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スキルホルダーになったので、ダンジョンで無双します!  作者: よだれどり星人
1章 『スキルのことがよく分かるスキル』
70/92

「第70話 - 勝利の余韻」

アキトは再戦を終え、結果を確認する。


「3勝0敗となりました。これにて勝負を終了いたします」


システムのアナウンスが響く。


-------------------

アキト・サトウ

Rank 603925→402678

-------------------


「めちゃくちゃ上がるじゃん」


アキトは驚きを隠せない。一気に20万近くもランクが上昇したのだ。


「さっきの人のランクは?」


彼は相手のランクを尋ねる。


-------------------

Rank 36165

-------------------


「マジか。そんなに離れてたのか。かなりやり込んでいる人だったんだな」


アキトは感嘆の息を漏らす。自分との実力差を痛感させられた。


(よしよし、負けた分はやり返したし、学びはあった。でも現実世界だったら、負けられないんだよな。負けたら死ぬってことじゃん?)


アキトは真剣な面持ちで呟く。ここでの戦いは、あくまで仮想現実だ。しかし、現実のダンジョンでは命を賭けた戦いが待っている。


アキトは3戦目を思い出す。完全に必敗の状況だったが、全てのスキルを活用することで乗り切ったのだ。


(まぁ、『火魔法スキル』の練習ってことで利用していたのだが、『スキルのことがよく分かるスキル』も使っていたし、他のスキルを使わない理由もない)


彼は自分の戦略を反芻する。状況に応じて、柔軟にスキルを使い分けることが重要なのだ。


「それにしても、『ファイアアロー』にも『矢をたくさん打てるスキル』が適用されるんだな。『魔法がチョットだけ大きくなるスキル』ももちろん適用されていたし」


アキトは新たな発見に喜ぶ。スキル同士の組み合わせによって、より強力な魔法が生み出せるのだ。とはいえ、150万円近くする炎爆の矢と比較すれば威力は劣ると感じた。ダンジョンでは、炎爆の矢に込められた魔法を強化することに『火魔法スキル』を使うほうが良いのかもしれない。


あとは、ファイアアローのほうが速射性には優れている感じがあるな。とっさに矢をつがえるのは難しいから、緊急時に使う魔法になりそうだ。


あとは3つどころか10くらいなら全然同時に出せる感じがするのがよかった。『矢をたくさん打てるスキル』を使えば3倍、30くらいに増えてくれるから、ダンジョンで使うのが楽しみだ。


(まぁ、フィールドが極端に不利でもない限り、アーティソンでは『火魔法スキル』と『魔法がチョットだけ大きくなるスキル』の2つだけを使うことにしよう)


彼は決意を新たにする。


(『矢をたくさん打てるスキル』を使っちゃうと、『ファイアアロー』だけ極端に強いからそれしか使わなくなるし、それじゃ『火魔法スキル』の練習にならない)


アキトは自分に戒めを込めて呟く。あくまで、『火魔法スキル』をマスターすることが目的なのだ。


「このまま、頑張るかぁ」


彼はアーティソンの営業時間が終了するまで、夢中で仮想戦闘にのめり込んでいた。


----------


講座最終日の3日目。生徒たちのほとんどが、複数回魔法を使えるようになっていた。


アキトは教室を見渡す。皆、著しい成長を遂げている。


『石兵魔法スキル』を持った女の子は、3体のゴーレムを召喚し、1体の肩に座っていた。


(あのスキル、便利で良いなぁ)


アキトは羨望のまなざしを向ける。ゴーレムは戦闘だけでなく、荷物運びなどにも活用できそうだ。


(壁にもなるし、偵察もできるかもしれない。ああいう便利なスキルもほしいなぁ)


彼は考えを巡らせる。


(というより、スキルって物理法則に反している感じがあるけど、もはや、魔法に近いような、そういうスキルってやっぱりいいよな)


アキトは魔法的なスキルへの憧れを感じていた。


「今日はパーティー戦闘を行うわ」


レイが告げる。


「さすがに運動場で行うのも危ないし、アーティソンという施設を貸し切って行います」


生徒たちは期待に胸を膨らませる。実戦に近い環境での訓練は、彼らにとって初めての経験だ。


アーティソンは、最新の魔法技術を駆使した戦闘訓練施設だ。ダンジョンを再現した様々なフィールドが用意されており、安全に実戦的な訓練ができる。


「戦闘後には負傷と使用したMPが回復するから、実際の戦闘だと思って戦ってみてちょうだい」


レイの言葉に、アキトは驚く。


(マジか。あれ、パーティー戦闘もできるんだな)


彼はアーティソンの機能の高さに感嘆する。これなら本番さながらの訓練が可能だ。


「チーム分けをするので、そのチームで今日は戦うように」


レイが続ける。


「チームワークの練習と作戦を立てる時間を1時間取るわ。その間、自由に練習しなさい」


生徒たちは興奮気味に、チームごとに集まっていく。


しかし、アキトは1人取り残されていた。


「......俺は一人なんですか?」


彼は不安げに呟く。ソロでの戦闘を想定していたアキトにとって、チーム戦は未知の領域だった。


「仲間が必要?」


レイが近づいてくる。彼女の笑顔は、いつもの優しさに満ちている。


「戦えるんですかね?★2つ、それも複数人相手に」


アキトは懸念を口にする。どんなに実力をつけても、数の不利は覆しがたい。


「......この講座が終わって、人と一緒にダンジョンに挑むつもりがあるの?」


レイが真剣な眼差しで尋ねる。


(言われてみれば、そんな予定はなかった)


アキトは内心で認める。彼は基本的に、1人で行動することを想定していたのだ。『スキルのことがよく分かるスキル』に関して突っ込まれても、利用されるのも嫌だった。


「ないなら必要ないわよね」


レイは即答する。彼女の言葉には、強い説得力があった。


「昨日の戦闘記録、見せてもらったけど、大抵のダンジョンの1層なら問題ないわよ」


彼女は自信たっぷりに告げる。


「えっ!?」


アキトは驚きを隠せない。自分の戦いぶりを、レイに見られていたとは。


「安心して、私以外には見えないから」


レイは優しく微笑む。彼女の言葉に、アキトは少し安堵する。


「えー......はい」


彼は渋々了承する。


「この1時間は、私と1対1で戦ってみましょうか」


レイが提案する。


アキトは緊張で喉が渇く。レイのランクは★3つ。昨日戦った『斬撃スキル』持ちの冒険者も★2つくらいだろう。これほどの高みにいる上級冒険者との戦い。それは彼にとって、未知なる領域への挑戦だった。


「わ、わかりました...!」


彼は震える声で答える。


こうして、アキトとレイの特訓が始まった。



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