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車窓に想ふ

作者: 宿輪 ひなた

初投稿。

私は知っている。この目の中に、この目に映る街のどこかにあなたがいることを。


この駅に停る度にこんなにも鬱々と、だけど、こんなにも穏やかな気持ちでいること。多分あなたのせい。


そして私は知っている。それが多分じゃないことを。でも多分じゃなきゃいけないんだ、私のために。


あなたはきっと覚えていない、というよりむしろ、感じていないんだ。あなたが私たち二人の青すぎる街から離れる時の息詰まる、気胸的な重苦しく切ない、あの、痛み。動けない私が代わりに感じてあげたんだよ。


私は知っている。あなたが今この街にいることを。あなたが言ったんだよ。今はあの街にはいない、今はこの街にいるんだ、って。


私は分からない。その言葉に一体どんな気持ちが乗っているか。迎えにきて、だったりしないかな。いや、もうこんなに遠いんだよ、だろうな。



私知っている。車窓から眺めるだけの私にはなにもできないことを。離れるだけの私を追いかけるあなたがいないと遠くなるばかりなんだ。



私は知りたくない。分かりたくない。理解できるはずがない。あなたを左手の薬指どころか小指ほども分かれなかった私に。私を追いかけるあなたなどいないことを。




私は知っている。あなたは知らない。

あぁ、またねは言えないね。さようなら。

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