「第58話 - 魔法の基礎」
魔力開放を終えたアキトたちは、次なる訓練に臨んでいた。それは、魔法の基礎を学ぶことだ。
この世界では、魔法は生活に欠かせない存在となっている。魔力が開放された者は、誰もが魔法を使えるようになるのだ。しかし、それは訓練なくしては不可能だった。
「また、運動場か。今回は一応的が置かれているが......」
アキトは周囲を見渡す。先ほどの魔力開放の儀式とは打って変わって、運動場には的が設置されていた。なんか機械っぽい。地面に刺さっているんじゃなくて、ロボットアームが的を動かしている。
生徒たちは魔力開放によって、魔法が使えるようになっているとのことだが......
俺は『火魔法スキル』を起動してみる。
アキトは、手に力を込める。
「ふむふむ、手から火が吹き出している。本当に使えるようになっているな」
彼は感動に浸る。これが、魔法の力なのだ。
「あら、もう使えるの?」
レイが驚いた様子で言う。
「お、俺も」
オールバックの若者も自分の手を見つめて力を込めている。
......が、何も起こらない。
周囲の生徒も同様のようだ。皆、手から火を出そうと努力しているが、うまくいかない様子だ。
「普通、いきなりは使えないんだけどね。オーラの使い方から練習していくよ」
レイが説明する。
「どうする?話を聞く?もう使えるなら的当てシステムでトレーニングもできるけど」
彼女はアキトに選択肢を与える。
「話を聞きます」
アキトは即答した。基礎をしっかり学びたい。
「そう。私のオーラを見て」
レイが言うと、彼女の体から放出されるオーラが形状を変え始める。
彼女のオーラは頭の方に集中したり、右手左手と自由自在に移動していく。
まるで、オーラが生きているかのようだ。
「これが第一段階、全身のオーラを動かしてみようか」
レイの言葉に、生徒たちは身を乗り出す。
皆、苦戦しながらもオーラに集中して動かしている。額に汗を浮かべ、必死に努力する姿が印象的だ。
「さて、俺もやってみるか」
アキトは目を閉じ、オーラを感じようとする。
「ヌヌヌ......全然動かないぞ。どういうことだ?」
彼は困惑する。先ほど火を出せたのに、今度はオーラが動かせない。
アキトは周囲の生徒たちを見渡した。皆、苦戦しながらもオーラを動かせている。
「どうして、俺だけ...?」
彼は焦りを感じながら、再びオーラに意識を集中させる。
「動け...動いてくれ...!」
必死に念じるアキトだったが、オーラは微動だにしない。
「なんでだよ...!」
彼は歯噛みしながら、拳を握りしめた。
これでは、魔法が使えるようにならない。皆についていけなくなってしまう。
とはいえ今は基本を学ぶ時だ。焦ってはいけない。
アキトは自分に言い聞かせる。
「レイさん、オーラが動かせません。コツを教えてもらえませんか?」
アキトは、レイに助けを求めた。
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