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13.内乱の機運


パンツも洗い、乾いたので、全員お帰り願おうとしたのだが、


「マスターお願いがございます。我ら全員鍛えて頂けないでしょうか。」


「いやー、生きてる人間って、直ぐ死んじゃうでしょ。彼らと鍛錬すると付いてこれないからアドバイスならさせるよう言っておくよ。

ただ、今のレベルだとアドバイスも難しいから、まず、世界の強敵と死なない程度に戦ってみなよ。」


そう言って皆に指輪を渡した。


「今日通れたのは、悪意がなさそうだったから通してあげたけど、普段は通れないから指輪をあげるね。この指輪があればこの森を通れるようになるから、家の前で叫べば誰か出て来るよ。

後、その指輪をしていれば、瞬殺されずに、エンシェントドラゴンや神獣なんかの神話級の奴らも鍛錬してくれるから頑張ってね」


大賢者アヌベスが、吊るされていた時の縄の縛り方を教えて欲しいというので、ブルーを呼んだ。


「先生、どうかあの縛り方をご伝授ください。私は、今まで究極の形を求めてきました。あの尾てい骨から座骨への結び目の位置、恥骨への縄の通し方は、動けば動くほど締まっていく寸部の狂いもない配置。

どうか一手ご教授を」


「結び目の位置関係は、中年男性型である事は必至。うむ、貴殿からは、私と同じ匂いを感じる。

しかし、吊るした男には、最適な縛りはしていない。あれは、いつでも抜け出せるようツボを0.01㎜外してある。」


「私が、縛れば100人中100人は抜け出せない。それはなぜかわかるかね」


「はい、悦楽、苦痛、恐怖を織り交ぜた感情が、最高の快楽を与える。だから抜け出せないと思っております」


「よし、合格だ。まず、一本の紐を縛る前にどこに縛り目を作るかを予測する事から始めよ。これが相手との勝負だ。何年掛かるか分からぬが、自分の思い描いた通りに8割ができるようになったらまた来い」

何かシリアスに語ってるけど、こいつら単なる変態だよ。


「師匠、必ず達成いたします。」

涙を流すアヌベスであった。


一行は帰っていった。

・・・・・勇者サイド・・・・・

「しかし、凄い使い手だったな。本当に下っ端らしかったし、その上の師匠とは、どんな人物なのだろう。」


「そうね、私の目標とする大聖女が付い走りなんて、いったい幾つになったら到達できるのか想像も出来ないわ」


「ああ、でも人類最強になってから、師と仰ぐものも無く、我武者羅に頑張っただけだからな。これで、レベルアップ出来るぞ。」


勇者達は、強敵を求め、東の国に向かうのであった。


・・・・王国サイド・・・・・・・

「宰相、勇者から手紙が届いています。」


手紙の内容は、

――――

リッチ討伐調査について報告致します。


まず、リッチの危険性ですが、温和であり、枯れ木の森に近づかない限り危険性はありません。

リッチを討伐した場合、先発したクラン・S級冒険者を調査した結果、疫病の可能性が大きくなることが判明しました。最悪、ハーズレの町、金鉱発掘者が全滅の危険性が濃厚となります。


次に貴国の現状が内乱の兆しがある以上、金鉱の発掘は、その勝敗に多大な影響を及ぼすことが分かりました。

勇者法に戦争・内乱に協力してはならない。とあることから、この案件に我々は関与できないことが分かりました。

 よって、今回の依頼は、ご辞退させていただきます。


            以上 貴方の勇者より

――――――――

「ぐぬぬ、勇者め、臆病風に吹かれたか」

宰相は、手紙を床にたたきつけ、王へこの事を伝えた。


「仕方ない、駐留している500名をリッチ狩りに行かせろ」

こうして駐留軍500名は、リッチ討伐の勅命を受け、枯れ木の森に向かったのだが、3日後、森の前に真っ裸の500名が倒れていた。

体には、亀甲縛りの痣があり、全員が下痢ピーで、痙攣していたと言う。

口々に“臭いけどちょー気持ちいい”と言っていたそうだ。

S 級冒険者ほど臭くは無かったが、ハーズレの町の住人は、一度経験した臭いである事から敏感に反応し、町はまた嘔吐と下痢ピーの嵐となり、また疫病が蔓延した。

また、町は一カ月の閉鎖となった。

この厄災を人々は、亀甲の疫として記憶したと言う。

人々は、枯れ木の森に入ると疫病になると話だし、噂は、全国に広まり、最早、枯れ木の森に近づく者は居なくなった。

この間もマリオンの消息を探っていたが、何の情報も無く、完全に見失ってしまった。

危険を察知し、国外に逃亡した説が最も信憑性が高いとなり、調査は中断となった。

時を同じくして、ハーズレの領主は、度重なる厄災に悪影響しか及ぼさない国に対して、正式に絶縁状を送った。

周りの町や村を統括する領主も王妃の散財も含め、危機を感じ完全に公爵派に傾いた。


「第3王子も金鉱も今は保留だ。このままでは、ジリ貧になって負けてしまう。

まだ、余力があるうちに公爵家を叩くしかなくない」


「しかし、今は、勝てるかどうか五分五分です。短慮は禁物ですぞ。もう一度ご再考を」


「宰相、いままでお前の言う事を聞いてきたが、事態は悪い方にしか向いていない。他に方法が在るなら聞くがどうだ。」


「・・・・・ございません」


こうして、軍備の増強を急ぎだした。公爵派も敏感に反応し、両陣営は一触即発の状態となった。



誤字・脱字、文章の繋ぎがおかしな所を修正しました。

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