「第45話 - 強敵の接近」
アキトは新たなスキルを手に入れ、さらなる強さを求めて再びダンジョンの2層へと足を踏み入れた。
「よし、『スキルのことがよく分かるスキル』、起動!」
彼は精神を集中させ、周囲の状況を探る。すると、先ほど遠距離から襲撃した集落から、ゴブリンたちが分散して周辺の1000人集落へと避難している様子が感じ取れた。
「なるほど、右か左かの集落に逃げているのか」
アキトは思案する。避難民を追いかけて、そのまま避難先の集落を攻め潰すのも一つの手だろう。
「よし、右方の集落へ攻め上がるか!」
彼は意を決して、ゴブリンたちを追跡し始める。
「とはいえ、矢の攻撃範囲は限られている。矢で1匹1匹狙うのは効率が良くないな」
アキトは戦術を練り直す。
「緑樹の矢を2本に烈風の矢を混ぜて、遠距離攻撃を繰り返そう」
彼は逃げ惑うゴブリンの行く先に、膨大な数の罠を敷いていく。緑樹の矢は草原に紛れ、近くを通ったゴブリンを自動的に倒してくれる。即席の罠になるのだ。
一方で、アキトは雷撃の矢を3本束ねて攻撃し、どんどん後ろから追い立てていく。
アキトは『矢をたくさん打てるスキル』と『魔法がチョットだけ大きくなるスキル』を起動する。3本の雷撃の矢が9本分の威力になり、1本1本の威力も増大する。
「ゴオオオオ!!」
雷光が草原を駆け巡り、ゴブリンたちを容赦なく打ち砕いていく。
「ギャアアア!」
「グギャアアア!」
ゴブリンの断末魔が、辺りに木霊する。彼は狩りに熱中し、次々とゴブリンを倒していく。まるで死神のようだった。
「緑樹の罠と雷撃のサンドイッチですりつぶす」
アキトは冷酷に呟くと、緑樹の罠と雷撃の矢でゴブリンたちを挟み撃ちにしていく。
「......よし、200匹ほど追加で倒せたな」
彼は満足げに呟く。草原には、焼き焦げた草とゴブリンの魔石が点在している。
しかし、その時だった。
「ん?何だこの気配は...」
アキトは遥か奥の1万匹の集落の方から、不穏な気配を感じ取る。
「『スキルのことがよく分かるスキル』で警戒しているんだが...違和感がある」
彼は眉をひそめる。こんな場所に、ゴブリンが近づいてくるのは不自然だ。しかも、スキルがあるはずの10匹以上の強力なゴブリンのように思えるが、何のスキルも持っていないと感じているのだ。なら、なぜ『スキルのことがよく分かるスキル』で感じられているのか?
「何かがおかしい...」
アキトは直感的に危険を察知する。
「10匹のゴブリンの中で、特に違和感が強いゴブリンがいる。『スキルのことがよく分かるスキル』を集中だ!」
彼は精神を集中させ、そのゴブリンを探る。すると、信じられない事実が明らかになった。
「『ステータスを偽装するスキル』!?そういうことか、スキルが隠されて、偽装されている!」
アキトは愕然とする。ここに向かっているゴブリンは、それぞれ何らかの戦闘スキルを持っている可能性が高いのだ。
「もしかしたら、『スキルのことが分かるスキル』だったらわからなかったのかもしれない...『スキルのことがよく分かるスキル』だからわかったのか?」
アキトは自分の力に感謝しつつも、強敵の接近に戦慄する。
「いや、そんなことを考えている暇はない!」
彼は危機感を募らせる。
「とりあえず、奴らとの戦闘に備えなければ...!」
アキトは急いで戦闘態勢を整える。矢を確認・増殖させ、スキルを起動していった。
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