「第49話 - 緊急事態への対応」
アキトは強敵との死闘を終え、1層に戻る決意をした。2層の探索は大きな成果をもたらしたが、同時に危険も増していると感じていた。手持ちの弓も減ってしまったし、一旦安全な場所で体制を立て直す必要がある。
「ふぅ...やっと1層に戻れた」
階段を上り切ったアキトは、安堵の息をつく。ここなら、強力なゴブリンに襲われる心配はない。
「さて、獲得したオーブを使うか」
彼は『ステータスを偽装するスキル』のオーブを取り出し、力を込める。すると、オーブが光り輝き、アキトの体内に吸収されていく。
-------------------
プレイヤーランク ★
プレイヤーレベル 10→14
次のレベルまで 71→265
累積経験値 1522→2532
ステータス
HP 109→113
MP 18→24
スキル
『スキルのことがよく分かるスキル』 -
『矢をたくさん打てるスキル』 ★
『魔法がチョットだけ大きくなるスキル』 ★
『火魔法スキル』 ★
(New)『ステータスを偽装するスキル』 -
-------------------
「よし、『ステータスを偽装するスキル』を習得した!」
アキトは喜びに胸を躍らせる。このスキルがあれば、自分の力を隠すことができるのだ。
正直なところ、換金の際に冒険者カードを見せなければならないことは、ずっと悩みのタネだった。
「カードを見せた時点で、ベテランでもないのに、たくさんスキルを持っているってバレてしまう。金森さんもスキルオーブを手に入れられるってバレないようにって言ってたしな......」
スキルの数の多さは、冒険者の中でも際立っているように感じていた。それを知られては、余計な注目を集めてしまうだろう。
「『ステータスを偽装するスキル』でスキルを見えないようにしよう」
アキトは意を決して、スキルを発動させる。すると、彼のステータスは以下のように変化した。
-------------------
プレイヤーランク ★
プレイヤーレベル 14
次のレベルまで 265
累積経験値 2532
ステータス
HP 113
MP 24
スキル
『火魔法スキル』 ★
-------------------
「よし、これなら大丈夫だろう」
アキトは満足げに頷く。弓は娯楽として使っていると言い張れば、火魔法スキルが本来のスキルということにできる。
「2層のゴブリンは、経験値の効率がいいな。どんどんレベルが上がる」
彼は冒険者としての成長を実感していた。このペースなら、来年くらいには日本最強の冒険者になってるんじゃないか?
そんな時、アキトは違和感を覚える。
「『スキルのことがよく分かるスキル』が、特に強い反応を示している。前から誰か来ているな。人間だと思うが」
彼は身構える。1層は比較的安全なはずだが、油断は禁物だ。しかし、ここは一本道。避けようにも、避けられない。
「止まりなさい」
ふらふらとステータスを確認しながら歩いていたアキトに、前から歩いてくる女が声をかけた。
赤い髪、赤い生地に黒い鱗のような装飾が入ったチャイナドレスのような服を着ている。
「冒険者カードを見せなさい」
女は強い口調で言う。
「え?」
アキトは戸惑う。いきなり職務質問されるとは思ってもみなかった。
「緊急臨場よ。アラートがずっと流れてるけど」
女は不機嫌そうに告げる。
緊急臨場、なんか教科書で見た気がする。ダンジョン内で緊急事態が発生したときに、上級冒険者が原因調査のために入場することって書いてあったような。
冒険者カードの確認もあったはずだ。
「アラート...?」
そう言われて、アキトはようやく気づく。ずっとファンファンと音が流れていたのだ。
アキトはスキルオーブやら、ステータスの編集やらに夢中でそれどころではなかったのだ。
そうだ。さっき1層で混合魔法を使ったあと、こんなアラートが鳴り始めたような気がする。だから、慌てて2層に逃げ込んだのだというところもあった。
あー......これがアラートだったのか。教科書には乗っていたが、実際の音は聞いたことがなかったし、わからなかったな。
「いや、講習でちゃんと教えてくれよ...」
アキトは内心で嘆く。初心者に優しくない運営だと思う。
「すいません。資格を取ってから日が浅いもんで。言われて初めて、これがアラートだって気づきました...」
アキトは申し訳なさそうに言うと、冒険者カードを差し出す。
『ステータスを偽装するスキル』を手に入れていて本当に良かった。これで正体がバレる心配はない。
■続きが読みたいと思った方は
どうか『評価』【★★★★★】と『ブックマーク』を......!
ポチッとお願いします!




