「第34話 - 金森の野望」
高級マンションの一室で、金森は窓の外の夜景を眺めていた。彼女の脳裏には、先ほどまでアキトとの会話が蘇っている。
「アキト...あの男は、とんでもない存在だわ」
金森は呟くと、自分の身を抱くようにして打ち震えた。
彼女は『お金を稼ぐ力が見えるスキル』を持っている。スカウトとして最も重宝されるスキルは『相手の強さがわかるスキル』だと言われているが、金森のスキルはあまり重宝されてこなかった。
「私は、一人でなんとかやってきた.....」
金森は自嘲気味に呟く。他のスカウトの反応を利用して、自分のスキルと組み合わせることで、将来伸びる冒険者を見出し、取引を続けてきたのだ。
(今では国の限られた鑑定枠を分けてもらえるまでになった......)
彼女は努力を重ねてきた。そして、その努力が実を結んだのだ。
そんな金森が、アキトの顔を思い浮かべて身を震わせている。
「あれは...あれは間違いない。奴はスキルオーブを狙って手に入れられる人間だ」
彼女の直感が、スキルが、そう告げていた。
「私が、いち早く彼に気づいたのよ」
初めて試験会場で彼に会ったとき、彼のオーラに圧倒された。彼が纏うオーラは彼女が今まで見てきたどんな金持ちよりも圧倒的で、底が見えなかった。
弓を持っていたからという理由だけで、まわりのスカウトは全員興味を失っていた。
「馬鹿な奴らだ、本当に......」
金森は勝ち誇ったように笑う。
「アキトは他人からの干渉を嫌う。私は言われたことをして、聞かれたことに答えるだけの人間でなければならない」
彼女の野望は、アキトを独占することだった。
「誰にも渡さない...アキトは、私だけのものよ」
彼女の瞳には、狂気にも近い光が宿っていた。
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