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スキルホルダーになったので、ダンジョンで無双します!  作者: よだれどり星人
1章 『スキルのことがよく分かるスキル』
55/92

「第55話 - 魔法学講習の始まり」

アキトは緊張しながら、施設内を歩いていた。ここは、日本の冒険者教育の最先端を担う、アカデミーと呼ばれる場所だ。


ダンジョンの出現以来、冒険者の育成は国家的な急務となっている。未知なる力を持つモンスターに対抗するには、それに見合った力を持つ人材が必要不可欠だからだ。


アカデミーは優秀なスキルを持った人材を選抜し、育成する場所らしい。まぁ、俺は講習参加だし、あんまり関係なさそうだ。


施設の中には、様々な新しい建物が並んでいる。最新の設備が整った建物が、次々とアキトの目に飛び込んでくる。


第二教室の前で足を止めたアキトは、深呼吸をして重い扉を開けた。教室に一歩足を踏み入れると、そこには緊張感が漂っていた。若い参加者たちが真剣な面持ちで講師の登場を待っている。


アキトは彼らの服装や持ち物から、裕福な家庭の出身だということを見抜いた。


ここに来れるのは、金持ちだけなのだろうか。アキトは内心で疑問を抱く。


そんな彼らを尻目に、アキトは空いている席に腰を下ろした。


教室の扉が再び開き、一人の女性が入ってくる。


龍条レイだ。相変わらずの真っ赤な衣装に真っ赤な髪。緊張感をまとう美貌に、アキトは息を呑んだ。彼女の存在感は、教室を瞬時に圧倒した。


レイはアキトに視線を向けると、小さく笑みを浮かべた。


「昨日の今日で、3日間もスケジュール空けられるんだ。それとも私に会いたかった?」


そう言って、彼女は整った顔をこちらに近づけてきた。


アキトは思わず頬を赤らめた。確かに、彼は冒険者としての収入で生計を立てているわけではない。


「ま、まあ、せっかく招待していただいたので...」


彼は言葉を濁す。


レイはクスリと笑うと、教壇に立った。


「まぁ、来るなら早いほうがいいか。始めましょう」


彼女は話を進める。


「私は龍条レイ。冒険者歴は4年。スキルは★3つの『紅蓮魔法スキル』よ」


参加者たちがどよめく中、レイは自己紹介を続ける。


「簡単に言うと、『紅蓮魔法スキル』は熱と光の概念で構成される自然魔法、こう言えば十分かしら」


その言葉に、教室の空気が一変する。すげぇって感じの雰囲気だが、不勉強な俺はその凄さがわからない


「じゃあ、左から自己紹介お願い」


レイに促され、参加者たちが順番に自己紹介を始める。


アキトは緊張した面持ちで、自分の番を待つ。


「リュウ、冒険者登録はまだだ。スキルは★2つ『斬鉄魔法スキル』」


オールバックの青年が言う。


なんか斬鉄魔法ってすごそうだな、とアキトは感心する。


「キョウカ、冒険者登録は同じくまだ。スキルは★2つ『石兵魔法スキル』」


黒髪の少女が続く。


よくわからないが、強そうなスキルだ。アキトは頷いた。


自己紹介が続く中、彼は違和感を覚える。


星2つのスキルを持っている参加者ばかりだ。普通なら、★1つのほうが多いはずなのに。


『スキルのことがよく分かるスキル』を使うと、こんなに★2つのスキルを持った人間が一堂に会しているのは見たことがないくらいだと感じる。


「アキトといいます。冒険者歴は1週間。スキルは★1つ『火魔法スキル』」


いよいよ彼の番が回ってくる。


自己紹介を終えたアキトは、教室の空気がシーンとなったことに気づいた。


★1つのスキルというのが、まずかったのだろうか。あるいは、彼の年齢が問題なのか。周りの参加者は、みんなピチピチの若者ばかりだ。


内心で焦るアキトをよそに、レイは説明を始める。


「★2以上の冒険者には、年に一度は後進の教育をする義務があるわ。まぁ、討伐任務とか、なんだかんだ理由をつけて、やる人間は限定的だけど」


「ほとんどの魔法系冒険者の基礎講習は1日。私は3日行っているわ。中途半端な実力でダンジョンに潜って死なれても嫌だから」


彼女の言葉に、教室が静まり返る。


「ここ、防衛省のお膝元に建設されたアカデミーは、日本の冒険者教育の最先端。冒険者を成長させるためのあらゆる設備が存在する」


レイは続ける。


「まぁ自由に使うには、一定以上の実績を積む、あるいはスキルを保有している必要があるんだけどね。3日の間、必要な設備は使えるように申請してあるから」


そう言って、彼女はアキトを見てニヤリと笑う。


「じゃあ、やっていきましょうか。魔力開花から」


レイの言葉に、アキトの心臓は高鳴った。


ここから、彼の魔法使いとしての成長が始まるのだ。


『火魔法スキル』を自在に操れるようになる日も、遠くはないだろう。


わくわくしながら、アキトはレイの講義に耳を傾けるのだった。

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