表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/26

詫び石1つ目

 突然だが、メンテが明けた。



(今回は長かったな……)



 ユーザー各位がゲームを追い出されてから、おおよそ16時間ほど経っただろうか。

 いつもは2〜3時間でメンテを終える有能運営なので、これはとても珍しい事だ。



「やあやあ、16時間ぶりじゃな」

「こんにちは。なんだか久しぶりな気がしますね」



 モブ仲間で親しい老人Aは、いつも通りの朗らかな笑顔を浮かべて少しかくつきながらこちらへやって来る。


 ……ん? 少しかくつきながら?



(きっと読み込みに時間がかかってるんだろうな)



 まだバグが残っているんじゃないか? というのは、きっと俺の邪推だろう。


 そもそも、俺の世界操作を担当するプレイヤーは無線LAN環境のせいでラグい事に定評がある。

 ライバルとの通信対戦中、切断され台パンしがちな事にも定評がある。


 だからきっとそのせい……、



「……っ!? 老人A!! 後ろに雑魚モンスターが!!」

「なに!? 武器すら持たんワシの後ろに雑魚モンスターじゃと!?」

(どうしてこんな所に!?)



 俺たちの住む村にモンスター出現のプログラムは組まれていないはずだ。

 それなのに今、老人Aの背後に犬型の雑魚モンスター通称ドッグが3匹現れうなり声をあげながら一斉に襲いかかるではないか。



「うわぁあああーっ!!」

「危ない……っ!!」



 俺も彼と同じく武器を持っていない上ストーリー内でユーザーの操作するキャラクターと会話をするだけの存在なので防御力なんてそもそも設定されていないというのに、とっさに身を挺して老人Aを庇ってしまった。


 これで俺のモブ人生も終わ



「キャインッ!!」

「えっ」



 神様どうか来世はギャルゲーのモブにしてください、と祈りを捧げた瞬間――……俺に噛みつこうとしたドッグは、その牙が肌を貫く前に2匹まとめて消し飛んでしまう。



「ええ……」



 驚きよりも先に、助けてもらった立場のくせに俺を見てドン引きする老人Aに腹が立つ。



「な、なんじゃ……? 誤作動防止のプログラムでも発動され……、」



 立ち上がろうとした老人目掛けて、残りのドッグ1匹が襲いかかる。



「うわぁあああーっ!!」

「くそっ、さっき見た光景だ……!! おい、やめろ!!」



 一瞬でも怯ませることができればと大声を張り上げ、片手をドッグに向けて伸ばした。


 すると……なぜか俺の手のひらから氷魔法が発動し、ドッグの氷像が1体完成する。



(……ああ、分かった。バグだ、これ)

「ええ……」



 だからドン引きするのやめろ、せめて礼を言え。

◎少しでも「続きが気になる」「面白い」と感じて頂けましたら、左上のボタンからブックマーク登録・広告の下にある【☆☆☆☆☆】で評価などして頂けると励みになります(*ᴗˬᴗ)⁾⁾♡

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ