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スキルホルダーになったので、ダンジョンで無双します!  作者: よだれどり星人
1章 『スキルのことがよく分かるスキル』
72/92

「第72話 - 謎は増えるばかり」

「制限されて、あれかよ。★3は格が違うな...何をされたのかすらわからなかった」


アキトは呆然と呟く。レイとの戦いで、彼は圧倒的な力の差を思い知らされたのだ。


「うーん。多分、スキル自体の汎用性が高すぎるんだよな。★2のスキルを複数使われているようなもんだった」


彼は戦いを分析する。レイの『紅蓮魔法スキル』は、複数のスキルを使いこなしているかのような多彩さを見せていた。


少なくとも、魔法生物を召喚する、高速で移動する、スーパーバリアをぶち抜くほどの何らかの攻撃が行われていた。


(『スキルのことがよく分かるスキル』で、レイのステータスを確認しよう)


アキトは自分のスキルを使い、レイの情報を読み取る。


-------------------

プレイヤーランク ★★★

プレイヤーレベル 83

 次のレベルまで 141,662

 累積経験値 2,583,759

ステータス

 HP 182

 MP 2,746

スキル

『紅蓮魔法スキル』 ★★★

-------------------


(ステータスは前見せてもらった数字を思い出している。やっぱりスキルは1つだけ。金森さんなんかは無数のスキルを持っていたけど、レイさんは1つだけなんだよな)


アキトは首をかしげる。レイのスキルは1つだけだが、その性能は桁違いだ。


「『スキルのことがよく分かるスキル』さん、『ステータスを偽装するスキル』さん、これって偽造されてない?」


彼は自分のスキルに問いかける。するとスキルが首を横に振るような感じがした。


(偽装されていないってことか)


アキトは確信する。レイの力は、先程の力は『紅蓮魔法スキル』一つから派生したものなのだ。


「★2に制限されているなら倒せると思った?」


レイが尋ねる。


「はい」


アキトは正直に答える。図星だった。★2程度なら正直圧倒できる、そう思っていたのだ。


「あなたが行ってたワクワクダンジョンの2層でも、これくらい出てきてもおかしくないわよ?元が★3だからこれができるってわけじゃないもの」


レイの言葉に、アキトは愕然とする。


「マジですか?」


「大マジ」


レイは真剣な表情で告げる。


「スキルを使いこなすことで、複数のスキルと言っても過言ではないほどの技能を使いこなす魔物が出てくるってことです?それとも、単純なスキルの出力ももっと上がってくるってことですか?」


アキトが尋ねると、レイは頷く。


「両方あり得るわよ。物わかりがいいわね」


彼女は感心したように言う。


(このまま講座に参加せずに2層を探索していたら、アーティソンじゃなくて、ダンジョンでこうなっていたかもしれない)


アキトは背筋が凍る思いがした。無知のまま探索を続けていれば、命を落としていたかもしれないのだ。


「でも、アキトはもっと強くなれる...そういうスキルを持っている、そうでしょ?」


レイが問いかける。彼女の瞳に、何かを見抜くような鋭さがあった。


アキトは言葉に詰まる。自分の秘密を明かしていいものか、迷っていた。だが、もうバレている......仕方がない。


「......そうですね」


彼は覚悟を決めて告げる。


「なら強くなりなさい。無知のまま、あなたほどの成長可能性を持った人間が死ぬのは許せない」


レイの言葉に、アキトは胸が熱くなるのを感じた。


「必要なら、私が同行するわ。ダンジョンに」


彼女の提案に、アキトは目を見開く。


「え?」


「秘密が多いスキル、一人で潜り続けるつもりでしょ。でもわかったはず。保険はあったほうがいいって」


レイの言葉に、アキトは言葉を失う。


(金森の言葉が蘇っていた。誘拐...教団...ステイツ...バレたら連絡...)


彼の頭の中で、金森との会話がよみがえる。


「か、考えさせてください」


アキトは精一杯の言葉を絞り出した。


(俺にはそう答えることしかできなかった)


彼は複雑な心境だった。レイの提案は心強いが、同時に不安も感じていた。


アキトはトイレに行くと行って、とりあえずアーティソンから離れた。


「ま、まず、金森さんに相談しよう。スキルもバレてるっぽいし......」


落ち着いて考えた俺は、まず金森さんに相談することにした。他の人に俺のスキルのことがバレてしまっているという状況。まぁ、レイさんは信頼できそうな人ではあるものの......


それにダンジョンに同行してもらうなら、金森さんに伝えておくのが筋だろう。


アキトは意を決して、金森に電話をかける。彼女との関係は、スキルオーブの取引から始まった。金森は、アキトの秘密を知る数少ない人物なのだ。


1コールで金森さんが電話に出た。「どうされました?」


彼女の声は、いつもの優雅さを漂わせている。


「レイさん、えーと龍条レイっていう冒険者がいると思うんですけど、紅蓮魔法スキル持ちの」


アキトは切り出す。


「すみません。その人に俺のスキルのことがバレているみたいで」


アキトは申し訳なさそうに告げる。


「ええ!?それは大変、どうしてバレてしまったんでしょう?」


金森の声に、ちょっとわざとらしい驚きが滲む。こういう反応する人だったっけ?


「えーと......」


なんでバレたんだっけ......俺はちょっと悩んでから答えた。あっ......


「......ワクワクダンジョンで、スキルを使ったら、その......大爆発を起こしてしまって」


アキトは観念したように話す。そうだな。バレる理由なんてそう多くなかった。


「......目立ったら危ないって言いましたよね?」


金森の声が、少し冷たくなる。


「はい......すみません」


アキトは頭を下げる。電話越しでも、彼女の怒りが伝わってくる。


「なんかその時、ダンジョンの安全確認みたいなのに来ていたのが、レイさんで」


「はい」


「火魔法スキルが使えないって話になったら、流れで、彼女の冒険者育成講座に招待してもらえることになり」


「なり?」


金森の声に、疑問が混じる。


「アーティソンで......その......やりたい放題暴れていたら、スキルのことが完全にバレてしまいまして」


アキトは観念したように告げる。


「そうですか、遠くの山林を確保してありますけど、連れていきましょうか?」


金森の提案に、アキトは慌てて否定する。


「だ、大丈夫です!......そうしたら、レイさんがダンジョンに必要なら同行してくれるって話になってきていまして」


「ほうほう、金森に連絡もせず、龍条さんとイチャイチャするのが申し訳なくなってきたので電話ですか?」


金森の声に、揶揄が込められている。


「いっいえ、そんなことは!」


アキトは慌てて弁明する。電話越しなのに、すごい圧力を感じるのだ。


「......大丈夫ですよ。龍条をワクワクダンジョンに向かわせたのは私です。私が最も厚い信頼をおいている、極めて優秀な冒険者の一人ですよ」


金森の告白に、アキトは驚く。


「あ、そんなところから助けてくださっていたんですね......」


「ダンジョンが爆発しようが、冒険者試験のときに見せたカードと、龍条が確認した冒険者カードのスキルが全く違っていようが、アーティソンで★1の上限を大幅に更新するエネルギー出力が観測されようが、何も文句は言ってませんし.......」


金森の言葉に、アキトは申し訳なさでいっぱいになる。


「......なんか、本当にすみません」


「龍条がつくなら安心でしょう。もう2層に行かれてますよね?」


金森が尋ねる。


「......はい」


アキトは小さな声で答える。


「3層は手を出したらダメです。戦争になります。2層も......今の貴方では危ない。私と龍条の共通認識です。まだあなたはスキルの本当の恐ろしさを知らない。命がいくつあっても足りませんよ」


金森の言葉に、アキトは疑問を感じる。


(本当の怖さ?)


彼の脳裏に、謎が浮かぶ。


「.....楽しめるなら、楽しんでもいいかもしれませんね。それではまた」


そう告げると、金森は電話を切った。


アキトは受話器を置き、深く息をつく。


彼女との会話は、いつも何かを知らされる気がする。


「3層は手を出したらダメ」


「戦争になる」


「まだあなたはスキルの本当の怖さと対峙していない」


そして同時に、新たな謎を抱えることにもなるのだ。


(スキルの本当の怖さ...か)


金森の言葉が、アキトの脳裏に焼き付いている。


アキトは拳を握りしめる。『斬撃スキル』に真っ二つにされ、『紅蓮魔法スキル』には手も足もでなかった。


これ以上の何かが、ダンジョンには待ち受けているというのだろうか。


「......ダンジョンに行って強くなるしかないよな」

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