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スキルホルダーになったので、ダンジョンで無双します!  作者: よだれどり星人
1章 『スキルのことがよく分かるスキル』
23/92

「第23話 - 驚きの買取額」

 アキトは夢中になってゴブリン狩りを続けていた。気がつけば、辺りは夕暮れに染まっていた。


 「はぁ、はぁ...今までの人生で、一番楽しかったかもしれないな」


 彼は満足げに呟く。年甲斐もなく大はしゃぎしてしまった。


 「そういえば、ステータスはどうなってるんだ?」


 アキトは冒険者カードで、自分の情報を確認する。


-------------------

プレイヤーランク ★

プレイヤーレベル 3

 次のレベルまで 94

 累積経験値 237

ステータス

 HP 100→102

 MP 10→11

スキル

『スキルのことがよく分かるスキル』 -

『矢をたくさん打てるスキル』 ★

-------------------


 「おおっ、気づいたらレベル3になってる!HPも2上がってるな」


 アキトは驚きと喜びで目を見開く。この調子で狩りを続ければ、どんどんレベルが上がっていきそうだ。


 「でも、2%アップじゃ、なかなか効果も実感できないかもな」


 彼は少し残念そうに呟く。漫画で見るようなレベルアップ時の演出や、ステータスの全回復といったご褒美はないようだ。


 「まあ、そんなご都合主義が通用するわけないか」


 アキトは苦笑しながら、ギルドに向かって歩き出す。歩くたびに、ジャラジャラと音が鳴る。


 「結構な数の魔石を回収したからな。ホブゴブリンも3体は倒したし」


 彼は満足げに鞄の中身を確認する。初遭遇のホブゴブリンの後、さらに2体と遭遇し、見事に討伐したのだ。


 「ゴブリンの気配だけを追っかけてたら、迷子になるところだったなぁ」


 アキトは危機一髪だったことを思い出し、冷や汗をかく。


 「マジで帰れなくなるところだった...怖かった......」


 彼は心の底から後悔していた。スキルに頼りすぎるのは危険だと痛感する。


 「人間のスキルの気配をたどって、なんとかダンジョンから脱出できたけど......もっと慎重にならないとな」


 アキトは反省しつつ、ギルドの建物に足を踏み入れる。


 ギルドは夕暮れ時のため、冒険者たちでにぎわっていた。男女問わず、様々な装備を身につけた冒険者が、談笑しながら帰路についている。


 「みんな、疲れた様子だけど...楽しそうだな」


 アキトは冒険者たちの表情を見て、微笑む。自分もこの仲間入りができたことが、嬉しくてならない。


 そんな思いを胸に、アキトは受付カウンターに向かう。


 「すみません。魔石の買取をお願いしたいんですが」


 アキトは受付嬢に声をかける。


 「はい。プレイヤーカードと魔石をお出しいただけますか?」


 彼は言われた通りに、カードを出し、袋に入れていた魔石を机の上に出していく。するとそれを見た受付嬢も、ギルドの中の人々もざわついているように見えた。


 「少々お待ちください」


 受付嬢は大量の魔石を運んでいく。アキトは何が起こっているのか、戸惑いを隠せずにいた。


 「なんだろう...なんか変なことしたかな?」


 彼は不安げに周囲を見渡す。他の冒険者たちも、興味深そうにこちらを観察している。


 「ち、注目の的だ......早く済ませたいな」


 アキトは内心で焦りを感じていた。こんなに注目されるのは、人生でもあまりないことだ。


 しばらくして、受付嬢が戻ってくる。彼女は驚きに満ちた表情で、アキトに告げた。


 「買取金額は14万3000円になります」


 14万3000円!?1ヶ月分の給料にも匹敵する金額じゃないか!


 アキトは心の中で叫ぶ。こんなに稼げるとは思ってもみなかった。


 「信じられない...本当に、こんなにもらえるんですか?」


 彼は動揺を隠せずにいた。


 「レベル3...入場記録も初めてですし......まさか、初めての冒険ですか?」


 受付嬢が尋ねる。その表情は、驚きと好奇心に満ちている。


 「あ、はい。そうなんです」


 アキトは頷く。


 「ゴブリンだと魔石一つで1000円ほど、ホブゴブリンだと5000円くらいですね。1匹も倒せなくて帰ってくる人が普通ですし、このダンジョンじゃ、パーティーでも20体以上倒してくる人はベテランしかいませんよ」


 受付嬢の言葉に、アキトは目を丸くする。


 「そ、そうなんですか。何か秘訣があるんですか?」


 彼は思わず尋ねてしまう。


 「そ、それはこちらのセリフです...」


 受付嬢は苦笑いを浮かべる。


 「今日は、ご自身で討伐されたんですか?」


 「は、はい。一人で潜ってました」


 アキトが答えると、受付嬢は驚愕の表情を浮かべた。


 「一人で、これだけ討伐するなんて...とても初心者とは思えません。良いスキルを授かったのですね」


 彼女は感心したように呟く。その間にも、彼女の手はスムーズに買取の処理を進めていく。


 「ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております」


 受付嬢は笑顔で言う。アキトは頷くと、ギルドを後にした。


 「いや、マジでわからんな。ベテランでも20匹って...どういうことなんだろう」


 アキトは首をかしげる。自分の力が、異常に高いことに気づき始めていた。


 「帰ったらちょっと考えてみるか...」


 夕暮れの街を歩きながら、アキトは今日の出来事を反芻していた。


 「こんなに稼げるなら、冒険者も悪くないな...」


 彼は小さく呟く。弓の魔法を使えば、ゴブリン狩りは楽勝だ。これからは、冒険者として生きていくのも良いかもしれない。


 「明日も、ダンジョンに潜ってみるか...」


 アキトは意を決して、家路を急ぐ。彼の冒険者人生は、予想以上の幸運なスタートを切ったようだ。



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