「第29話 - ゴブリン狩りの新たな境地」
新たなスキルを手に入れたアキトは、さらなる力を求めてダンジョンの探索を続けていた。彼は高まった魔法の威力を存分に活かし、ゴブリンを次々と倒していく。
「よし、このペースなら効率よく狩れそうだな」
アキトは満足げに呟きながら、ゴブリンの群れに矢を放つ。炎と雷、そして草の魔法が絡み合う混合魔法の矢は、ゴブリンを一網打尽にしていく。
「ギャアア!」
ゴブリンの断末魔が、ダンジョンに木霊する。アキトは倒したゴブリンから魔石を回収しながら、近くのゴブリンのスキルの取得条件を確認するようになっていた。
「獲得条件は...『両目を潰してから喉を貫いて討伐』か。これじゃあ、偶然達成するのは難しいな」
彼は溜息をつく。そもそもスキル自体も別に自分のものにしたくないようなスキルばかりだった。
「数万匹のゴブリンの中から有用なスキルを見つけるのは、もう諦めるか...」
この広いダンジョン全体に『スキルのことがよく分かるスキル』を展開して、一匹一匹のスキルを確認していくのは非常に骨が折れる。目で見てるわけでもないのに目がしばしばするのだ。
アキトは首を振ると、再び高効率なゴブリン狩りに専念することにした。
彼が次に向かったのは、100匹単位のゴブリンのコロニーだ。今までは避けていた大所帯だが、アキトの力なら一網打尽にできるはずだ。
「このコロニーは数は多いが、散らばってるな。まずは草の矢を遠距離から叩き込むか」
アキトは弓に草の矢をつがえると、一気に放つ。『魔法がチョットだけ大きくなるスキル』の効果で、以前よりも太くなった蔓がゴブリンを締め上げる。
「おっ、締め上げるだけじゃなくて跳ね回ってゴブリンに打撃を加えてるぞ。次々と倒していく...なんか草の矢の魔法、賢くなってないか?」
草魔法がゴブリンを殺すために最適な手段を模索し、調整しているように見えた。彼は感心しながら、次なる攻撃の機会をうかがう。
その時、コロニーの奥からホブゴブリンが3体ほど現れた。ぞろぞろと手下のゴブリンも30匹ほど従えている。
「ホブゴブリンか...でも、容赦はしないぜ」
アキトは冷酷に笑うと、躊躇なく混合魔法の矢を放った。燃え上がる蔓と電気がホブゴブリン3体の体を焼き焦がし、瞬く間に息の根を止める。
「ギャアア!」
後ろに控えていたゴブリンたちが怯えて逃げ出す。アキトは容赦なく、炎の矢を使って追撃した。
「氷の矢を使えば閉じ込めることもできるけど、魔石が広範囲に散らばるから面倒なんだよな。追い散らしてしまう方が効率的だ」
彼は戦略を練りながら、次々とゴブリンを倒していく。
「待て、こいつは...『爪がきれいになるスキル』か。そのゴブリンだけ、スキルをオフにして氷魔法の矢を放ってつかまえておこう」
ゴブリンのコロニーは完全に崩壊した。灰になったゴブリンたちの魔石が転がり、下半身を氷漬けにされたゴブリンの鳴き声が響く。
アキトは魔石を拾いながら、『爪がきれいになるスキル』の獲得条件を確認する。
「獲得条件:すべての爪を破壊したあとに討伐すること...か」
彼は眉をひそめる。
(この獲得条件とやら、偶然達成するにはかなり厳しいものが多いよな...スキルオーブの獲得率が1万とか百万分の1と言われているのもうなづける話だ)
アキトは肩をすくめると、雷の矢でゴブリンの両手両足を破壊し、討伐した。
「ギャアア!」
ゴブリンの悲鳴が響き渡る。
「すまんな。獲得条件を恨んでくれ」
魔石とスキルオーブが残された。アキトはオーブを手に取る。
「取れるから取ってみたものの、まあ獲得条件を達成したら100%落としてくれるわけじゃないかもしれないからな。その確認という意味合いもあったんだが...手に入っちまった」
彼はスキルオーブを眺めながら、首をかしげる。
「手に入ったものの、別に使いたくないよな...」
アキトは思い出す。あの金髪の美女、確か金森と言ったか。彼女はめちゃくちゃスキルを持っていたような気がする。
「眺めた感じ、『文字がはっきり見えるスキル』とか、『太陽に焼けなくなるスキル』とか、くだらないスキルがたくさんあった気がするんだよな」
彼は思案する。
「もしかしたら、こんなスキルでも買ってくれるかもしれない。電話してみるか?」
アキトは意を決して、金森に電話をかけた。
「もしもし、金森さん?スキルオーブを買いませんか?『爪がきれいになるスキル』なんですけど」
電話の向こうで、金森の声が聞こえてくる。
「いたずら...ってわけじゃなさそうですね。買います......アキバわくわくダンジョンですか。15分後には入口におりますので、好きなタイミングで出てきてください」
話が早い!というか場所も一瞬でバレた。あの人、どんな方法使ったんだろう。
アキトは驚きを隠せない。彼は急いで魔石を拾い集め、ダンジョンを後にした。
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