霧仕掛け
グルンガルドの森を抜け、ブラーガルドに出たケントとジジョッタだった。
「とうとう森を抜けたね、ジジョッタ。」
「ブラーガルドはわたくしも初めてです。」
二人はアクアヘイムに続く街道を進んでいった。
(一見平穏に見える周囲…、しかしどこか不穏な感じが…。)
何気なく進んでいくうちにジジョッタは何かに気づいた。
「どうしたんだ、ジジョッタ。顔色でも悪いの?」
「…いえ、何でもありません。(…また誰かに後をつけられているような気が…)」
「もうすぐ、アクアヘイムだ。あそこに着いたらゆっくり休めるぞ。」
アクアヘイムの関所が見えてきた時、突然霧が二人を包み込んだ。
「な…何だ!?」
ケントは霧で突然視界が遮られて動揺した。次の瞬間、ケントに何者かが覆いかぶさってきた。霧が晴れ、ケントの上に覆いかぶさっていたのはジジョッタだった。そして、男性の声がした。
「変わった剣を持つティーンよ、運が良かったな!今、連れの女がいなかったらお前は連れ去られていたところだ。」
声の主はケントとほぼ同じ歳のティーンの男性だ。男性は黒装束で、いかにも『戦の申し子』と揶揄される位の戦い慣れしている雰囲気だ。
「お前は誰だ!?何故僕をつけ狙う!?」
ケントは男性に問いただした。
「俺か?俺は『BBB団』のティーン兵『ベム』だ。お前もBBB団に来い。BBB団なら誰でも最強の英雄になれるぞ。」
ベムと名乗った男性はケントを勧誘した。
「お断りだ。」
ケントはきっぱり断った。
「ほう…、最強の英雄になれる絶好の機会をむざむざ拒むとはな…。なら、お前を殺ってその剣奪ってやるよ!」
ベムは二振りの短剣を構えてケントに迫ってきた次の瞬間…、ベムに向かって一矢が飛んで来た。
「むっ!」
ベムは矢を短剣で斬り落とした。矢が飛んで来た元には紺色のハイヒールに、左胸に雫の紋章が施された青装束にて吊り目の美しい女性騎士が弓矢を携えて立っていた。彼女の背後には複数の兵士もいた。
「BBB団よ、通行人への狼藉は許しません!」
女性騎士はベムに言い放った。
「くっ、『BT』か!ティーンよ、命拾いをしたな!運が良ければまた会おう!」
ベムは自らを霧に巻いて退散した。
「あなた達、大丈夫?」
「はい…。それより、BBB団にBTとは一体…?」
ケントは女性騎士に尋ねた。
「BBB団は『ミストヘイム』を根城とするブラーガルドのテロ組織よ。フルネームで『ブラックブルーバンディット団』。わたし達『ブルートルーパーズ』、略してBTはドロップナイツ管轄のブラーガルドの自衛のための組織なの。それよりあなた達、お名前は?」
「僕はケントと言います。」
「わたくしはジジョッタです。」
「ケントとジジョッタね。わたしは『アジューリア』。BTの『フレッシュオーバー』よ。」
「あの…、フレッシュオーバーって一体…?」
「19歳を過ぎたばかり、要するに20歳という意味よ。」
「わかりました。アジューリア様、僕達はこれから雫の騎士団の団長にこの書状を渡しに来るところなんです。ご案内頂けないでしょうか?」
ケントはアジューリアに頼んだ。
「わかったわ。あなた、BBB団に狙われているし、それを守るのもBTの務めだしね。」
二人はアジューリア達の案内でドロップナイツのアクアポリスに無事に着く事が出来た。




