15.王国と言う名の帝国ゴーツク
ゴーツク王国は、複数の小国、民族を統合して作られている。
なぜ、帝国ではなく王国と呼ばれているのか、それは、統合後に相手を完全侵略し、全て奴隷として扱っているのだ。
反発すれば皆殺しにする傍若無人な国家である。
王は、バリー・ゴーツク、王太子は、モットー・ゴーツク
「王太子、もう貰っちゃおうか。あの婿さんの国」
「ええ、既に出兵の準備は整い、国境近くに兵が待機しております。
妹は、帰郷するよう手筈が整っております」
「早く子供を作って、婿さん毒殺すれば簡単に乗っ取れると思ったが、まさかこんな馬鹿な国だとは思わなかったぞ。」
「はい、今軍備が整わぬ滅茶苦茶な時に攻めれば、赤子でも落とせますよ」
「ははは、王子いくら何でも赤子では可哀そうだぞ。ははは」
「では、父上出陣の御命令を」
「よし、王太子・婿殿の王国討伐軍の全権を任す。存分に蹂躙して来い」
「ははっ!」
こうしてモットー王太子は、ゴーツク王国の3分の2の大戦力で婿殿の国へ侵略を開始した。
1週間後、王城では、
「国王陛下、大変です。ゴーツク王国軍が国境を越え、こちらに進軍してきます。
距離は後700km、1カ月半でここまで到達予想。
その数40万、大型投石機20機、騎馬軍10万、重騎士10万の大軍でございます。大将は残虐の貴公子事、モットー王太子と思われます。」
「な、何を言っておるのだ。義兄であるぞ。何かの間違いだ。王妃はどこに居る。」
「王妃様は見当たりません。旅行と思われます」
「いいから探せ、とにかく義兄に何ゆえの行軍か親書を出すのだ」
それから二週間後、返答が帰って来た。
――――
我が親愛なる義弟よ。
この国を貰い受ける事にした。
妹は既に我が国に帰郷している。離縁状はないが甲斐性無しの婿殿はいらぬと妹は申しているので、この書状を持って離縁状と思ってくれ。
それから、和睦は無い。折角大軍を送るのに戦いも無しでは詰まらない。
精々抵抗を試みてくれ、人数が少ない中で皆を鼓舞し戦うのはカッコいいぞ。
ぜひ、その雄姿を見せてくれ、暫く躯は門の前に吊るしておくから勇ましく戦った勇者として語り継ごう。
逃げてもいいが、追手は、地の果てまで追い続けるから覚悟してくれ。
国民は、皆、底辺奴隷となる。死ぬまで苦役に携わるから我が王国の牛馬と同じ労働力として頑張って貰う。数年で死んでしまうが、その時は畑の肥やしとして骨までも役に立って貰うのでよろしく頼む。
国をボロボロにして自分の周りしか見えない国王を持った国民は災難だな。
私でも自国民は大事にしているのにお前の方が本当の残虐王だぞ。
では、義弟よ。少しは抵抗して我を喜ばしてくれることを願っている。
ゴーツク王国 王太子 モットーより
――――
「ふ、ふ、ふざけるなー」
国王アインは、宰相を呼んだが、誰も出てこない。
「今、宰相様は、打開策を探るため、各方面に奔走中です」
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それから2週間が経った。
「宰相は、どうした。後2,3週間でゴーツク王国が来てしまうと言うのに」
「宰相は、家財をまとめ、西の公爵領に逃げました。」
「やっぱり逃げたか」
城の上から街を見ると、国民達が西の公爵領を目指して逃げ出していた。
王城は、もぬけの殻となり、数名の侍女、文官以外は、誰も居なかった。
既に王国兵も4,5千名(負傷兵2千名含む)しかおらず、塀の警備もままならない状況となっていたが、王国兵たちは、国民を西に逃がす手伝いをしていた。
国王アインは、数名の侍女、詰めるだけの金銀財宝を馬車に乗せ、文官と共に秘密裡に西へ逃れ、国外脱出を図るべく走り出した。
「折角、親父を毒殺して手に入れた国王の座を手放すことになろうとは、あの無能な宰相と組んだのが運の尽きか。」
これでオウトン王国は、滅亡のカウントダウンが始まった。
誤字・脱字、文章の繋ぎがおかしな所を修正しました。




