「第40話 - 知性あるゴブリンたち」
アキトは倒したゴブリンの周りを詳しく観察していた。すると、そこが畑だということに気づく。
「『スキルのことがよく分かるスキル』で罠を意識すると...畑を囲うように様々な罠が設置されてるのか」
彼は驚きを隠せない。ゴブリンたちが、農耕文明を築くほどの知性を持っているとは。
「罠を作るスキルを持ったゴブリンもいるってことになるな。ヤバそうだ」
アキトは危機感を抱きながらも、50万円で買った罠解除の矢を使ってみることにした。
「よし、行くぞ!」
彼は矢を放つ。すると、矢の軌道上にあった罠の場所で、木の枝や紐がはねるのが見えた。
「バラバラに分解されたのか...スキルの反応も消滅してる。無事解除できたみたいだな」
アキトは小さく息をつく。集落全体を囲うように罠が設置されているのを確認し、彼は思案する。
「文明があるなぁ......」
ゴブリンがたくさん集まり、ただ集落を作るだけでなく、文明を築き上げている。農作物を栽培し、それを食べることで、強靭な肉体を手に入れているのだろう。これがゴブリンの本来の力ということか。
「じゃあ100匹の集落と1000匹の集落の最大の違いは何だろうか...」
彼の脳裏に、1層で戦ったゴブリンたちの姿が浮かぶ。
「ホブゴブリンとか、ゴブリンメイジとか...特にメイジは強いスキルを持ってた」
アキトは考えを巡らせる。100匹に1匹くらいの出現頻度だろうか。強力なスキルを持った個体がいた。1000匹の集落なら、例えばメイジも10匹いるのではないか?
「敵は知性を持っていて、文明を構築している。つまりコミュニケーション能力があるということだ。メイジみたいな強力なスキルを持ったゴブリンがたくさんいて、連携してくるのではないか?」
彼は戦慄する。1000匹の集落となれば、その脅威は計り知れない。
「メイジレベルの奴らが数匹いる分にはいいんだが、もしそれよりも強力なスキルを持つゴブリンがいるとしたら......」
アキトは冷や汗を流しながら、考えを整理する。
「い、いざとなったら1層に逃げ帰ろう。バリアをフル活用だ」
アキトは自分にスーパーバリアを改めて貼り直し、階段の場所を確認する。
「よし、『スキルのことがよく分かるスキル』で眼の前、300mほど先にある1000匹の集落に意識を集中するか」
彼は精神を集中させ、ゴブリンたちのスキルを探る。
「どんなスキルがヤバいか...『矢が当たらなくなるスキル』とかがあると不味いんだが...」
アキトの意識が、集落に吸い込まれていく。そこには、数多のゴブリンたちの気配があった。
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