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14.騒乱勃発


王国から北へ200kmハーズレの町から200kmの所で両陣営は睨み合った。

当初均衡する数と思われたが、王国 約13万、公爵派9万の兵数は、王国軍が相当優勢だった。

当初、王国側は、危険度の高い10km手前にある渓谷を越えず、決戦に臨みたかったが、これだけ数的優位に立ってしまっては、相手側が渓谷の先までは来ないと判断し渓谷を越えてきた。

そこには、税の重さから兵糧を追加徴収できなかったため、ここで戦をせず逃げられたら、兵糧を減らしただけになってしまい、次の戦いではもっと過酷な条件で戦う事になってしまう。人数が多い程兵糧は重要な問題になって来る。

その為、相手を逃がすことなく短期決戦で勝つ事を余儀なくされた王国軍の事情が有った。

しかし、睨み合った場所が北に向かい緩やかに傾斜している草原、つまり王国軍からすると緩やかな上り坂になる。



正午の銅鑼の音と共に両軍は激突した。


人馬の戦争において、重い鎧や装備を持って走るため、高い方が優位になる。

王国軍は、馬での奇襲横攻めを完全に読まれ、無数の木の槍の的となってしまった。公爵軍は、山に伏兵を忍ばせ、両翼の後ろが手薄となった所を騎馬兵が急襲し、蹂躙しては戻るを繰り返していった。

王国軍は、数的有利を生かせず、じり貧となり戦況不利は否めなかった。


「将軍、両翼の側面騎馬軍2万が全く攻められず、数が激減しています。

中央も接敵面の数は1万程度ですが、地の利を生かされ、側面も虫食いにされてしまいました。戦意も低下し体力的にも劣勢です。

このままでは、時間が経つにつれ、当軍は不利な状況になります。」


公爵軍は、段々と数的不利にも拘らず、地の利を生かし巧妙な策が功を成し、戦線を押しはじめた。


「仕方がない。今は奇策が重要。起死回生の一手は無いか参謀」


「あるにはありますが、大変無謀な作戦です。後世に愚策の誹りは免れませんが致し方ありません。それでもお聞きになりますか」

「今は一刻を争う。早急に述べよ」


「中央に重騎士と盾の部隊を作り、相手を攻撃するのではなく、只強行突破します。

内側に機敏に動ける斥候部隊3000人全員を配備し、本陣近くまで食い込ませ、最後に斥候部隊の玉砕で王子ダビンを殺します。

元々公爵軍は、反国王派であり、王子ダビン一人に集まった軍団です。王子さえ亡き者に出来れば、この戦い自体が無くなります。相当な数の優秀な兵士を犠牲にしますが、価値は絶大です」

一瞬考えた将軍だったが、打開策が無い以上、無謀であろうが一塁の望みがあるならば縋るしかない。

将軍は、粗い戦組であったが速攻で部隊を編成し実行に移した。


王国軍の中央突破軍が公爵軍のど真ん中に風穴を開けた。


予想だにしなかった無謀な戦略は、公爵軍の本陣まで到達した。不意を突かれた王子ダビンは、右太ももに毒矢を受けたが、何とか後方に逃れた。

中央突破した王国軍の進撃はそこまでだった。中央突破軍は両脇から挟まれ、後退も出来ず、磨り潰されて消滅した。


時は夕方になっていた。公爵軍は、王子の手当てのため撤退を余儀なくされた。


「将軍、公爵軍は、撤退していきます。生き残った斥候部隊の話では、ダビン王子太ももに毒矢を受け重傷との事」


「強行突破軍に斥候を投入したのは正解だったな。戦況不利打開のため、こちらも無理な作戦を敷いたのだ。

被害はこちらが甚大だが、相手の方が致命傷を負ったはずだ。

肉を切らせて骨を断つ、参謀見事だった。

兵など徴収すれば幾らでも増やせるが、重要な部隊が結構な数やられてしまった。

立て直しのため、一度出城まで戻るぞ、斥候部隊がいないから、各部隊、警戒は最大限怠るな。


撤退!」


残兵 王国軍9万負傷者2万含む、公爵軍7万5千負傷者1万含む。

多くの死傷者を出したが一戦目は痛み分けに終わり、王国軍も立て直しを図るため一旦30km手前の出城に戻る事とした。


撤退する道は、夜になり、辺りは暗闇となった。


帰り道の間には、渓谷が左右に10km続く道を通らなければ、50km程迂回しなければならない。来るときには、斥候部隊が警戒し安全であることは確認しているが、斥候部隊は中央突破で壊滅したので一抹の不安は残る。しかし、負傷兵の早急な手当と休息が必要で、とにかく全員団子になって出城を目指した。

全兵が渓谷内に入った瞬間

“ガガガ、ガーー”・“ドガガガ、ガーン”


「報告!将軍、前方の部隊が大岩を多数落とされ、全滅。前方を塞がれました」


「報告!将軍、後方の部隊が大岩を多数落とされ、全滅。後方を塞がれました」


「く、今ここで止まるのは危険だ。馬を降りて前方の岩を全力で駆け登れ!」


“フュン”・“フュン”・“フュン”・“フュン”・>>>>>>

前方の岩を落とされた外側から無数の弓矢が降って来る。

王国軍は、前にも行けず、それでいて後ろから兵が押し寄せ,満員電車の寿司詰め状態になってしまった。


“ガラン”・“ガラン”・“ガラン”・“ガラン”・・・・・・

今度は、両横から油が塗られた丸太が無数に振って来た。


“あぎゃあ”“ぐぎゃあああ”・・・・・・・・・・・

そこは、阿鼻叫喚の地獄絵図と化してしまった。


そこに追い打ちを掛けるように火のついた矢が無数に丸太に注がれた。

辺りは火の海と化し、ごおおと猛火の音しか聞こえない。段々黒い煙が一面を覆い尽くし、動く者もいなくなった。黒い煙で窒息してしまったのだ。


それでも前方に逃れた者はいたが、戦意のない兵などただの的に過ぎない。公爵軍伏兵3万の弓矢と槍で倒されていった。命からがら出城まで戻った将軍だったが、出城からまた攻撃を受けた。決戦中に出城(2000人)まで落とされていたのだ。

最早これまでと察した王国軍は、装備を捨て、一目散に王城を目指した。その数は、1万を切っていた。

この戦いは、完全に公爵軍の大勝利であり、王国軍は壊滅と言っていい。

しかし、大将のダビン王子が重症となってしまった。


「おのれ公爵め、13万の兵がほぼ全滅とは、しかし今度は、只では済まさんぞ。兵力はどれ程残った宰相」


「只今戻った兵8000、城兵3000、散り散りとなった兵は5000は戻るかと思われますが、全員が疲弊しており暫くは休養が必要と思われます」


「今攻められれば終わりだな」


「はい、しかしダビン王子が重症を負ったとの情報が入っております。旗印が無ければ彼らは烏合の衆と化します。死亡すればチリジリ、生き残っても怪我が治るまでしばらくは攻めてこないかと思われます。」


「そうか、今回は、汚い手で大敗したが、次までには、準備して必ずこの屈辱を晴らしてやる。早急に徴兵せよ」


・・・・・・・公爵陣営・・・・・・・・・・

公爵陣営は、1年以上前からこの地で決戦に向かうよう準備をしていた。

全財産を投げ売って、重税を徴収された国王側の農民から買えるだけ穀物を買い占めた。

今回の軍編成でも王国から分かりにくい遠縁の者を中立に見せかけ3万の兵を隠した。

これにより、数的優位と見せかけ、短期決戦を仕掛け、渓谷の先まで誘き寄せたのだ。渓谷には少しづつ少しづつ、分からないよう油をしみ込ませた丸太を数万本隠し、岩も簡単に崩せるよう細工していった。本陣の両脇をわざと攻撃させるようにしながら、防御を固め、準備は万端整っていた。

一度目の合戦で疲弊したところを渓谷で仕留め、斬兵を後ろから掃討し、そのままの勢いで王城まで奪還する作戦だったが、王子の負傷で撤退を余儀なくされた。

しかし、あの無謀な中央突破は、全く予想していなかった。


「王子、気をしっかり持ってください」

王子は、毒矢を太ももに受け、うなされていた。


王子は、撤退の為、安静にも出来ず5時間掛かってやっと安全な場所まで戻ってきたが、全身に毒が周ってしまった。


治癒師に治療をさせたが、全身に周った毒は、キュアでは現状維持するのが精一杯だった。


「あと少しで奪還出来る所まで来たのに、なんと不運な。」

状態は、悪化の一途となり徐々に死へ近づいて行った。


・・・・・・・その頃のリッチー・・・・・・・


リッチはその頃ブラックから戦況を聞いていた。

「外れの町から200kmで両軍相まみえましたが、合戦後の虚を突かれ、王国軍壊滅。但し王子ダビン毒矢を受け重傷。おそらく助からないと思います」


うーん、これは国王が、九死に一生を得たな。立て直しをどうするのかそれとも解散するか公爵の方が難しそうだ。ただ、国王の方も重税などの国民負担が大きい現状から立て直すにも簡単にはいかない。

これは、大変な事が起こりそうだ。


「マスター、隣国ゴーツクの動きが少々きな臭い匂いがします」


これまた、問題が起きそうだ。


取り敢えず日記には戦争の内容を記した。


誤字・脱字、文章の繋ぎがおかしな所を修正しました。

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