「第8話 - 美食と共に」
サウナを堪能した後、アキトは施設内のお食事処に向かった。高い天井と広々とした空間に、100席以上の席が並ぶ。豊富な食事メニューを見て、彼は思わず目を輝かせた。
「スキルオーブを手に入れたし、奮発してしまおうかな」
アキトは上天ざるそばと焼きいかを注文した。どうしてもイカが食べたかったのだ。注文を済ませると、商品が完成したら呼び出す通知用の発信機を受け取る。
席に着いたアキトは、『スキルのことがよく分かるスキル』について考えを巡らせていた。
「人のスキルを覗き見れるだけじゃなくて、スキルオーブの探索にも使えるなんて...便利なスキルだなぁ」
「でも、そんなにレアなスキルなのかな?」
彼は首をかしげた。スキルオーブを探すスキルを持っている人は、意外と多いのではないだろうか。日本人というだけで1億人以上いるんだぞ?
「でも実際、観光ダンジョンをちょっと歩いただけでスキルオーブが見つかったしなぁ。どう考えればいいのか。運の良さは間違いなくあるだろうけど」
そんな時、料理の完成を知らせる通知が鳴った。アキトは喜びながら料理を受け取り、席に持っていく。
そばを豪快に啜る。美味い。ダンジョン内を歩いて、監視員の目を盗んで奥に潜っていくのは正直疲れた。精神的に疲れた。そして、更にサウナで老廃物を排出して、体をもうカラカラだ。
そばの香りとつゆのみずみずしさが染み入るように感じられた。もう、幸せ......
「...調べてみたけど、スキルを見つけるみたいなスキルは出てこないな」
そばを食べ終わったアキトは、焼きイカをつまみながらスマートフォンで情報を探っていた。強い冒険者が持つ強力な戦闘スキルは知られているが、それ以外のスキルについてはあまり公開されていないようだ。
「この前店で見かけた冒険者も、『どんな攻撃でも受け止められる盾のスキル』で有名な人だよな。★3つとかじゃなかったか?他にもスキルを持ってたけど、他のスキルは特に書かれてないしな」
まぁ『腐肉を食べられるスキル』を持っていたとしてメディアに公開するかと言われたらしないと思うが。
アキトはいかを噛み締めながら、その旨味を感じつつ、ぼんやりと考え込んでいた。自分の持つスキルの希少性について、彼の興味は尽きない。
美味しい料理を堪能し、満足感に浸るアキト。彼は電車に揺られながら家路につく。車窓から見える景色を眺めつつ、彼はポーチに大切にしまっているスキルオーブについて思いを馳せていた。
「オーブを使えば、どんなスキルが手に入るんだろうな...」
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