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詫び石4つ目【チュートリアル終了ガチャ単発】

☆ハーレムへの第一歩目――……!

 その後、しばらく走り続けた俺たちは路地裏に身を潜めていた。



「ふう……よし、誰も追いかけて来ない……」

「はぁっ……! はぁっ……!」

「……! ごめん、無理させたよな。大丈夫か?」



 俺は“バグ”で体力も上がっているためこのくらいなら何ともないが、『彼女』はそうじゃない。

 それを今の今まで忘れていた、申し訳ない。


 その場にしゃがみこんで荒い息継ぎを繰り返す彼女の隣に腰を下ろし、片手で背中を撫でつつ、



「そうだ、水……! 近くの商店で買ってくる、少し」



 待っていてくれ。

 そう言いかけた俺の腕を、彼女の白い手が掴んだ。



「はぁっ……だ、だいじょうぶ、ですから……そばに……そばにいて、ください……」

「!!」



 さっきは戦っていたり走っていたり昼飯は何を食べるか考えていたりでまともに顔を見ていなかったのだが、ゆっくりとこちらを見上げた彼女はそれはもうとても可愛い女の子だった。



(か、可愛い……っ、それはもうとても……!! べらぼうに可愛いぞ!!)



 雪のように白い肌と艶やかな白髪、大きな瞳は「桜の花びらで染めた経験がおありでしょうか?」と聞きたくなるほど淡い桃色をしており、そして何となく耳が尖っている。



「た、助けてくださって、本当にありがとうございました……」

「もっと言うとさっきから声も可愛くて仕方がない」



 いやいや、気にしないで! あれくらいお安い御用だよ! 怪我はない?



「あ、あの……?」

「ああ、ごめん。あまりの可愛さにセリフと心の声が逆になっちゃっただけだから気にしないでくれ」

「……っ!?」



 HAHAHA! 事実を述べただけなのに赤くなるところも可愛いな!



「……これを見てください……」

「うん? ああ、変わったアクセサリーだけどよく似合ってるよ」



 そうそう、彼女は最初に出会った時から千切れたチェーンの付いた首輪と足かせを付けている。



「あっ、アクセサリーではございません! これは拘束具です! 私は囚われていたのです!」

「全然似合ってないよ、この拘束具。センスを疑うね。まったく……ひどい事する人間がいたものだな……許せねぇぜ!!」

「!?」



 そうとは知らず先ほど失言した己への怒りを込めて首輪と足かせをプチッと引きちぎり、近くのゴミ箱へIN。


 女の子は驚いたような表情を浮かべつつ、自分の首を両手でぺたぺたと触っている。

 そして少しすると、恐る恐るといった様子で唇を開いた。



「……ど、どうしてですか……?」

「え? 何が?」

「私……私は、5歳の時に裕福な貴族に飼われ、以来ずっと何不自由ない暮らしを与えられていました……ですが、全ては私が18になった時、処女を散らし性奴隷として酷使するためだと知ってしまったのです! 18で成熟したエルフの処女と体液には不老不死の効果がある、などと言う適当な伝承に踊らされて……っ! ですから17になった今、脱出を試みたのです……そして、助けてくださったのが貴方様でした……そんな私に、どうして『可愛い』だなんて言ってくださるんですか……?」

「説明ありがとう。可愛い声もたくさん聞けたし一石二鳥だよ。答えは一つ、君が“可愛い”からだ」



 それにしても本当にひどい人間がいるんだな……こんなに可愛い子を性奴隷にするだって?

 よし。もしまたこの子を捕まえに来たら、俺が身代わりになろう。



「……わかりません。彼らの手を離れても、私が『奴隷』である事には変わりません……屋敷では『753番』と呼ばれていました……」

「重くないか? その称号」

「えっ?」



 俺はその場に片膝をつき、エルフ少女の片手を取った。



「奴隷、じゃなくて……俺はちゃんと、君を名前で呼びたいよ」

「……!! る……ルロ……ルロ=アンゲスが、私の名前です……」

「そうか、ルロちゃん。良かったら、俺と一緒に旅をしない? 特に目的も無くて、退屈させるかもしれないけど……」



 瞬間、ルロちゃんの瞳から大きな涙がぽろりとこぼれ落ちる。



「……っ、行きます、行かせてください……! 私は今日から貴方様専属の奴隷です!!」

「え? いや、そうじゃなくて……あれ? どこから違った、俺たちの話は……」

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