「第11話 - 無限の可能性」
アキトは自宅に戻り、『矢をたくさん打てるスキル』について改めて考えを巡らせた。
「確かに矢をたくさん打てるスキルだったが...」
彼は講習会で体験した矢の増殖を思い出す。一本の矢が三本に増えた瞬間、アキトは自分のスキルの可能性に気づいたのだ。
「考えてみれば、一本数千円の矢を何十本も使い捨てていくなんて、俺の懐事情じゃできそうもないよな」
アキトは溜息をつく。趣味もないので貯金はあるが、収入から考えるとこの講習会だって大きな出費だった。だが、それ以上に彼の心を占めていたのは、スキルの可能性だ。
「とはいえ、弓が増えた。記念にもらった弓もあるし...」
アキトは100均で買ったおもちゃの弓を手に取る。半信半疑で矢をセットし、弦を引く。
「おもちゃの矢も...増えた!」
彼は驚きに目を見開いた。スキルは本物の矢だけでなく、おもちゃの矢にも効果があるようだ。
「たくさん打てるって、ダブルミーニングなのか?資金的にも不自由なく矢を調達できるし、発射する矢も増えてくれる、もしかして、弓を引くのが最初から上手かったのもこれか?疲れずたくさんできるってことで......じゃあトリプルミーニング?」
アキトの頭の中で、考えがめまぐるしく巡る。彼は講習会でもらった本物の矢を、おもちゃの弓に無理やりセットしてみた。
「当然、増えた...!これなら、良い矢を買うこともできるな」
彼はスマートフォンを取り出し、矢の素材について調べ始める。
「ジュラルミンの矢も行ける。カーボンはスポーツ向けか。アダマンタイト、ミスリルになってくると1本10万を超えてくるな」
アキトは目を輝かせながら、画面をスクロールしていく。
「うおっ、魔法付きの矢もあるぞ。1本150万...」
彼は思わず声を上げた。高価な矢でも、自分のスキルを使えば無尽蔵に増やせるのだ。冒険者としての可能性が、大きく広がっていく。
アキトは興奮冷めやらぬ様子で、矢についての情報を探り続ける。世界中の矢を集めれば、どんな強敵にも立ち向かえるかもしれない。
「俺は...最強の冒険者になれるのかも...!」
彼の心は希望に満ちていた。『矢をたくさん打てるスキル』は、アキトに無限の可能性を与えてくれたのだ。
夜更けまで情報を集めたアキトは、ようやくベッドに倒れ込む。天井を見つめながら、彼は冒険者としての未来を想像していた。
「明日からは...冒険者としての本格的な一歩を踏み出すんだ...」
そう呟くと、アキトは静かに目を閉じた。夢の中でも、彼は最強の冒険者としての自分の姿を見ていた。現実となるその日まで、アキトの冒険は続いていく。彼の可能性は、もはや無限大なのだから。
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