「第6話 - 禁断の探索」
アキトは安全テープを越え、大広間の奥へと足を踏み入れた。古代文明の遺物が散乱する中、彼はスキルオーブの反応を頼りに探索を続ける。
「確か、こっちの方角だったはず...」
彼は『スキルのことがよく分かるスキル』を使い、オーブの気配を追っていた。一度曲がった先、アキトは袋小路に出くわした。
「行き止まりか...でも、スキルオーブの気配はここから感じる」
アキトは壁に近づき、その表面を丹念に観察した。オーブの反応は、まるで壁の向こう、あるいは壁の中から発せられているようだ。
「おや?これは...」
彼の目に飛び込んできたのは、壁面に刻まれた一枚の石版だった。そこには、謎めいた記号が並んでいる。
「何だろう、この記号は。まるで、古代文字のようだけど」
アキトは首をかしげながら、石版に近づいた。ちょうどこの石版の裏からオーブの気配がするように感じる。
「とりあえず、押してみるか...」
彼は何の気なしに、適当な記号を指で押し込んだ。すると、予想外の反応があった。
「ガコッ!」
記号がボタンのように沈み込み、石版の一部が動いた。アキトの胸の高さにあったライオンの彫刻の口が開き、その中からオーブのような水晶体が現れたのだ。
「これは...スキルオーブ!?」
アキトは驚きと興奮に目を見開いた。彼は慎重に、そっとオーブを手に取る。透明な水晶体は、不思議な光を放っていた。
「信じられない...こんなところにオーブが隠されていたなんて」
アキトはオーブを手のひらで転がし、その美しさに見とれた。これこそが、彼が求めていたスキルオーブなのだ。
「よし、とりあえずリュックにしまっておこう」
彼は大切そうにオーブをリュックの中に収め、来た道を引き返し始めた。心臓が高鳴り、額に汗を感じる。禁断の探索の成果に、アキトの胸は躍動していた。
大広間に戻ると、ガイドと他の参加者たちが待っていた。
「お客様、どちらへ行かれていたのですか?安全テープの先は危険ですよ」
ガイドが心配そうに声をかけてくる。アキトは平然を装い、愛想笑いを浮かべた。
「すみません、ちょっと好奇心が抑えられなくて。もう戻りましたから、大丈夫です」
彼はリュックに手を添えながら、オーブの感触を確かめていた。この冒険は、彼の人生を大きく変える転機になるかもしれない。スキルオーブを手に入れたアキトは、未知なる可能性に胸を膨らませていた。観光用ダンジョンで始まった、彼の真の冒険の幕開けだった。
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