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スキルホルダーになったので、ダンジョンで無双します!  作者: よだれどり星人
1章 『スキルのことがよく分かるスキル』
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「第75話 - 恐怖なき敵」

アキトとレイは、2層のダンジョンを探索していた。この層は、初心者向けの1層とは異なり、強力なスキルを持つモンスターが生息している。というかゴブリン自体、体感5倍強い。


「まぁ『スキルのことがよく分かるスキル』のお陰で、エリアにどんな敵がいるのかは大体わかってるしなぁ」


アキトは自分のスキルに感謝しつつ、周囲を警戒する。


「レイ、さっき俺より早く接近に気づかなかった?」


「私はほら、上」


レイが指差す方向を見上げると、そこには不思議な光景が広がっていた。


「なんか火の鳥が飛んでる?」


アキトは目を疑う。空を舞う炎の鳥。それは、まるで生きているかのようだ。


「あれに監視させてる。敵の接近とか、エリアの状況とか」


レイは淡々と説明する。


「へぇ、便利だな。でもMP消費がさすがに激しそうだ。もう少しMPが増えたら試してみたいな......」


アキトは感心しながらも、自分のMPの少なさを嘆く。


二人は近くの1000匹クラスのゴブリンの集落を狙うことにした。


「うーん......なんかヤバいスキル持ちがいるっぽい。『恐怖を無くすスキル』だって。どう思う?俺のスキルはヤバいって言ってる」


アキトは『スキルのことがよく分かるスキル』で得た情報を伝える。


「あ、それは結構ヤバいことになるかもね。ゴブリンって自分より強い相手から逃げるのが普通だから」


レイは真剣な表情で告げる。


「確かに。1000匹いても100蹴散らせば、もう散り散りって感じだよな」


アキトは頷く。通常なら、ゴブリンは圧倒的な力の前に逃走を選ぶはずだ。


「そのスキルの効果があると、1000匹すべてが、死を恐れずに特攻してくるかもしれない」


レイの言葉に、アキトは戦慄する。


「1匹5として、5000経験値はありがたいな。じゃあやろう!最悪レイがいるし、大丈夫でしょ!」


アキトはどこまでも楽観的だった。


「言っておくけど、自分の命は自分で守ってよ。いざというときに助けられるとも限らない」


「......そうなの?」


俺を守りに来てくれたんじゃなかったのか?


「そりゃ私がいるからいつもよりは数倍、いえ、数十倍安全よ」


「言ってくれるね」


でも、それくらい言えるだけの実力があるのは間違いない。この人は今の俺くらいなら全然瞬殺できる。


「さっきのスキルの効果の話......どんなモンスターのスキルでもわかるのかって話と似てるわね。スキルなんてものがある以上、何が起こるかなんて想像もつかないし、守りきれるとも限らない」


「早いうちに自衛手段を確保しないと最悪死ぬわよ」


「......ああ。わかった。別に死んでも自己責任だってことはわかってる。引き続きよろしく頼むよ」


「ええ、よろしく」


言われてちょっと不安になったので、スーパーバリアの矢の効果は切らさないようにしようと思った。


さぁ、切り替えてお楽しみの時間だ。


「試してみたかったんだよ。これ」


アキトは氷河の矢に火魔法をくっつけていく。


氷河の矢はモンスターに刺さると、それを凍らせるが、何か物にぶつかると、ぶつかった瞬間に氷塊になる。その氷塊が『魔法がチョットだけ大きくなるスキル』の効果もあって、10メートル四方と結構大きいのだ。


「氷塊、敵の拠点に直接落としたいよな......位置エネルギーを存分に活用したい。そういう作戦だ」


作戦と言ったものの、やりたいことをやっているだけである。


アキトは意気込みを見せる。


「では3本束ねて発射!」


コンパウンドボウで放たれた氷河の矢は200メートル先の集落の上空にまで飛んでいく。ちょっと火魔法で飛距離も伸ばしている。


彼らの陣地の頭上にまで矢が到達したタイミングで、アキトは火魔法を解放する。


火魔法の爆発の振動で、氷河の矢が氷塊になる。巨大な氷塊が『矢をたくさん打てるスキル』の効果で都合9個、ゴブリンの拠点に落下した。


轟音と共に、大地が揺れる。砂埃が舞い上がり、広がっていく様子が見える。


氷塊の直撃を受けたゴブリンたちは、無残にも押しつぶされた。悲鳴を上げる間もなく即死したことが『スキルのことがよく分かるスキル』で探知できた。


「100......いや、150は潰れた。これはいいな!」


アキトは手応えを感じる。


「貸して」


レイが氷河の矢を手に取る。そうすると、彼女はそのまま『紅蓮魔法スキル』を起動し、その力で矢を発射した。


同様に集落直上で魔法が発動し、氷塊が落下する。


「弓でいちいち射る必要はないわよ。まとめて4~5本ならできるでしょ?そのほうが狙いも分散させられるし、効率的よ」


レイはアドバイスする。


「なんて残酷なことを思いつくんだ......」


アキトは震え上がる。


「あなたに言われたくないわよ!やるならさっさとやりなさい!敵が来るわよ」


レイに促され、アキトは矢のホルダーから氷河の矢をごそっと取り出す。


4~5本ずつ、『火魔法スキル』で矢を放つ。


「あ〜頭がチカチカする!......MP消費はファイアアローと同じくらいか。なんかもったいない気もするけど、確かに効率的に潰せるなぁ」


4~5本のつもりが、4~5本飛ばすと15本くらいに増えるので、頭がこんがらがって大変だった。レイ、ナイスアイディア。


「うん。弓よりも直感的に『スキルのことがよく分かるスキル』で把握している密集地帯に落とせるから、弓で射るよりも遥かに効率がいいな」


アキトはやり方の有効性を実感する。


「コンパウンドボウ、そこそこ高かったんだけどな......まぁ、それよりいい弓を手に入れたと思いましょう」


彼は苦笑する。


「......来てる結局。あのスキル、集落全体に効いてたみたい。最悪シナリオね」


レイが前方を指差す。


『恐怖を無くすスキル』を持ったゴブリンを避けて攻撃した結果、生き残っている500程度のゴブリンが怒涛の勢いでこちらに押し寄せていた。


「存分に戦おうじゃないか」


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