「第50話 - 上級冒険者との遭遇」
アキトは冒険者カードを差し出すと、上級冒険者の女性に鋭い視線を向けられた。
「ワクワクダンジョンにいるのに、随分経験値を盛ってるのね」
女性は不審げに言う。
「しまった!」
アキトは内心で後悔する。レベルや累積の経験値をいじるという発想がなかった。
「今まで潜ったのは、ワクワクダンジョンだけ?」
女性が尋ねる。
「はい、モンスターを狩ったのはここだけです」
アキトは正直に答える。嘘をついても、すぐにバレてしまうだろう。
「名前は?」
「アキトです。サトウ・アキト」
「私は龍条レイ」
女性は颯爽と自己紹介し、ステータスカードを見せてくれた。
アキトは彼女のステータスを確認し、思わず目を見開く。
-------------------
プレイヤーランク ★★★
プレイヤーレベル 83
次のレベルまで 141,662
累積経験値 2,583,759
ステータス
HP 182
MP 2,746
スキル
『紅蓮魔法スキル』 ★★★
-------------------
(うっわ、とんでもないステータスしてるじゃないか。★が3つあるぞ)
アキトは内心で驚愕する。★が2つ以上で上級冒険者なのに......
「龍条さんは、上級冒険者だったんですね」
彼は感心したように言う。
「レイでいいわよ。あなたのほうが歳上でしょ......そんなに珍しい?」
レイが不思議そうに尋ねる。
「初めて見ました」
アキトは正直に告げる。上級冒険者は、一般人にとって雲の上の存在なのだ.......と教科書に書いてあった。それにワクワクダンジョンにしか潜ってないしな。
「私はこの先で起きたと思われる爆発の調査をしているのだけど、何か知っていることはない?」
レイが切り出す。
アキトは困惑する。隠すのも隠しきれない。この一本道を進めば、その先が爆心地だ。
ダンジョンの自己修復機能により復旧しつつあるが、それでも地面は割れ、壁は焼け焦げている。
「ちょうど後ろが爆心地でしたよ。ゴブリンの魔石がたくさん転がっていましたね」
アキトは嘘はつかずに答える。
「そう。ちょうどいいわ。案内してくれない?」
レイが言う。
「わ、わかりました」
アキトは渋々了承する。断れる雰囲気ではなかった。
二人は爆心地に向かって歩き出す。アキトの心は複雑だ。
「まさか、俺の放った混合魔法が原因でアラートが鳴ったのか?」
彼は内心で怯える。まぁまさかも何も間違いないだろう。もし自分の仕業だとバレたら、どんな処分を受けるのだろうか。
■続きが読みたいと思った方は
どうか『評価』【★★★★★】と『ブックマーク』を......!
ポチッとお願いします!




