「第27話 - ゴブリンメイジとの再戦」
「とはいえ、あいつ強いよな。ちゃんと作戦立てないと倒せない......」
ゴブリンメイジは、並のモンスターとは比べ物にならない強敵だ。さっきの強力な混合魔法ならゴリ押しで行けるかもしれないが、それだけでは不十分かもしれない。
「よし、ちゃんと作戦を立てよう」
アキトは地図を取り出し、周辺の地形を入念に確認する。ゴブリンメイジとの戦いをシミュレーションし、最適な戦略を練っていく。
彼はブツブツ呟きながら、作戦をイメージする。
「よし......」
アキトは自信を深める。これなら、ゴブリンメイジのバリアを破り、倒すことができるはずだ。
作戦を決めた彼は、再びゴブリンメイジに向かって進む。ダンジョンの薄暗い通路を、慎重に歩いていく。
やがて、ゴブリンメイジの姿が見えてきた。アキトは息を潜め、近づいていく。
「よし...いくぞ!」
彼は勢いよく飛び出すと、3本の矢を束ねて放っていく。アキトの足元ではバリア魔法が重なり複数のバリアが展開される。その後電撃魔法が炸裂し、ゴブリンメイジを襲う。
「ギャアアㇱ!」
ゴブリンメイジは即座に反応した。すぐにバリアを展開して防御してくる。
「くっ...バリアか。だが、次の攻撃で破ってみせる!」
アキトは火の矢を3本、矢継ぎ早に放つ。灼熱の炎がゴブリンメイジのバリアを焼き尽くしていく。
「ギャオオオ!」
バリアが破れた瞬間、ゴブリンメイジの絶叫が響き渡る。だが、致命傷とはならなかったようだ。
「これじゃ倒せないよな!」
アキトはニヤリと笑うと、炎魔法の煙幕に紛れて逃げ出した。
「クオオオ!」
背後では、怒り狂ったゴブリンメイジが追ってくる。手傷を負わされたことで、ブチギレているのだ。
「くっ...!距離を取らないと!」
アキトは必死で走りながら、氷魔法や草魔法の矢を放つ。ゴブリンメイジの動きを封じ、少しずつ距離を稼いでいく。
「ここだ!」
彼は地図に記された位置まで到達すると、一気にペースを上げる。そして、ゴブリンメイジとの距離を大きく引き離した。
「よし、この道を通れば、やつの背後に回り込める!」
アキトは『スキルのことがよく分かるスキル』で、ゴブリンメイジとの距離を確認しながら、素早く移動する。
ゴブリンメイジの背後に回り込んだアキトは、息を潜めて狙いを定める。
「今度は...草、火、電気の矢を1本ずつ束ねた混合魔法だ!」
彼は静かに呟くと、混合魔法の矢を放った。
今まで不意打ちでは攻撃してきていない。アキトは常に相手の前でバリア魔法を展開していた。不意打ちの機会を捨ててでも、効果時間の短いバリアを戦闘中貼り続けることを優先していたからだ。
つまりゴブリンメイジにとって不意打ちで攻撃されるのはこれが初めてになる。
「ギャオオオ!」
「とはいえ、お前なら間に合うよな。バリア展開」
ゴブリンメイジはバリアを展開する。しかし混合魔法の矢はそれを易々と貫いていく。
「ビリビリバチバチ!」
雷炎がバリアを食い破り、ゴブリンメイジの腕を焼き焦がした。
「グオオオ!」
ゴブリンメイジは苦痛に悶えながらも、ここが勝負どころだと悟ったようだ。痛みに耐えながら、アキトに向かって杖を向ける。
(まずい...!魔法を撃たれる!)
アキトは焦りを感じながらも、ニヤリと笑みを浮かべた。
「悪いな。俺のバリアは持ち運べるんでね」
彼はさっき通路を回り込む時に、この一撃に耐えるため、自分にバリアを複数重ねがけしていたのだ。
雷炎が落ち着き、こちらのバリアの存在に気づいたゴブリンメイジが絶望したように見えた。
ゴブリンメイジが放ったファイヤーボールは、アキトのバリアに阻まれて消散した。バリアにヒビが入るが、ゴブリンメイジの捨て身の反撃は防ぎきった。
「これで終わりだ」
アキトは冷酷に呟くと、混合魔法の矢を再び放つ。
「ギャアアア!」
絶叫と共に、ゴブリンメイジは崩れ落ちた。複数の属性魔法による連携攻撃が、強敵の命を奪ったのだ。
ゴブリンメイジの体は灰となり、風に乗って散っていった。ダンジョンの魔物は、死ぬとこうして消えてしまうのだ。
「はぁ、はぁ...やった...倒せた...!」
アキトは荒い息を繰り返しながら、ガッツポーズを取る。長い戦いだったが、彼の作戦は見事に功を奏した。
倒れたゴブリンメイジの傍らには、ゴブリンと比較すると高級そうに見える魔石と、例のスキルオーブが転がっていた。
「よし...『魔法がチョットだけ大きくなるスキル』、ゲットだぜ」
アキトは満足げにオーブを手に取ると、ポケットにしまい込む。
「混合魔法と、バリアの重ねがけ...この二つが勝利の鍵だったな」
彼は感慨深げに呟いた。ゴブリンメイジを倒したことで、アキトは大きな自信と新しいスキルを得たのだった。
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