indifference
暇すぎて死にそうですわ。
「……っはぁ」
洗面所に酷いにおいが立ち込め、彼女は思わず顔をしかめた。
また吐きそうになるのを抑え、冷静になろうとする。
胃から込み上げてきたものを、無理やり飲み込んだ。
あくまで冷静でいようとする彼女は、目の前にある鏡を見て、自分の醜態を鼻で笑った。
自分の吐瀉物と赤子のように汚れた口周りを洗い流す。
蛇口を捻り、ドロドロと流れていくそれを呆然と眺めた。
うがいをする。うがいをする。
ー少しして、彼女は自分の部屋へともどった。
制服に着替えながら、壁掛けのカレンダーを見る。
12月7日 おわり
そう記されている。
彼女にとって、本当に自分の文字なのかと疑うほど、弱々しく書かれていた。
2限目が終わろうとする頃に、彼女は家を出た。
3限目の半ばで教室に着いた彼女は、3限が担任の教科であることを酷く恨んだ。
「また遅刻か」
「……」
「……生徒指導室だ」
「……はい」
彼女にとって、生徒指導室というのは説教の場でも相談の場所でもない。
女子高生に対する性欲にまみれた男教師の悦楽の場だ。
気弱で大人しい、それでいて整った顔立ちの彼女は、飢えた男たちにとって格好の的だった。
その発端となった担任は、こうして彼女を「誘う」のだ。
やはり誰にとっても授業というのは退屈を極めるものだが、高校三年生のこの時期だと話は変わる。
でもそれは、彼女には関係のない話だった。
だって、明後日には終わるのだから。
バレないように肩肘をつき下を向き、彼女は目を瞑る。
夢の内容が、鮮明に思い出される。
本来解放されない屋上に彼女が登れたのは担任のおかげだ。
元々は、カバンに常備してあるカッターナイフで首を掻っ切る予定だった。
しかし、担任からの「誘い」があったから、特別に上がらせてもらった……というのが一連の流れ。
いずれにせよ、死ぬつもりなのに変わりはない。
それはそれでいいと、彼女は思った。
((´^ω^))ゥ,、ゥ,、
特に書くことがなかった。