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01 異世界召喚――

最弱職業の主人公が最強へと成り上がり無双する。

そんなありきたりな物語を作ってみたかったので始めました。

毎日投稿はできませんが、週3ぐらいはできるかな...?

是非、読んでいってくださいっ!

 荒れ狂う水流の中、俺は意識を朦朧(もうろう)とさせながらここまでのことについて考えていた。

 俺がこうして溺れるまでの経緯について。仲間の最低な行為について。




   ♦♦♦




「4890円になりまーす。」


 店員さんの営業的な声が響き渡る。

 ここはファミレス。そして俺「梅津ヒロ」は、今日も友達のためにレジでお金を払っていた。


 学校帰り、いつも俺と友達の計4人でどこかのレストランへ食事をしに行く。

 しかし俺の友達、「廣石エイ」「青木リン」「鈴木ナツミ」は毎日金欠な為、俺がお金を払っているのだ。

 まぁバイトする時間がないらしいし、お小遣いもないんじゃな。友達がお金持ってないって言うんだし、しょうがないよな。

 俺は毎週そう思い、土日にアルバイトで貯めたお金を使い果たすのだ。




 今日はショッピングモール内にある高級アイス屋さんに来ていた。


「なぁヒロ。俺、このアイス食べたいわ~!」

「あ、私も。ナツミっちもいるよね?」

「当然!ヒロ、私のもお願い~」


 今日はチョコチップが入ったこのアイスが食べたいらしい。


「わかった!3つね。買ってくる。」


 俺は元気にうなずき、アイス屋さんへと入って行った。




 アイスは3つで3000円もした。

 いやぁ~、流石に高すぎでしょ。さすが高級アイス店なだけある。俺の手持ちは3500円ほどだったため、自分の分を買うことができなかった。

 でも友達のためである。金欠で何も買えない友達のため。友達には優しくするというのが俺のモットーなのだ。


「はい!チョコチップアイス。」


 俺は友達にチョコチップアイスを渡した。


 っと、その時ーーー、



 俺ら4人の下に光が現れた。

 そしてその紫色の光は、幾何学模様(きかがくもよう)へと変わる。


 その現象に俺らも驚いたが、当然ながら周りにいる民衆も驚いた。

 警察へ通報する者、ただ立ったまま呆然とするもの、発狂する者、写真を撮る者。ネットに拡散しようとしているのか、とても冷静なのか、冷静ではないのか。それは知らないが、この場所に様々な人間がいることはしっかりと理解できた。

 しかし、その者たちは後に全員が沈黙することとなる。


 この時に起きた出来事。それは、さらにその光「魔法陣」が光をよりいっそ強め、俺たち4人を完全に包み込んだという事である。

 まぶしすぎて目を開くことさえ許されない状態に、誰もが無言のまま佇む。


 この魔法陣はまるで生きているようだ。

 人間を求めているかのように人がいるところへと伸び、どんどん光で包んでいった。

 こうして誰もが身動きを許されないまま、現実ではありえない出来事に飲み込まれる。

 それがほんの一瞬の出来事だったのか、数分の出来事だったのか。知る者は誰もいないまま、約100人の人がこの世から消えたのである。


 



 監視カメラにはこの魔法陣が映っていなかった。しかしその場にいた人間、およそ100名が同時に消えたことはしっかりと映っている。


 この怪奇現象は後に、「新時代の神隠し」としてひどく恐れられ、このショッピングモールが閉鎖されることになるのだが、この物語には関係ない話である。




   ♦♦♦




 両手で顔を覆って光をさえぎっていた俺は、その光が無いことに気付くのに時間がかかった。

 それでも、今の俺たちの状況を脳へ読み込むのに時間はかからなかった方だと思う。


 まず初めに目へ入って来たのは巨大なガラス。見たことはなかったが、スタンドガラスというものだろうか。

 長さ数メートル、いや数十メートルはあったであろうそのスタンドガラスは、妖怪のような化け物と、金の剣を持った剣士が戦っている絵がはめ込まれていた。実にロマンチックな柄である。


 それがロマンチックなのかと聞かれたらほとんどの人が首を横に振ると思うが、俺の好みにはドンピシャ。心が思いっきり揺すぶられた柄だ。


 ん?スタンドガラス?なぜ俺の目にはスタンドガラスが入っているんだ?確かショッピングモールに居たはず。そしてそのモールにスタンドガラスは1つもない。俺の知る限りは...多分。


 そして次に俺の耳へ入って来たのは、大勢の人の声だった。

 泣いている子供もいればスマホで電波が通じるか試している女性の声もある。この時に俺が、


(今大事なことはそれかよ!)


 と心の中で突っ込んだのは内緒である。

 だってそうじゃん。なんでこんな状況でスマホの電波が一番大事なんだよ。皆だって、突っ込みたくなるよね?ね?

 しかし俺がこのスマホをいじっている女性の音を真っ先に聞きつけたのには理由があった。普通に考えて、スマホの小さな音をすぐに感知することなんてできないだろう?

 その理由はー、

 その女性がめっちゃ可愛かったからっ!!

 黒髪で地味な俺とは違い、彼女は明るい赤茶色の髪だった。ロングとショート、どちらの髪形も似合いそうな顔立ちは、もう何も言えない。

 俺の頬が赤くなるだけでは終わらなそうな美しさと可愛さがそこにはある。それに加えて俺好みのショートふわふわヘアと来た。

 制服からして隣の女子高の生徒だろうし...後で声かけてみようかな///でも、俺みたいな地味キャラに興味はないよな。


 俺は1人で何に興奮して何に冷めたのだろう。


 まぁそんなことは置いておいて、3つ目にようやく今居る場所について理解することができた。

 その場所は、簡単に言えば王宮の中にある広場...だろうか。きちんと天井があり、数本の大きな柱で支えられている。床は大理石のようにつるつるな石で、ヨーロッパの貴族が王宮でパーティを開く時に使う会場、そうはっきりイメージさせる広場だった。


 状況把握はそのぐらいだろうか。


「とっ、とにかくエイ君たちを探さなくちゃっ!」


 俺は冷静になり、エイ君たちを探し始める。この場所にはショッピングモールに居た100人前後の人しかいないようだし、その中に俺と同じ高校の人はエイ君たちしか居なかった。

 つまり、この場所で彼らを見つけられなかった場合、自分が話せるような人はいないという事。今起こっている状況が理解できないからとは言い、話し相手は欲しいのだ。





 俺が走りエイ君たちを探し走っていると、


「ようこそ英雄様方。少々驚いたかもしれませんが、まずはこちらの席へお座りください。」


 そう話す大きな声が聞こえた。まるでマイクを使い拡張しているような声が。


 俺はまずビビり、腰を抜かす。攻めたければ攻めろ。どうせビビりでチキンな弱虫人間ですよ!べっ別に、他の人だってビビっていた人多かったし~。


 はぁ...。そんなことは置いておこう。問題は誰がどこからどのような意味の言葉を発したのかだ。声を聴いた感じ、そこそこ年を取ったジジイといった感じだが、残念ながらこの100人の中に50歳以上の人はいないだろう。まぁ平日学校終わってすぐのモール利用者なんて大体が学生なのだ。その中に50代以上の人が入ろうとしないのは当然である。

 この広場を一通り走ったが、マイクらしきものを持っている人はいなかった。それにもし小型マイクがあったとしても、巨大スピーカーが無くてはいくらこの大きさの広場でもここまで反響はしない。

 では一体誰が......


 そう思った瞬間、大きなスタンドガラスが左右2つに割れる。どうやら、このガラスは扉だったようだ。

 さらにその奥にはレッドカーペットが引かれた階段。俺らに話しかけた者は、俺たちをこの先へ導いている様子だった。




 次の途端、俺の周りの人たちがその階段へと歩き出す。

 確かに他に行き場所が無いからしょうがないが、そんなに簡単にこの場所を調べても良いのだろうか。そこに入ったらまた別の場所へワープしてしまう可能性だってあるわけだし、そう簡単に入ってはいけないはずだ。

 それに俺たちを包み込んだ魔法陣らしきものだって何なのかわかっていない状態だなのだ。そもそもどうして俺たちは今ここに居る?

 あぁもう!考えれば考えるほど増える謎に頭が追い付かなくなってきた。



 そうした迷いが、俺の足をスタンドガラス奥にある階段へ運ばせた。

 あれ?ひょっとすると、他の皆も俺と同じように混乱して取り敢えず足を進めたのかもしれない。




   ♦♦♦




 場所は変わり、大きな丸い水晶が置かれた部屋。

 何だかんだ言ってエイ君とは会うことができ、今は他の2人とも合流をした。


 よく見るとこの部屋も豪華である。隅々まで行き届いた手入れ。最先端の職人芸だと思わせる美しい模様の壁。何より、この巨大な紫色の水晶が部屋にあることで、部屋そのものが輝いているようだった。

 おまけに付け加えて豪華な椅子に座ったジジイ。......え、ジジイ!?

 おい誰だよこんな神聖っぽい空間に白髪で長髭のジジイを置いたやつ!あぁぁ!!さっき俺らを呼んだのってこのジジイ!?


「このクソジ...


 俺は言いかけてそこでやめた。

 理由は簡単。そのジジイはがとても偉そうな服を着ていたからだ。白いラインが入った赤いマントのようなもの。普通に考えて、一般人がこのような服を着ているとは思えない。大体こういう物語は、こんな感じの人が賢者か王様をやっているのだ。そして偉い人の前で暴言を吐いたモブキャラは、すぐに処刑されてしまうのがオチ。それに加えて俺は暴言吐くようなキャラじゃないし...ね?乗りツッコミもとい乗り暴言は良そう。


 しかしそんなことを考えたのは無意味へと化す。


「なんだよクソジジイ!!お前が俺たちをさっきの場所からここへ呼んだのか?だったら答えろ!ここはいったい何所だ!」


 俺が自分に言い聞かせて処刑を逃れたと同時に、エイ君が絶対偉い人に向かって暴言を吐いたのだ。

 ちょっとエイ君...それはないんじゃないのかな?だって相手は多分、王様だよ?いや、賢者かもしれないけど。


 それにやめたほうが良いと思う俺の意思を込めた笑みにも気づかずに頷くリンやナツミたちも同罪だな。


「ははっ、ここは君たちにとっては異世界だよ。どっちにしろ説明は今からする予定だったから良いが、一応わしは一国の王だからね。次、そんな態度を取ったら、殺すからの。」


 笑顔で笑いながら怖いことを言ったそのジジイは、最後の言葉を言うと同時に指を鳴らした。

 何このジジイ。怖いんですけどっ!!


 そして鳴らされた指に反応するかのように、ジジイが座っていた椅子の後ろにある扉から兵士たちが入ってくる。

 さすがにこれには皆が驚いた。腰を抜かした者だっているし、写メを撮っている女性だっていた。っあ、ネットは使えなかったけど写真は撮れたのね。


 そんな訳で、俺ら100人の人たちは、ほぼ強制的に!なぜ自分たちがここに居るのか、そして何をしなければならないのかを聞くこととなったのである。

1話、最後まで読んでくださりありがとうございます。

「ブックマーク」と、

「ポイントを入れて作者を応援しよう!」のポイント、

小説を書く上でのやる気につながりますので、

面白かったらお願いしますっ!

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