「第37話 - 炎と雷の饗宴」
アキトは新たな装備を携え、ワクワクダンジョンに足を踏み入れた。彼の心は高鳴り、期待に満ちている。
「『スキルのことがよく分かるスキル』、起動」
アキトは呟くと、ダンジョンの奥へと意識を向ける。彼の脳裏に、無数のゴブリンの気配が浮かび上がってくる。
「一番大きな集落...150匹はいるだろうか。そこに向かおう」
彼は決意を固めると、一直線に集落へと向かう。アキトにとって、それは未踏の最大規模の集落だった。
集落の周囲には、斥候と思われるゴブリンの姿もある。
「非常に面倒だな...」
アキトは舌打ちしながらも、走り続ける。彼は『矢をたくさん打てるスキル』を使い、矢を増殖させていく。
(アドレナリンが吹き出ているのを感じる...!)
それほどの興奮が全身を駆け巡る。アキトは新しい矢にワクワクしていた。
そんな時、斥候のゴブリンがアキトに気づく。
(やつのスキルは...『声がとっても大きくなるスキル』だ!)
『スキルのことがよく分かるスキル』で、アキトはゴブリンのスキルを看破した。
次の瞬間、アキトは腰を抜かすほど驚愕した。
「ギャアアアア!!!!!」
和田アキ子もびっくりの爆音で、そのゴブリンが警戒を呼びかける。数十匹のゴブリンの注意が、一斉にアキトに向けられた。
「くっ...!」
アキトはこれほどのゴブリンたちに袋叩きにされる未来を想像し、恐れた。しかし、やることは決まっていた。
「行くぞ...!」
アキトは150匹の集落に向けて、炎爆の矢、雷撃の矢、緑樹の矢を3本束ねて発射した。
火の矢・草の矢・電気の矢で構成された混合魔法。今回は、矢自体が2段階強化されている。火→炎→炎爆という形だ。
加えて、『矢をたくさん打てるスキル』でそれぞれの矢が3倍に増殖し、『魔法がチョットだけ大きくなるスキル』で威力と魔法のサイズも増大している。
「さあ、どうなるか...!」
アキトは期待に胸を膨らませる。しかし、放った瞬間、彼は後悔した。
「1本ずつ試すべきだった...!」
そう思うほどの熱と閃光が、ダンジョンを包み込む。
ダンジョンの中では、他の冒険者たちが探索を続けていた。
「ん?何か......揺れ......?」
不吉な予感に、冒険者たちは足を止める。
次の瞬間、凄まじい閃光と爆音が彼らを襲った。
「うわあああああ!!」
「な、何だ!?何が起きたんだ!?」
冒険者たちは恐怖に震える。ダンジョンを揺るがす振動に、彼らは立っていられず、次々と地面に倒れ込んでいく。
地上の冒険者ギルドでも、その衝撃は伝わっていた。
「ダンジョンから、凄まじい魔力反応を感知!」
「こ、これは...一体何が...!?」
ギルドの者たちは呆然と、ダンジョンの方向を見つめる。今まで感じたことのない、規格外の魔力の波動。ダンジョンが哭いているように激しい揺れがギルドまで届いている。それは、彼らの常識を軽く超えていた。
「ゴオオオオオオオ!!」
「ドガガガガガガガ!!」
ダンジョンの中では、地獄のような轟音が響き渡る。まるで、世界の終わりを告げる、天変地異のようだ。
轟音と共に、炎と雷がダンジョンの中で渦巻いていく。緑樹の猛威が、それに呼応するように集落を飲み込んでいった。
「ギャアアアア!!」
「グギャアアアア!!」
ゴブリンたちの断末魔が、ダンジョン中に木霊する。彼らの肉体は炎に焼かれ、雷に打ち砕かれ、樹木の猛威に引き裂かれていく。
彼らの体は、跡形もなく消し飛んでいった。
ほんの一瞬で、集落は焼け野原と化した。そこには、太ももほどはあったであろう、木の根が、焼き焦がされ、ちぎれ、無数に地面に転がっている。
その影に灰となったゴブリンたちの魔石がキラキラと散乱していた。
「はぁ、はぁ...」
アキトは荒い息をつきながら、その光景を見つめる。
「スーパーバリアの矢を自分に放っておいて良かった...」
アキトは自分の判断に感謝していた。あの威力を直接浴びていたら、自分も危なかったかもしれない。
「こ、これが...俺の力なのか...」
アキトは自分の手を見つめる。彼の中に、未知なる力が眠っているのだ。
集落は壊滅し、灰となったゴブリンたちの魔石が地面に転がっている。
「あとは...回収するだけだな」
アキトは深く息を吸うと、魔石を集めに向かった。
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