「第38話 - 未知なる領域」
アキトは自分の力に驚きながらも、スーパーバリアに感謝の念を抱いていた。あの防御魔法がなければ、自分も危なかったかもしれない。
「バリアもだいぶ固くなってるし、効果時間が比べ物にならないくらい伸びてるな」
彼は呟く。以前のバリアは1分ほどしか持たなかったが、今のものは桁違いだ。
「......よし、ダンジョンの奥に進もう」
アキトは意を決して、さらに深部へと足を踏み入れる。彼は150匹の集落の奥に、何かがあると直感していた。
「やっぱりあった...2層への階段だ」
アキトの予感は的中する。巨大な集落の奥に、下層へと続く階段が姿を現した。
「まあ、ちゃんとした矢を持ってるし、大丈夫だろ!」
彼は自信満々に、階段を降りていく。
しかし、次の瞬間、アキトは信じられない光景を目の当たりにした。
「まじかよ...2層には空があるのかよ」
彼は思わず声を上げる。階段を降りていたはずなのに、いつの間にか登っていた。階段を登った先には青空が広がっていた。
「草原...腰くらいまでの高さの草。ワオ」
アキトは周囲を見渡す。広大な草原が広がり、向こうには森が見える。
「とりあえず、『スキルのことがよく分かるスキル』でエリア全体を探知しよう」
彼は精神を集中させる。すると、2層の広大さに驚かされた。
「1層の10倍は広い感じがするな。また、奥の方に集落が...集落を囲うように小さな集落がある」
アキトは眉をひそめる。2層の規模は、1層とは桁違いなのだ。
アキトは一番近くの小さな集落に意識を集中する。
「あれ......これ、1000匹規模じゃないか?」
彼は愕然とする。先ほど注意を向けられた時の記憶が蘇ってくる。
「1000匹はやばい...考えたくもない......って近くに......1匹だけいるな」
アキトは草に隠れながら、そのゴブリンに近づいていく。
すると、彼は突然、強烈なスキルの気配を感じた。
「なんだ?『スキルのことがよく分かるスキル』で意識すると...」
そこにあったのは、罠だった。
「なんだこれ...冒険者を狩ろうとしているのか?気をつけないと...」
アキトは舌打ちする。2層では、さらなる危険が待ち受けているようだ。
待て待て『スキルのことがよく分かるスキル』で気づけたということはこれもスキルで作られているのか?
なんらかの目的でそういうスキルを持ったゴブリンが罠を張っている???
1層ではこんなことなどなかった。1層と2層であまりにも世界が違う。アキトは改めてそう思った。
改めてゴブリンに注意を向ける。『スキルのことがよく分かるスキル』で分析した結果、そのゴブリンのスキルは『腐った肉を食べられるスキル』だった。
「いらねえな...」
アキトは呆れながらも、ゴブリンの様子を観察する。
「木にもたれかかって、休憩してるように見える。あの籠は何だ?昼ご飯を食べてるのか?」
彼は首をかしげる。そして、あることに気がついた。
「というか、肉付きが1層のゴブリンと全然違う。厚い体、太い腕、脚...あれ、本当にゴブリンなのか?でも、顔はゴブリンだよな...」
アキトは困惑する。2層のゴブリンは、明らかに1層とは異なる存在なのだ。
彼は緊張感を隠せずにいた。未知なる領域に足を踏み入れたアキトは、さらなる危険と対峙することになるのだろう。
「とにかく、慎重に行動しないと...」
彼は気を引き締めると、再び草むらに身を潜めた。2層の探索は、予想以上の困難が待ち受けているようだ。
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