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スキルホルダーになったので、ダンジョンで無双します!  作者: よだれどり星人
1章 『スキルのことがよく分かるスキル』
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「第74話 - 魔法の瞬発力」

「何を使えばいいかとっさに判断するのは練習が必要でしょ」


アキトは自分の未熟さを自覚する。魔法の発動方法は理解していても、実戦で使いこなすには課題が多い。


「敵の攻撃を避ける技として私は使っているけど、その使い方は反射的に使えるようになってこそできるようになるものよね」


レイは経験に裏打ちされた意見を述べる。


「発動方法は理解しているけれど、瞬時に起動するには練習が必要......そうじゃない」


「そうだと思います」


彼女の言葉に、アキトは頷く。


「あ、ゴブリンだ」


前方に、ゴブリンの姿が見える。


「『ファイア・アロー』!」


アキトは咄嗟に魔法を放つ。炎の矢が、ゴブリンに向かって飛んでいく。


『矢をたくさん打てるスキル』の効果で3本に分裂し、『魔法がチョットだけ大きくなるスキル』で威力も強化されている。


ほとんど消費MPは無視できる程度だが、1層のゴブリンは瞬殺だ。


「適当に片付けて2層に向かいましょう」


アキトは足早にダンジョンを進む。


「丁寧語はやめていいわよ。いざというときに言葉遣いで死ぬのも馬鹿らしいでしょ?」


突然、レイが言う。


「教えを請う立場でしたし、申し訳ないんですが、そうおっしゃるのであれば......」


アキトは申し訳なさそうに言う。


「わかったよ」


「それでいいわ」


2層に到着すると、前と同じように草原が広がっていた。


「出口が前と違うな」


アキトが疑問を口に出す。


「定期的、ほとんど毎日だけど、出口が変わるわ。その階層に人がいる間は変わらないけど」


レイが説明する。


「2層にも普通人はいるものなのか?前はいなかったが」


アキトは疑問を感じる。1層は初心者冒険者で賑わっていたのに、2層は人気がないようだ。


「他のダンジョンだったらいるわよ。ワクワクダンジョンの場合、1層は初心者向けだけど、2層はねぇ......超・異能系スキル持ちがいるから、人気がないのよ」


レイの言葉に、アキトは身構える。


「気づかれたわね。北東方向20匹」


レイが敵の気配に気づく。


「ちょうど話を聞きたかったのに。敵かよ」


アキトは残念そうに言う。


彼は『スキルのことがよく分かるスキル』を起動する。


(20匹のゴブリンがこちらに向かってきている。『敵の臭いを嗅ぎ分けるスキル』持ちがいるな)


アキトはゴブリンのスキルを分析する。


「あとは、『水のバリアを張るスキル』『短時間だけ足が速くなるスキル』『敵の防御力を少し下げるスキル』『毒の吹き矢を放つスキル』『小さな罠を仕掛けるスキル』......あんまり強いのはいなそうだ」


彼は安堵の息をつく。


「『敵の臭いを嗅ぎ分けるスキル』をもってる奴に気づかれたっぽい」


アキトが呟くと、次の瞬間、信じられない光景が広がった。


レイが目を見開いたと思ったら、すべてのゴブリンの気配が消えた。


というか眼の前で全て一瞬で焼け焦げて死んだ。


「そういうの......わかるの?」


レイが驚いたように尋ねる。


「わ、わかる......」


レイが驚いている一方で、アキトもレイの魔法の威力に圧倒されていた。


「今、ゴブリンに何をしたんだ?」


アキトが尋ねる。


「ゴブリンのスキルがわかるの?」


レイも質問を投げかける。


「「今なんて?」」


二人の会話は噛み合っていない。


「話が噛み合わない」


アキトが呟く。


「お互い1つずつ質問するのはどうだ?」


彼は提案する。


レイが怒りか、衝動か、何かを抑え込むように手をワナワナさせて、言う。


「いいわ。なら5個先に聞きなさい。質問は?」


「ゴブリンに何をした?」


アキトが尋ねる。


「直接燃やした」


レイは即答する。


「前に見た紅蓮魔法:マグマキューブみたいに、何か熱いものを当てたわけじゃなかったように見えたぞ?」


アキトが疑問を投げかける。


「それは正しい。燃えたという結果を生じさせた」


レイの言葉に、アキトは驚愕する。


「......そんなことができるのか?」


「できる」


レイは淡々と告げる。


「『火魔法スキル』を持ってるけど、技を見たあともまだ俺にはできる気がしない。ただ、燃やしているだけじゃないように思える......その......一般的な魔法っていう枠から外れていないか?」


アキトは自分の知識と照らし合わせて尋ねる。あくまで『火魔法スキル』でできることはMPを燃焼させる、あるいは燃焼する物質に転換し、それを操作することだった。


「確かに外れてる。スキルツリー理論における基本分類で『紅蓮魔法スキル』は魔法系スキルに分類されるけど、今の攻撃は特殊分類において結末操作系スキルにも該当する」


レイは詳しく説明する......が、アキトには何もわからない。アキトは不勉強だった。


「......結末操作系スキルとは?」


「行為の結果を操作し、因果を超えて結果自体を生じさせるスキルのこと。『紅蓮魔法スキル』を発動した結果、ゴブリンが燃えたという結果を生じさせた。もちろん、消費MPはこちらのほうが大きい」


レイの言葉に、アキトは考え込む。


「なら......」


「5個答えたわ。次は私の番。どんな個体のスキルでもわかるの?」


レイが質問する。


......ダメだ。全然情報をとれなかった。こいつ、めちゃくちゃ頭がいいんじゃないか?金森とも全然やりあえそうな陰湿さを感じる......


金森レベルの女2人に目をつけられていることの恐ろしさに、このときの俺はまだ全く気づいていなかった。


「そんな、悩むような質問じゃないでしょ?どんな個体のスキルでもわかるの?」


「......わかると思うが、証明はできないよな。すべてのモンスターに対して試したわけじゃない。そういえば『ステータスを偽装するスキル』でスキルが偽装されていることには気づけたか」


アキトは思い出しながら答える。


「......どの範囲・距離の個体のスキルがわかる?」


「あー、正確なところはわからん。2層全体くらいなら全然わかるんだが、スキル名は一つ一つ確認してるんだ。金森さんとか、近くにいてもスキルが多すぎて、把握する、わかるのに時間がかかるだろうな」


アキトは正直に告げる。そういや、スクリーニングできるようになってたな。金森さんにも試してみるか......後が怖そう。やめやめ。


「スキルが何をできるかはわかる?」


レイが更に質問を重ねる。


「いや、スキル名からの推測にすぎない。『スキルのことがよく分かるスキル』的に、それは『わかる』ではなく、『知る』に該当する話なんだと思う。だって、それはスキルではなくて、個体のスキルへの熟練度に左右されるからな」


アキトは自分の考えを述べる。


「......スキルオーブには獲得条件がある?」


レイの質問に、アキトは一瞬躊躇う。


「......ある」


「あなたは......それが......」


「......わかる」


アキトの告白に、レイは後ろに倒れ込んだ。


「そんな倒れ込むような話か?」


アキトは驚きを隠せない。


「そう思うんだ?」


レイが問い返す。


「だって......スキルオーブを2~3手に入れたところで、レイ、あんたを倒せるとは到底思えない。一つ強いスキルを授かるほうがよっぽど使い勝手がいいんじゃないか?」


アキトは率直な意見を述べる。


「すごい、すごいバカがいる......」


(......そうだね。そうかもしれない。まだ、アキト、あなたに同行してわずか10分だった。そうだった)


多分、内心と言葉が入れ替わってるな......


「大丈夫か?キャラが壊れてないか?」


アキトは心配そうに尋ねる。


「で、アキト、2層でどんなことしてた?」


レイが話題を変える。


「1000匹クラスの集落を適当に襲撃してた。破壊したり、焼いたり、罠にかけたり......今日もそのつもりで」


アキトは正直に答える。


「わかった。やろうか。私も手伝う」


レイは力強く告げた。


こうして、二人の2層探索が始まった。


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