「第1話 - 新たな始まり」
現代社会に生きる我々の世界は、15年前に大きな変化を遂げた。突如出現したダンジョンは、人類に脅威をもたらすモンスターを生み出す一方で、未知なる資源の宝庫でもあった。冒険者たちは命懸けでダンジョンに挑み、富と名声を手にしていった。
そんな世界に生きる一人の男、アキトは今日も仕事に追われていた。30歳のフリーアルバイター、彼の生活は常に不安定だ。建設現場での肉体労働から、飲食店での接客まで、その日の気分と求人状況に合わせてアルバイトを掛け持ちしている。
「ふぅ...今日も一日が終わったか」
夕暮れ時、アキトは疲れた体を引きずるようにしてアパートに帰宅した。ボロアパートの一室で、彼はテレビをつける。画面に映し出されたのは、凄腕冒険者たちの活躍を伝える特集番組だった。
『今回のダンジョン攻略で、★4つ冒険者のパーティーが新記録を樹立しました!彼らに与えられた神のスキルが、勝利の鍵を握ったようです!』
アナウンサーの興奮した声が部屋に響く。アキトは目を閉じ、自分の人生について考えを巡らせた。
「俺も...冒険者になれば、人生変わるのかな?」
ふと、そんな思いが頭をよぎる。彼には何の取り柄もない。だが、教会で授かるスキルなら、自分にもチャンスがあるかもしれない。
「よし、明日は教会に行ってみよう!」
アキトは意を決し、その日は早めに眠りについた。朝日が差し込む中、彼は期待と不安を胸に教会へと向かう。
石造りの荘厳な教会に一歩足を踏み入れると、身も心も引き締まる思いがした。神父は優しい笑顔で彼を迎える。
「おはようございます。どのようなご用件でしょうか?」
「あの…スキルをいただきに来ました」
アキトは緊張した面持ちで神父に告げた。
「なるほど、神のお導きを受けに来られたのですね。では、こちらへどうぞ」
神父に案内され、アキトは祭壇の前に立つ。神秘的なオーラを放つオーブが、祭壇の中央で輝いている。
「さあ、オーブに手を触れてください。神があなたに相応しいスキルを授けてくださいます」
アキトは深呼吸をし、そっとオーブに手を伸ばした。オーブが眩い光を放ち、彼の手が吸い込まれるように引き寄せられる。
「うっ...!」
強烈な光に目を眩ませながら、アキトは自分の体に起こる変化を感じた。光が収まると、彼の脳裏に「『スキルのことがよく分かるスキル』」という言葉が浮かぶ。
「どのようなスキルを授かりましたか?」
神父の問いかけに、アキトは呆然と答えた。
「『スキルのことがよく分かるスキル』...だそうです」
「ほう、聞いたことのないスキルだ。きっと、神はあなたに必要なスキルを授けたはずです」
神父の言葉に、アキトの心は高鳴った。『スキルのことがよく分かるスキル』、それが彼の人生を変える鍵になるのだろうか。新たな運命の幕開けに、アキトの冒険が始まった。
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