烈風の矢が容赦なく建物を切り裂いていく。


まるで、支配者の手によって街が破壊されるかのようだ。

建物が次々と倒壊し、崩れ落ちていく。

轟音が連鎖するように響き渡り、土煙が空高く舞い上がる。


ゴブリンたちの悲鳴が、破壊の嵐に飲み込まれていく。

逃げ惑う彼らの姿が、瓦礫の山に埋もれていった。


「おお......気持ちいいな......」


アキトは呟く。


『スキルのことがよく分かるスキル』で、スキルの反応がプチプチと消えていくのがわかった。


同時に、通りの後ろからゴブリンが追いかけてきているのを感じる。


「そうだ、マズいマズい。逃げないと」


アキトは慌てて、氷河の矢で氷塊を作って道を塞ぐ。


10mの氷塊を作ったら、場所がバレバレなので、『魔法がチョットだけ大きくなるスキル』をオフにして小さめにしておいた。


「ったく、しつこい野郎らだ。追いかけられるだけってのも楽しくないな。なんか気配を消す系のスキルを持ったやついないかな?」


アキトは舌打ちしながら、『スキルのことがよく分かるスキル』で周囲を探索する。

だが、そんなスキルを持ったゴブリンは見当たらない。


「待て。最初にレーダー系の奴らは一通り殺したはずなのに、なんで俺は追われているんだ?奴らはなんで俺の場所がわかる?」


アキトは疑問を感じる。

ゴブリンたちは、まるで彼の居場所を正確に把握しているかのように、追跡してくるのだ。


『スキルのことがよく分かるスキル』で、追ってくるゴブリンたちのスキルを観察する。


「スキルの位置を見るに、視覚で追ってるような動きじゃないんだよな。どちらで曲がるか全然悩んでない」


アキトは首をかしげる。

ゴブリンたちの動きは、視覚情報だけでは説明がつかない。


彼は改めて、追ってくる奴らのスキルを確認する。


「あ、そういうことか。臭いでバレてたのか」


アキトは合点がいく。

ゴブリンたちは、彼の臭いを嗅ぎ分けているのだ。


「臭いに限らず音とかもあるのか。そう考えると、かなり距離が離れていても場所がわかる索敵系の敵を全滅させても、集落の中に入り込む以上、あんまり意味はなかったのか」


彼は溜息をつく。

街に侵入した時点で、気配を消すのは難しかったのかもしれない。


「それに、臭いがわかる系のゴブリン、数がおおいな」


アキトは眉をひそめる。

半径100メートル圏内だけでも、10匹以上のゴブリンが臭いを嗅ぎ分けているのだ。


「そう考えると、全部倒すというのも現実的じゃないな」


彼は作戦を練り直す必要性を感じていた。まぁ作戦なんてないようなものだが。


その時、アキトは強い反応を感知する。


「おっと、強い反応!気をつけないと」


裏通りから大通りに抜け出すと、左手に強い反応をもったゴブリンがまとまっていた。


「まぁ派手に殺すか......ガッ!!!」


次の瞬間、信じられない光景が彼の目に飛び込んでくる。


アキトの右足が、腐り落ちたのだ。


「うわあああああ!!!」


彼は絶叫する。

激痛が全身を駆け巡り、思考が麻痺していく。


『肉体の損傷を再生するスキル』がフル回転し、足が生え変わっていくが、激痛が思考を阻害する。


(嘘だ!嘘だろ!何が起きたっていうんだ!)


アキトは混乱し、恐怖に襲われる。


「に、逃げ、逃げないと!」


彼は必死で身体を動かそうとするが、まるでピクリとも動かない。


(か、体が全く動かせない!何が起きている!?)


アキトは焦燥感に駆られる。


『スキルのことがよく分かるスキル』で反応したスキルを確認する。


「『念力が使えるスキル』と『呪いを送るスキル』!?ふざけやがって!」


アキトは愕然とする。

まさか、そんな強力なスキルを持ったゴブリンがいるとは。


全身に力を込めるも、全周囲から普段の10倍の重力がかけられているような力に、アキトは身動きが取れない。


反応がするほうに視線をやって、彼は気づく。

大柄なゴブリン2体が構えて、何かの準備をしている姿がそこにあった。


「『気を使えるようになるスキル』......!都市の中央部で『分身を作るスキル』と一緒にいる一番反応が強いやつ!しかもこいつら......分身!?」


アキトは信じがたい事実に直面する。

最強クラスのスキルを持ったゴブリンが、2匹になって彼を狙っているのだ。


そのゴブリンたちがボソリと呟いた。


「「グゥワァ・ジガドゥーン!」」


何かゴブリン語で必殺技の名前を唱えているようだ。構えから流れるように拳がこちらに突き出される。


次の瞬間、大気が揺れるのがアキトの目に見えた。

スローモーションになった世界で、肋骨が折れ、内臓に刺さり、鼓膜が破れ、首が折れる感覚がした。


技の発射と同時に念力の支配から開放されたが、アキトは後方に数十メートルも吹き飛ばされていく。


「ぐはっ!!」


アキトは地面を転がりながら、鮮血を吐く。

全身が痛みに痺れ、意識が朦朧としていく。


(マズい......このままじゃ、死ぬ......!今までの人生で一番死に近づいてるって......!)


彼は痛みに震えながら、なんとか這い上がろうとする。

体がすごい勢いで再生していくが、折れた骨が内臓を貫き、まだ、立ち上がれない。


(すごい勢いで回復しているのは間違いない......だが時間がかかってしまう!そんな時間は......)


『スキルのことがよく分かるスキル』でゴブリンたちが近づいてきているのを感じていた。死が少しずつ、アキトの方に近づいてきていた。



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