「第7話 - サウナでの思索」
観光用ダンジョンのツアーが終わり、一行は解散した。アキトは早くオーブの正体を確かめたくてうずうずしていた。
「とはいえ、家まで2時間弱か。せっかく来たのに、このまま帰るのはもったいないな」
彼は高尾山の麓にある温泉を思い出した。下山客でも賑わうその温泉は、疲れた体を癒やすのに最適だ。
「よし、温泉に入ってくるか」
アキトは温泉施設に向かった。日帰り入浴の受付を済ませ、脱衣所で服を脱ぐ。彼は体を一通り洗い、サウナへと向かった。
サウナ室に入ると、熱気が全身を包み込む。アキトはサウナが大好きだ。汗をかきながら、彼は壁に掛かったテレビに目をやった。
「おや、冒険者の特集をやってるな」
テレビでは、★4つの冒険者の活躍が紹介されていた。その冒険者は『地獄の業火を放つスキル』を使い、強敵を次々と倒していく。
「すげえ...でも、こんな熱い魔法を使うなら、『どんな熱からも体を守れるスキル』が先に必要だよな?どうやってあの熱に耐えてるんだろうな」
アキトは苦笑しながら、そんなことを考えていた。サウナの熱さに耐えながら、彼は水風呂への退却を決意する。
「よし、水風呂に行くか」
冷たい水の中に飛び込むと、アキトは全身の毛穴が閉じるように感じた。40秒、彼は息を止めて水中に浸かる。手足がジンジンと痺れてくる心地よい感覚に、彼は思わず笑みを浮かべた。
水風呂から上がると、アキトは椅子にだらりと倒れ込んだ。サウナと水風呂のコントラストがもたらす恍惚感に、彼は浸っていた。
「『いつでも身体を整えるスキル』か...味気ないな。『サウナ室に1分入るだけでポカポカになるスキル』とかなら欲しいかも」
彼は思わずそんなことを考えていた。1時間のサウナタイムで、20回くらいは整えられそうだ。
アキトはサウナと水風呂を行き来しながら、スキルオーブのことを考えていた。これから彼の人生がどう変わるのか、期待と不安が入り混じる。
「オーブを使えば、新しいスキルを手に入れられるのかな.......どんなスキルが手に入るんだろう......」
彼の脳裏には、様々なスキルの可能性が浮かんでは消えていく。サウナの熱気に包まれながら、アキトは未知の力への想いを馳せていた。
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