「第15話 - 実技試験の真実」
アキトは他の受験者と共に、実技試験の会場に集まっていた。テストは仮想モンスターとの戦闘らしい。
「1人ずつ呼び出されて、順次戦闘しているみたいだな」
アキトは周囲の様子を観察する。しかし、他の人がどういう戦闘を行っているかは見ることができない。
「しばらく待たされるのか...」
彼は緊張を隠せないまま、自分の番を待つ。
「アキト・サトウさん、お願いします」
ようやく呼ばれたアキトは、テスト会場に向かう。
「テストの難易度を選択できます。スカウターの方々に設定を任せることもできますが、どうしますか?」
係員に尋ねられ、アキトは少し考えた。
「じゃあ、お任せで」
彼はぶっきらぼうに答える。
「まぁ悪いことにはならんだろ」
アキトは内心で呟き、テストルームに入った。
30メートル四方の空間に入場すると、目の前には5匹の武器を持ったゴブリンがいた。
「10秒後にテストを開始します」
音声が流れ、アキトは身構える。彼は腰にぶら下げている矢筒から、魔法が込められた矢を取り出す。
「始め!」
合図と共に、ゴブリンが一斉にアキトに向かって走ってくる。彼は後ろに距離を取りながら、一本目の矢を放った。
「氷結の魔法が込められた矢だ」
アキトは心の中で呟く。この矢は2メートル弱の範囲にわたって物体を凍りつかせる。どれくらいの拘束力が期待できるか、狙ったところに飛んでいってくれるかどうかに不安があったが、その点は問題なかった。
3つに増えて発射された矢は、3つの魔法を発動し、5匹のゴブリンのうち3匹は下半身全体が氷漬けになっている。残りの2匹は片足だけが拘束されている状態だ。
「これで行けるか...」
アキトは次の一手を考える。彼は雷魔法が込められた矢を取り出し、落ち着いて狙いを定める。
放たれた矢は、再び3つに分裂し、ゴブリンに命中した。瞬時に、5匹のゴブリンが黒焦げになって倒れる。
「意外だな...氷魔法と違って、雷魔法は効果が重なっているようだ」
アキトは驚きを隠せない。3つに増えたことでコンボ効果が発生したのだろうか。
■続きが読みたいと思った方は
どうか『評価』【★★★★★】と『ブックマーク』を......!
ポチッとお願いします!