表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
将軍王のココロザシ  作者: TAK
第一部第一章~ケンウッドの旅立ち
9/159

示された道

父であるロイ王の放つ大いなる威厳の中、ケンウッドは緊張の中で思い口を開いた。

「父上…、僕は…、ヨシーナ王女を救うために…、多くの兵を…、犠牲にしてしまいました…。そんな僕に…、これからもヨシーナ王女を…、守れだなんて無理です…。」

「わしはジジョッタと共に守れと申した筈だが。」

「あの時…、ヨシーナ王女を救えたのは…、まぐれだったと…、僕は思うんです。そのまぐれが…、何度も続くとは…、思えません。」

「そのまぐれを、まぐれではないようにするのだよ。」

「父上ならば…、どうするのですか…?」

「わしにもわからぬ。ただ一つだけ言える事は、『二人だけで彼女を守れ』とは申しておらぬという事だ。」

「という事は…、他に人が必要という事ですか?」

「いかにも。多くの人やカムイ等と出逢い、彼らと手を携えるのだ。いつか、お前の生涯の友となる者も現れよう。」

「父上、カムイとは一体どんな存在なのでしょうか?今朝の捕虜を解放する際に、ヨシーナ王女がカムイに例えられていましたが…。」

ケンウッドは『カムイ』という言葉の意味が気になった。

「カムイか…、自然界の物質を魄とする神秘の存在だ。美しい女性の姿だったり、動物の姿だったり…と様々な姿をしておる。このミドルガルドを離れ、カムイと絆を深めつつ、『英雄』としての研鑽(けんさん)を積む事がお前の今後の道標となるだろう。それから、お前は明日からトラスティア第一王子『ケンウッド=フォン=トラスティア』ではなくなるのだ。第二の名前を考えておくが良い。」

「はい。それで、僕らが向かうべき場所はどこになるのでしょうか?」

「このグリーン地方の森に続く道の奥に緑の世界・『グルンガルド』がある。そこの『四つ葉の騎士団(クローバーナイツ)』に行くが良い。」

「父上、グルンガルドとはどんな場所でしょうか?それから、四つ葉の騎士団とは?」

ケンウッドはあまり馴染みのない言葉に食いついてきた。

「『グルンガルド』は緑に囲まれた世界だ。我々『ニュートラル』以外にも様々な種族が生活しておる。『四つ葉の騎士団』は空高くそびえる大樹を拠点とする国境なき騎士団だ。自分達のガルドの秩序を守るのは勿論、英雄の育成もやっておるぞ。」

「はい、それから僕らがニュートラルとは一体?」

ケンウッドは自分たちがニュートラルと呼ばれている事について気になった。

「『ニュートラル』はミドルガルド全人口の九割以上を占める種族だ。他のガルドだとニュートラル以外の種族とも出逢う機会が増える。種族の垣根を越えて彼らと手を携えると様々な事ができるようになるはずだ。カムイと絆を深める事と同じくらい重要だぞ。」

「わかりました、父上。」

「うむ、話は以上だ。わしは明日の準備をしておく。お前もゆっくり休むが良い。」

「父上、色々ありがとうございます。それではお休みなさい。」

ケンウッドは父に一礼し、自分の部屋に戻って寝床に就いた。


そして一夜明け、七の月の九の日…遂に出発の刻を迎えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ