「第51話 - 爆心地の調査」
アキトとレイは、ダンジョンの奥へと進んでいく。徐々に焦げ臭い臭いがしてくる。明らかに、強力な魔法の痕跡だ。
「もうちょっと先ですかね」
アキトが尋ねる。
「そう」
レイは短く答える。
沈黙が続く中、アキトは耐えきれずに質問を切り出した。せっかく上級冒険者と一緒なのだ。色々と聞いておきたい。
「あの......★ひとつと★ふたつ、★3つのスキルって、何が違うんですか?」
レイは少し考えてから、答える。
「うーん...冒険者カードがそう示しているかどうかっていうことだけのような気がするけど」
その時、アキトの『スキルのことがよく分かるスキル』に反応があった。前方から、ゴブリンが迫ってきているのだ。
「このダンジョンのゴブリンもスキルを持っていることがあるじゃない?よく観察していればわかるのだけど」
レイが言う。
(あるもなにも、全員持ってるぞ)
アキトは内心でツッコミを入れる。しかし、言葉には出さない。レイの軽いドヤ顔にも、突っ込まないことにした。
「★2つの冒険者には、彼らが★1のスキルを持っていたとして、単独なら、到底勝てないくらいの力の差がある。そういうことだと思うわ」
レイの説明に、アキトは合点がいく。★の数が、圧倒的な力の差を示しているのだ。
そんな中、前方からゴブリンの群れが現れた。
「紅蓮魔法:マグマキューブ」
レイが呟くと、紅く光り輝き、熱を放つ立方体の形状をした物体、おそらくマグマが空中に無数に浮かぶ。
彼女が手を動かすと、そのキューブが銃弾のようにゴブリンの方に直進し、体を貫通していく。
「うわ......」
アキトは目を見開く。簡単な攻撃なのに火力が高すぎる上、余裕すら感じられる。
(10匹でも100匹でも、ゴブリン程度ならこれだけで一瞬で倒してしまえるんじゃないか?)
彼は驚愕する。レイなら、2層のゴブリンも全然倒せるだろう。そう確信できた。
「すげぇ...」
アキトは思わず感嘆の声を上げる。
「......」
レイは黙ったまま。なんだか照れているような感じがする。
(表情に出やすいな。まだ若いのか?冒険者としてはベテランに見えるが)
アキトは内心で思う。
二人は爆心地に到着した。そこは、まさに修羅場といった様相だった。壁には焼け焦げた跡が残り、地面はひび割れているところもあった。
「ひどい現場ね」
レイが呟く。
「こういうことって、よくあるんですか?」
アキトが尋ねる。
「あるわよ。上級冒険者の憂さ晴らしだったり、ダンジョンブレイクだったりね」
レイは淡々と説明する。
「後者だと、魔物の湧き方が変わるからすぐわかるんだけど、分かりづらいこともあるから」
「憂さ晴らしか...」
アキトは内心で後ろめたさを感じる。自分が原因で、こんなことになってしまったのだ。
悪いことをしたなと、アキトは反省する。
「ダンジョンブレイクじゃなさそうってことは、もう終わりですか?」
アキトが尋ねる。
「そうね。あと一つだけ確認したいんだけど...」
レイの言葉に、アキトの背筋に冷たいものが走る。
(まさか、バレたのか?)
彼は内心で焦る。自分の仕業だとわかれば、どんな目に合うか、わかったもんじゃない。
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