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07 半ロリの16歳

 金髪でエメラルドの瞳をした少女?に思いっきり叩かれた俺は、そのままベッドの上に倒れた。

 その小さな手にさほどの威力はない。が、手の面積が少ないせいで、一点に集中した勢いのある攻撃が見事に俺を吹き飛ばす。


 これはさすがに痛い。

 けれど少女に殴られたのが唯一の救い。まだよかった。これが見知らぬオジサンとかに赤顔で涙目になられながら叩かれたなら、俺は精神的に死んでいる。いや、数倍の威力により肉体的にも死んでいた可能性がある。

 想像しただけで吐き気に俺は襲われた。



 しかし今俺がすることは、見知らぬオジサンに殴られた俺を想像することではない。目の前でガミガミ俺のことを叱る、金髪少女に誤解を解くべく弁論することだ。いやまぁ誤解ではないのだけれど。

 目を吊り上げ、口を尖らせながら両手をグーで万歳して暴れている少女。とても可愛い。これにあまり発達していない貧弱なものが付いているのがお約束感があり、つい頭を撫でたくなる愛おしさも備わっている。


 俺の頬は緩み、にやけ顔になった。そしてもっとじっと見たいと思い腰を起こし、そのツルツルに輝く細まっている足をじーっと見る。


「いや...俺はロリっ子属性ではないけどすごい...そもそもこの子はロリじゃなくて半ロリだからセーフか...?でもやっぱり一緒に召喚されたスマホ少女の方がタイプ...?でもっ、うぅーん決められーー

「ちょっとさっきからどこジロジロ見ているのよっ!それに私はロリじゃありませんっ!れっきとした16歳!」


 俺が無意識に顎に手を置きながら発した独り言を、顔を真っ赤にした少女がかき消す。その声はとても大きく、もしも元の世界ならば近所迷惑間違いなしだろう。

 そして夜中絶対に出さない音量の声に俺は驚き、体を大きく仰け反らせる。


 しかし俺が一番驚いたのは、その声量ではない。彼女が発した言葉である。彼女は自分の年齢をなんて言った?16歳?

 俺の特技の1つに、人の年齢を確実に当てることができるものがある。確実と言っても凡そのものだが、何歳から何歳の間なのかは一目でわかるのだ。

 肌のつや、しわの数、体系に顔色、話し方など、様々な要素を一瞬で感じ取るため出来る至難の業、俺は生まれつきその才能があったが、彼女は16歳と言った。

 俺は高くても15歳だと思っていた。しかし16歳と言うのは、俺と同い年じゃぁないか。その見た目からは考えることができない。少ししか膨らんでいない胸にその150㎝もないであろう身長の人はたまに居ることだから問題ない。しかし、この小学生よりもつやつやに見える肌で16歳。


「ねぇ君、本当に16歳なのか?」


 俺はその真実が信じられず、疑いの目で聞き返した。それに彼女は、


「本当よ!失礼過ぎるんじゃないの!?」


 と大きな声で答えた。

 どうやら彼女は、少し強めのキャラらしい。あたりが少し強いのだ。しかしそのお陰で、金髪に半ロリ、そしてあたりが強いキャラはギャップ同士が混ざり合い、綺麗な少女へと化けている。


「凄く可愛い。」


 俺はまたもや心の声が漏れ、無意識に言葉を発していた。しまった。また強いあたりを受けて下手したら叩かれてしまうかもしれない。

 自分の頬を勝手につんつんしてきた男に勝手に歳を疑われ、今度は勝手に可愛いと言われる。状況をつかむことはほぼできないだろう。

 そしてその処理不可能な脳みそが暴走し、取り敢えず俺を叩く結末へと至るのだ。


 事実彼女は、右手を大きく上げて俺の左頬へぶつけようとする。


 しかしその俺の予想は、大きく的を外れることとなった。





「なっ...何よ、じろじろ見て。そんなっ、可愛いっていきなり言われても、どうしたら良いのか分からないでしょ?皆にはちびって言われてたから初めて可愛いって言われたし...」


 彼女は大きく上げた手を膝へ降ろし、右横を見て目線を合わせないまま答えた。肩を少し揺すぶりもじもじしながら。

 確かに彼女はあたりの強い人。しかしいきなりの不意打ちには弱く、所謂「ツンデレ」であった。


 え?これでツンデレって、もうサイコーじゃないか!!俺はこの時、そう確信したのである。




   ♦♦♦




「そういえば、どうして俺はまだ生きているんだ?」


 あれから少しの時間が経ち、2人ベッドの上に座った俺らは打ち解けていた。彼女「ルイ」は、ツンデレであり、陽キャであった。自分の意見を強く主張できる’ツン’の部分があるお陰で、話題を次々提示してくれる。

 俺はその話題について自分の意見を述べるだけでよいので、陰キャの俺でも簡単に打ち解けることができたのだ。


 そこで、俺はまず自分がマヒ毒にかかったうえ河に落とされたのに死んでいないことについて聞いてみた。




「え?あぁ、河に流れていたあなたを国から1人1つ支給された「ハイポーション」で助けたからよ。」


 その俺の質問に、ルイは良くRPGゲームで聞く言葉を放つ。”ポーション”だ。しかし実際に俺はRPGをあまり行っていない。それに加え、この世界でのポーションは元の世界で一般的に知られているポーションと違うかもしれない。


 俺はポーションについて詳しく聞くことにした。




 ポーションの詳細は、大体が元の世界と同じだった。

 種類は性能が低い順に、「ミニポーション」「ローポーション」「ハイポーション」「フルポーション」があり、フルポーションまでなると100%傷がいえる。


 フルポーションを使った場合、完全に体力は回復し、自分にまとわりついていたマヒやドク、火傷痺(ファイアマヒ)などの妨害効果を完全に消去できるらしい。

 ハイポーションもフルポーションに近い性能だが、完全に回復できるわけではなく、擦り傷やちょっとした後遺症なんかが残ってしまう恐れがあるのだとか。

 そして、俺が使われたハイポーションの後遺症として、髪の毒による変色が治らなかったことに気付くのは、少し後の話である。



 さて、今の所良いこと尽くしのポーションだが、勿論デメリットも存在する。

 その一つが、”値段”だ。


 ポーションの値段は、フルポーションが1個40万G、ハイポーションでも10万Gと、あまりにも高すぎる。

 そのため一般の人が買うことはできない品なのだ。ルイが一般人なのかは分からないが、この部屋を見る限り、貴族のような身分ではないだろう。おそらく一般人。買うことはできない。

 それにもしも1つ買えたとして、それを知らない相手に使うことなど普通ならまずありえない。




 そこで次に聞いたのが、先ほどルイが言っていた「国から1人1つ支給された」と言う言葉の意味についてである。

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[気になる点] ハイポーションを飲んだのにフルポーションの説明があり、 ハイポーションよりフルポーションの方が効果が高いのに値段がフルポーションの方が安いのはなぜですか?
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