大阪事変 ~実行班~
~目次~
・実行班と実行犯
・表は娯楽、裏は情報交換
・実行-移動
・実行-準備
・実行
・緊急事態
・実行班と実行犯
椎島は日本本部の実行班に異動する事となった。実行班は別名実行犯。
組織のお荷物となり、邪魔者達の集いが実行班なのだ。そのほとんどが切り捨ての駒であった。
そこに配属されたということは戦力外通告されたと同じ事。椎島は絶望した。
自分は組織の為に懸命に働いてきた。また組織の為と思いながら数々の罪をしてきた。
それなのにこの様かと全てを諦めた椎島には絶望はなかった。
「これはチャンスだ」
実行班は実は昔に組織の重責に着いた者達が多くいる。
そして情報交換も盛んらしい。
それを利用してなにか組織に復讐を行おうと椎島は考えた。
「情報は実行班の中ではお金。情報を多く知る物はお金持ち、少なければ貧乏。なら大国での支部長に聞くべきか...」
そして実行班のある一室に向かった。
そこには[娯楽部]と書かれた看板だった。
・表は娯楽、裏は情報交換
娯楽部に入った時、あの楽しいそうな娯楽部の看板の図は吹きとんだ。
そこはグレーとブラックの間のようなとても重い囲気が漂っていた。
しかしそれにしてはあまりにも静かすぎた。
(誰も喋っていない...?)
そこには無言の雰囲気で部屋に居る全員が何かを書いていた。
「あ、あの...」
自分が話しかけようとした時、一瞬で気づいた。
(あれは...盗聴器...?)
そこには盗聴器らしき物があった。
それもよく巧妙に隠されていた。
(なるほど...本部の人間はこれで情報を取得しようとしているのか...確かに支部長の多くは自分の得た情報を本部に報告しない人が大半らしいし...だからこうして本部は盗聴器を隠しているのか...)
そして自分も空いている椅子に座った。
すると龍と花を描いたタトゥーが手の甲にある男が隣に座ってきた。
その時、彼は紙を渡してきた。
[見ない顔だがどこから来た?]
そう書かれた紙を渡してきた。
これは返信しないとと思い、紙の裏を使い文章を書いた。
[元韓国支部長の者です。ここに異動してきました]
そう書かれた紙を渡すと、なんの表情に変化無く無言でまた紙を渡してきた。
[ここにはお荷物として扱われていると他の奴らは全員思っているが実際は全然違う。これは組織の不味い情報を処理したり取得したりするために作られた。実際組織は俺達を殺そうとしている]
これには驚きを隠せなかった。まさか裏で組織がこんな事していただなんて...。
また、自分もこの中の対象であることが分かった。
理由は...分からない。
(記憶が...)
椎島は一部の記憶が抜け落ちていた。
それは韓国支部長に慣れてきた時に起きた事なのに全く覚えていない。
日記帳も何回も確認したのに何も出てこない。
(これが関係しているのか...?いや、まさかそんなはず...)
そう思いながら無言で部屋を後にした。
・実行-移動
娯楽部を後にし部屋に戻った。そして少し横たわっているとアナウンスが聞こえてきた。
{...A11棟及び実行班の方々に指令。今すぐに指定した地域に向かえ}
(早速初任務か...まぁこれで自由になれるのなら)
そう思いながら例の地区に車で移動した。
数十分が経った頃、急に目隠しと耳栓をしろと言われた。
各自に配布された。全員は目隠しと耳栓をしたが椎島だけはしていなかった。
(もしかしたら復讐の糸口になるかもしれない)
そうして目隠しと耳栓をポケットにしまった。
そうするととんでもない轟音が聞こえてきた。
「あがっ....?!」
音のはずなのにとても苦しい、まるで鼓膜が破裂どころか人間が破裂レベルだった。
他の人達もとても苦しそうだった。
そしてある看板が見えてきた。
それは[大阪へようこそ!]という看板だった。
(ここは...大阪?何故こんな都会に...?)
そう思いながら「到着したぞ」と言われ車を降りた。
そして徒歩で数分移動したら服を着替えされた。
「そんな服だとバレる。だからこの服を使え」
そういいながらぶっきらぼうに服を渡してきた。
それは誰が見ても私服と思える服だった。
「それじゃ、各自指定された場所へ行け」
そういいながら全員に紙を渡してきた。
「高槻...?」
椎島は高槻と書かれた紙を渡された。
(とりあえずどうすれば...?)
そしてぶらぶら歩いていると駅らしき物が見えてきた。
「阪急鉄道...?」
聞いたことがない鉄道名だった。
駅などを見ていると「高槻市駅」というのがある事に気づいた。
(これなら...!)
そして駅員の目を盗んで無賃乗車を行った。
(楽勝!)
そして電車に駆け込んだ。
「準急、京都河原町行き。次は南茨木」
そうして機械音声が響いていた。
・実行-準備
そして7分程経ち、高槻市に着いた。
「ここが...例の?」
椎島はあたりを見回すがそれらしき物や人はいなかった
と思っていた。
「...隙あり」
そう言ってきたのは小さな男の子だった。
「坊や、ごめんが俺は用事があるんだ。遊びたいなら公園とかに...」
「実行班のくせして命令しないでよ」
そういわれて背筋が凍った。
「...は?」
何故こんな男の子が自分の事を...?
「君は...一体?」
そう聞くと
「教える必要ない。命令された通りに動け。今すぐまっすぐいった突き当りの右方向に[高槻娯楽]と書かれた看板がある店があるはずだ。そこに行け」
無表情で言われて何とも言えなかった。
しかし椎島はある違和感を感じていた。
(この子...生気が全く感じられない)
そんな事を思いながらも命令された通りの場所へ行った。
「高槻娯楽...ここか」
そしてドアを開けた。
そうすると暖かい歓迎で迎えてくれた。
「実行班の方ですね、お待ちしていました。高槻支部の篠岡幸太郎と申します」
そう暖かく迎えてくれた篠岡さんだった。
「さぁ、拳銃や爆弾は準備している。あとは椎島さんの許可だけですよ」
そう暖かく言われたが、裏腹に冷酷だと感じてしまうほどの笑顔と威圧感だった。
・実行
許可を出し、準備された爆弾や銃を運び出していたころ、突然篠岡さんが
「...異能捜査室に気を付けて」
と小声で言った。
最初はただ捕まらないように気をつけろという事だと思っていた。
そして運び終わり、車に荷物を積んで発進した。
目的地は淀川区の地域と書かれており、何をしに行くのか気になっていた所だった。
前の車が急に止まった。
(なんだ?)
そう思いよく見てみると運転手が捕まっていた。
その運転手はさっきのタトゥー男だった。
(...え?)
その男は私服の何人かに逮捕されていた。
「...まずい」
このまま捕まれば自分は即逮捕され豚箱にぶち込まれる。それだけは嫌だ。
そう思い椎島はある物を握った。
それはグロック19という拳銃だった。
そして銃発音が聞こえ、一面が赤い液体まみれになった。
そして一人の男が倒れ叫び声が聞こえてきた。
・緊急事態
椎島はハッとなった。
自分は今人を殺した。それを受け入れるべきなのに受けいられない。これが現実と思えない。
「あ...あ...あ...や...やっちまった...」
タトゥー男が小刻みに震えながら小声で言った。
そして他の奴らがPS20を出し
「手を挙げろ!挙げないなら命の保証はないぞ!」
そして椎島とタトゥーの男は小刻みに震えながら手を挙げた。
(...解放された)
清々しい顔になった椎島だった。
長い間書いてなくてすみませんでした。