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スキルホルダーになったので、ダンジョンで無双します!  作者: よだれどり星人
1章 『スキルのことがよく分かるスキル』
25/92

「第25話 - 狩りの日常」

 アキトは冒険者としての新たな日常を迎えていた。今日も彼は、アキバわくわくダンジョンでゴブリン狩りに勤しんでいる。


 「よし、今日もがんばるぞ!」


 彼は意気込みを胸に、ダンジョンの入り口に立つ。昨日との違いは、地図を買ったことだ。


 「昨日は帰りに迷子になりかけて、かなりしんどかったからな。地図があれば、自分がどこにいるかを意識できるし、安心して探索できるぜ」


 アキトは3000円で購入した地図を手に取り、満足げに頷く。


 「これで、ダンジョンの構造がわかりやすくなったな」


 冒険者にとって、地図は必需品だ。迷わずにダンジョンを探索できるのは、大きな利点である。


 「そういえば、なんで俺は最初に地図を買わずに潜ったんだろう。そうだ、最初はすぐ帰るつもりだったんだっけ」


 アキトは苦笑しながら、ダンジョンに足を踏み入れる。彼は『スキルのことがよく分かるスキル』を使って、ゴブリンの気配を探った。


 「おお、今日はゴブリンの数が多いな!昨日よりもまとまっている。朝だからか?」


 彼は期待に胸を躍らせる。多くのゴブリンを狩れば、それだけ多くの魔石が手に入るのだ。


 「一か所にまとまっているなら、回収も移動も楽だしな。一気に倒すのが効率的だ」


 アキトはニヤリと笑う。


 「ホブゴブリンが2匹以上いないか、確認しておくか」


 彼は慎重にスキルの内容を確かめていく。ホブゴブリンは、通常のゴブリンよりも強力だ。


 「2匹以上同時に相手取るようなリスクは取りたくないからな」


 アキトは警戒しながら、周囲を見渡す。


 「よし、ホブゴブリンの気配はないな。いくぞ!」


 彼は弓に矢をつがえると、ゴブリンの群れに突撃していく。


 「てやぁ!」


 アキトの放った炎の矢が、ゴブリンの群れを襲う。灼熱の炎が、ゴブリンたちを焼き尽くしていく。


 「ギャアア!グギャアア!」


 ゴブリンの悲鳴が、ダンジョンに木霊する。彼らは次々と灰となり、魔石だけを残して消えていった。アキトは容赦なく、矢の雨を降らせ続ける。


 「よし、片付いたな」


 彼は満足げに呟くと、倒したゴブリンが落とした魔石を回収していく。


 「今日は結構いい収穫だな」


 アキトは鞄の中の魔石を確認し、にんまりと笑う。この調子でいけば、いい金になりそうだ。


 そんな時、彼は妙なスキルを持ったゴブリンの存在に気づく。


 「ちょっと遠いけど、いるな。向かってみるか」


 アキトは『スキルのことがよく分かるスキル』で、そのゴブリンのスキルを確認する。


 「『逃げ足が速くなるスキル』...?」


 彼は興味深そうに、ゴブリンを観察する。


 「昨日調べた話だと、モンスターを討伐すると一定確率でスキルオーブを落とすんだよな。でも、ゴブリンのスキルって、『腐った生肉を食べられるスキル』とか『爪が鋭く固くなるスキル』とか、微妙なのが多いんだよな。ゴブリンファーストって感じで、ゴブリンにとっては必須だけど、冒険者には使えないスキルばかりだ」


 アキトは首をかしげながらも、そのゴブリンに向かって歩き出す。


 「まあ、『逃げ足が速くなるスキル』は、ちょっと有用そうだけどな。狩ってみるか」


 彼は意を決して、ゴブリンに矢を放つ。しかし、ゴブリンは素早く矢をかわし、逃げ出していく。


 「くっ、速い!」


 アキトは舌打ちしながらも、すぐに次の一手を打つ。彼はバリアの矢を3つ束ねて放たれた矢は『矢をたくさん打てるスキル』の効果で増殖し、9つのバリアとなってゴブリンの逃げ道を塞いでいく。


 「これで、逃げられまい!」


 追い詰められたゴブリンは、恐怖に震えながらアキトを見上げる。


 「おしまいだな」


 アキトは冷酷に呟くと、雷の矢を放った。電撃に貫かれたゴブリンは、絶命する。


 「よし、片付いた」


 彼は倒れたゴブリンを見下ろす。しかし、そこにスキルオーブの姿はなかった。


 「スキルオーブは落ちてないか...」


 アキトは溜息をつく。スキルを持ったモンスターからは、一定確率でスキルオーブが排出されるはずだ。


 「一定確率って、1万に一つから百万に一つとも言われているからな。レアなスキルだから、落とす確率が高いのかと思ったんだけどな...」


 彼は肩を落としながら、魔石だけを回収する。


 「遺跡で拾ったオーブは、どういうことだったんだろう...」


 アキトは首をかしげる。


 「このダンジョンは結構走り回っているけど、全然あんな感じで壁からスキルの気配は感じないしな。あの時は運が良かったのかもしれない」


 彼は疑問を感じながらも、再び狩りを続ける決意を固める。


 「まあ、いいか。狩りを続けよう」


 アキトは気を取り直すと、再びゴブリン狩りに励み始めた。彼にとって、これは日常の一部なのだ。


 ダンジョンの奥へと進むアキト。彼の周囲には、無数のゴブリンの姿があった。


 「今日も、たっぷり稼がせてもらうぜ!」


 彼は弓に矢をつがえると、再び戦闘態勢に入る。


 「さあ、狩りの時間だ!」


 アキトの心は、昂揚感で満たされていた。冒険者としての喜びを、彼は全身で感じているのだ。


 ダンジョンに、再び魔法の光が踊る。炎、氷、草、そして電気。多彩な魔法が、ゴブリンを薙ぎ倒していく。


 「はぁ、はぁ...まだまだ、いけるぜ...!」


 アキトは興奮に頬を染めながら、さらなる戦果を求めて奥へと進む。


 彼の冒険は、終わることを知らない。ゴブリン狩りという名の、究極の娯楽が彼を待っているのだ。

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