プロローグ
初投稿です。
拙い文章では御座いますが、楽しんで頂ければと思います。
なるべく、毎日更新を目指して、行ける所まで行ってみようかと。
(短い文章になってしまうかもしれませんが)
どうぞ、宜しくお願い致します。
※ 21/2/25 改定 (誤字・脱字、および、一部の表現が適当なものでは無かった為、追加・修正しました)
──このままだと、世界に居場所が無くなってしまう。
──このままだと、世界が嫌いになってしまう。
──このままだと、世界へ復讐してしまう。
――このままだと、世界を滅ぼしてしまう。
──このままだと、世界は無くなってしまう。
――このままだと、世界と離れてしまう
――このままだと──……
☆
暮れるお日様が西の森の頭まで低くなり、辺り一帯が茜色に染まる中、今日も僕は地面に長く伸びる影と睨めっこしながら家路につく。木々の葉色が濃くなり、そろそろ森の動物たちが冬篭りに忙しくなる時期だからだろうか、段々陽が暮れるのも早くなってきていた。
辺りに木々が点在する、人が二人横に並んで歩ける位の道幅しかない野道を歩き、村の学校から家までは歩いて30分ほど。その時間内にこの気持ちを整理し、誤魔化し、心を塗りつぶす。 家にいる母と妹を心配させない様に。
「はぁ~……」
今の心を表している様なトボトボとした重い足取りだったが、家は確実に近くなっていた。
「そんなに、召喚士は悪いスキルなのかよ……」
家に着く前に一度大きく溜息をついて、気持ちを切り替える。さっきまでいた学校での嫌な出来事──自分のジョブがバカにされた事──が、溜め息と一緒に出ていってほしかったが、そう上手くはいかなかった。しゃがみ込み、昨日降った雨で出来た水溜まりに顔を映すと、父さん譲りの黒髪黒目の男の子が暗い顔をしていた。頬に軽いアザが出来ていて、思った以上に酷い顔だ。
「無能、無能って、ほんとあいつらは、毎日飽きもしない……」
所謂イジメというやつだ。 最初のうちは陰口くらいだったので気にもしていなかったが、その態度が面白くなかったのだろう、日が経つにつれイジメの内容も酷くなり、彼らが暴力を振るう様になるまで、そんなに時間は掛からなかった。
「ほんと勘弁してほしいよ……」
溜息一つ位では気持ちを整理出来る訳も無く、道端の石を半ば八つ当たり気味に蹴っ飛ばす。勢い良く飛んだ石は草むらへと突っ込んでいき、驚いた虫が顔を出した。そんな事を繰り返しながら家の前に着いた僕は、身の回りを確認し、汚れの付いたズボンを軽く払ってから、玄関を開けた。
「——ただいま」
「あ、お兄、おかえり!」
「あらユウ、お帰りなさい」
「うん、サラ、母さん、ただいま」
玄関から続く廊下の先にあるリビングから、妹のサラの元気な声と母さんののんびりした声に迎えられ、家へと入って行くのだった。