「第5話 - 観光用ダンジョンの謎」
受付嬢から観光用ダンジョンの存在を教えてもらったアキトは、早速情報を集め始めた。インターネットで調べてみると、意外にも観光用ダンジョンは各地に点在していることが分かった。
「登山やサイクリングロードみたいなもんか。興味がないと、案外知らないものなんだな」
アキトは思わず感心した。冒険者を目指す人だけでなく、一般の人でも気軽にダンジョンを体験できるこうした施設は、新しい娯楽として人気を集めているようだ。
「よし、時間もあることだし、高尾のダンジョンに行ってみるか。電車で2時間弱か」
アキトは地図を確認し、最寄りの観光用ダンジョンを見つけた。高尾山の近くにあるそのダンジョンは、都心からのアクセスも良さそうだ。
「帰りに温泉でも入ってくるかな。荷物、荷物っと...」
彼は軽装で身支度を整えた。ダンジョン探索に必要な靴は、サイトの情報によるとスニーカーで十分とのこと。リュックに水筒や軽食を詰め込み、いざ出発だ。
高尾のダンジョンに到着すると、受付で入場料を支払った。4700円也。ガイド付きで1時間程度の回遊コースだという。
「これだけの値段を取れるんだから、良い商売だよな」
アキトは少し羨ましく思った。冒険者としてのスキルを活かせる職業は、意外と幅広いのかもしれない。
ガイドを務める冒険者は、ダンジョン内を案内しながら説明を始めた。
「このダンジョンは遺跡型のダンジョンですね。見ての通り古代文明の痕跡がいくつもあるでしょう?考古学者が調査を進めているそうですが...」
アキトは熱心に耳を傾けつつも、彼の興味は別のところにあった。ダンジョンの中に、スキルオーブの反応がないかどうか。彼は『スキルのことがよく分かるスキル』を使って、その痕跡を探っていた。
ダンジョンの奥へと進むにつれ、一行は広大な空間に出くわした。天井は高く、何本もの柱が立ち並ぶ大広間だ。ガイドが「ここは自由に見学していただいて構いません。ただし、安全テープから先には絶対に進まないでくださいね」と注意を促した。
その時だった。アキトの脳裏に、かすかなスキルオーブの反応が感じられた。まるで、彼を呼び寄せるかのように。
「あそこだ...スキルオーブは、安全テープの先にある!」
アキトは衝動に駆られるように、ガイドの目を盗んで安全テープを超えていった。未知への興奮が、彼の胸を躍らせる。危険を承知で、彼は禁断の一歩を踏み出したのだ。
大広間の奥へと進んでいくアキト。古代文明の遺物が散乱する中、彼はスキルオーブを求めて探索を続ける。うす暗い空間に、不思議な緊張感が漂っていた。冒険の予感に、アキトの心は高鳴っていた。
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