11.勇者が訪問
勇者が、枯れ木の森を通ってリッチーの家を訪れた。
敵意は感じられなかったので、招いてみたのだ。
家の前には、黒い大地に20m四方の家庭菜園が出来ている。
その上には、スケルトンが一体亀甲逆エビ縛りでぶら下っていた。
大賢者アヌベス「むむ、あの尾てい骨から座骨への結び目の位置、恥骨への縄の通し方は、動けば動くほど締まっていく寸部の狂いもない配置、長年私が追い求めて来た究極の奥義。
勇者よ、侮ってはいかん。我々では、太刀打ち出来ん。」
「それって、変態技が凄いって事でしょ。良いよ良いよそんなの負けても」
「そう言う事ではないのだ。ここまでの研鑽を積むには、「いいってばもう変態の話は聞きたくない」」
家庭菜園では、二人の幼児が泥んこ遊びをしていた。
その横では、「マリオン、そんなへっぴり腰では、土が耕せん。もっとこう、腰を“きゅっ”と入れて鍬を持ち上げんとな」
と、ほうっかむりをしたリッチーとマリオンが居た。
勇者アクアリスがマリオンに尋ねた。
「あのー、すみません。私どもは、リッチの住処を探しているのですがここではないですかね」
「今、お父さんは、そこ耕してますよ。そこ下肥なので踏まない様気をつけてください。
リッチー呼んでるよー」
「ああ、これはこれは、どちら様ですかね」
ほっかむりを取り挨拶するリッチー。
「こんなところで畑耕しているリッチなど聞いたことないぞ。
それも下肥って、お前ウXチ出ないだろ」
「息子夫婦と子供たちのですよ。リッチはウンコしませんよ。当たり前でしょ。
彼らには新鮮な野菜を食べて欲しくてね」
「だから!リッチは子供出来ないだろ付いてないんだから。何で息子が居るんだよ。」
「昔はきっと在ったんですよ。忘れましたがね。まあ、実の息子の訳ないでしょ。育ての親です。常識でしょ。」
「何かムカつくな。私は、勇者だ。単刀直入に言う。ここから立ち去ってくれ、民が困っている」
大聖女メリエンヌが一歩前へ進み、優しく答えた。
「ねえ、リッチさん生きている人間を優先しては頂けませんか。もっと森の奥で暮らして頂ければ、私たちは心優しき民の一人、急に攻撃したり致しませんからいかがでしょうか」
「いやいや、ここにずーと住んでるのに立ち退けとは理不尽ではないですか。
あ、そこ、ウXコ踏んでるぞ。」
「メ、メ、メリエンヌその靴で踏んでる茶色いとぐろ巻いているやつだ。」
「え、え、ぎゃーー、私の聖なる靴に茶色いものがーーー」
「おい、メリエンヌ足を振るな!こっちに飛び散る」
「許せない!、この聖なる私の靴にウウ・・・・・・全て無かったことにしてくれる」
「この世の悪よ、全てを滅し天に帰れ、大聖魔法ホーリーストリーム!」
聖なる光が周りの大気と共鳴し、轟音を轟かせながら聖女の周りを包み始めた。
勇者が叫んだ。
「おい、みんな逃げろメリエンヌが切れた!」
勇者パーティは全員が必死になって逃げだした。
“デルト”
リッチーが一言掛けるとその轟音は無かったように消えた。
そこには、風で舞がったマントの中に大きなスイカ2つが上を向いてプルンプルンと揺れ、真っ白な清純なパンツが見えていた。
「ぁ」とぺたんこ座りをしてしまった。
「いかん、お嬢さんそこに座ったらパンツが大変な事に」
リッチーが叫んだが事すでに遅し。
「え?あーー、パンツに茶色い染みがーーーー、誰かとってーーー、私の清純なパンツがーー」
皆にパンツを見せながら、ちょっと前の方が黄色いのは、ちびった様だ。
「殺す、殺す、絶対殺す、この変態リッチが、神が許しても私が許さない。跡形も残さず消滅させてやる。皆、これは聖戦よ」
ダークが小さい声で「いや、あのリッチ何もしてないけど」
ビューニーが、「だめ、今のメリエンヌには、何か言うと火に油よ。前に腐った卵ふんずけた時、草原が砂漠になったでしょ」
「まあ、勇者の皆さん、そんなに戦闘したいなら、うちの若い衆を出しますから、それでそちらが勝ったらここから出て行くという事で、そちらが負けたら何も言わず帰ると言う事でどうですか」
「馬鹿にしてるのか?お前ら等束になっても瞬殺できるぞ。」
アヌベスが耳打ちした。
「ここは、乗りましょう。ちょっとメリエンヌが冷静さを欠いている中で、どんな不覚があるか分らない。一度冷静になりましょう。追い出せばいいだけだから」
「そうだな、メリエンヌ下がれ、我々は彼らが引き下がってくれればいいだけだ。最初の計画を忘れるな。」
リッチーは、ユームンを呼んだ。
「ユームン来てくれ、お嬢さんがパンツが気になって戦えないだろうから、ユームンのを貸してやってくれないか」
メリエンヌも相手が人間であることから、警戒しながらも家に入っていった。
「これに着替えて」
「え?これ紐ですよね。隠れるとこないですよ。」
「殿方が一番喜ぶのに。じゃあこれで」
「あのー、面積増えましたけど、透けて丸見えなんですけど」
「でも、後これしかないわよ。これだと誰も喜ばないわよ。ただの白いパンツだし」
メリエンヌは小声で、
「これで結構です。今度彼氏が出来たら相談に来ますね。」
そう言って外に出て行った。
リッチーは、外に吊るされていたスケルトンを呼んだ。
「ディースイ降りてこい。今度女の子たちの第4肋骨揉んだら俺でも庇えないからな」
ディースイは、亀甲逆エビ縛りを関節を外しするっと抜けてリッチーの前に現れた。
「すみません。綺麗な第4肋骨だったんでついつい。座骨さわさわしたわけじゃないのに。何回も何回も恥骨蹴りやがって、折れるかと思いましたよ。もうこりごりです」
彼は、ディースイ。ブラック配下の300才新人で、今は暗器の整備担当をしている。ブラックが言うには、未だ未熟との事で、外での活動はしていない下っ端である。
「ゴールドの所に行って、ヨワッピーと騎士やってた新人が居ただろ2人
後、イエローのとこの新人二人とグリーンとこのから新人一人と俺の弟子を連れて来い。
後、適当に武器持ってこいと言っとけ」
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数分後、7人が全員揃った。
かっぽう着を着たスケルトンが、
「マスター、まだ書斎掃除終わってませんけどいいんですか。指で擦られると埃残ってますよ」
「後でやれ、今お客さんがお前らと遊んでくれるそうだ。いつも雑用ばかりでつまらんだろ。」
「お待たせした。勇者殿こちらも取り敢えず揃ったから始めるか。」
遂に勇者VSスケルトン新人組との対戦が始まろうとしていた。




