「第14話 - 隠されたスキルの秘密」
「じゃあ、なんで私に声をかけたのですか?」
アキトは疑問を投げかける。美女は微笑み、答えた。
「私のスキルは、人の稼ぐ力がわかるというものなんです」
アキトは内心で苦笑した。嘘は言ってないけど、本当でもない。彼は『スキルのことがよく分かるスキル』を使ったときに、会場の中で一番たくさんのスキルを持っていたのがこの女性だと気づいていた。確かに『人の稼ぐ力がわかるスキル』を持ってはいるが、それがすべてのスキルだといわれたら違う。ミスリーディングだ。実際、保有しているスキルが多すぎてどんなスキルを持っているか確認しきれていないくらいだ。
「たくさん魔法付きの矢をお持ちですし、かなり稼がれているのでは?」
美女の問いかけに、アキトは戸惑いを隠せない。
「いえ...私自身はフリーアルバイターでして...」
アキトは正直に答えた。矢自体はスキルで増やしてきたものだ。転売すれば稼げるのではないかと言われそうだが、ストアの店員に、そういうことをしてお金を儲けたらダメだと忠告されていた。
「あら......富裕層の方ではありませんでしたか。なら、冒険者になればきっと稼げる...そういう力をお持ちだと思います」
美女は自信たっぷりに言う。アキトは内心で溜息をついた。
(正直、稼げることは期待しているけど......まぁ、それを話してもしょうがないか)
美女がまた、質問をしてくる。
「どういうスキルをお持ちなんです?」
「......弓を打ったら3つに分裂するスキルです」
なんだ、相手が嘘か本当か微妙なことを言ったから、自分もそういうことを言いたくなっちゃったじゃないか。本当は『矢をたくさん打てるスキル』なのに。
あ、やべ、この人嘘がわかるスキルとか持ってないよね?俺は金森のスキルを横目で確認する。
「何か空中に浮かんでる文字でも読んでます?」
「いえ、む、虫が飛んでたもので」
「そうですか...わかりました。ありがとうございます。実技の方もスカウトの人間は見学できるんですよ。活躍を楽しみにしてますね」
そう言って、彼女は去っていった。アキトは複雑な心境で、彼女の後ろ姿を見つめていた。
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