表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
132/236

冒険者ギルド

 

 △  ユウ視点    △



「―ここが、冒険者ギルド、か―」


 石鶏亭を出た僕達は、宿の女将さんに教わった道を進みながら、イサークの冒険者ギルドの前に着いた。

 ちなみにオグリは、宿屋の裏にあった厩舎に預けてきている。詳しいとは言えないイサークの街を、馬と馬車を引き連れて移動するのは、少し骨が折れるからだ。馬車は馬車置き場に置かせてもらった。


「ここも石積造りなのね……」


 冒険者ギルドの建物を見上げるアカリが、そう口にする。日乃出には木造の建物しか無かったから、よほど珍しいのかもしれない。

 冒険者ギルドも、他の建物と同じく石が積まれて造られた、二階建ての建物だった。高さが低い分、面積は広くて、大通りに建っていたあの高そうな宿が、二つ建てられる程の広さ。くすんだ茶色の両開きの開き戸が正面にあり、外観には窓以外に余計な装飾などは無く無骨な雰囲気。まさに冒険者ギルドって感じだ。


「お兄、早く中に入ろうよ~!」 サラが僕の手を取り、催促する。

「あぁ、行こうか」 サラに導かれるままに、両開きの開き戸をギィっと開け、中へと入る。


 ギルドの中は閑散としていた。お昼前のこの時間だからなのか、冒険者の姿は見られない。

 正面には受付用だろうか、若い女性の人が数人立っているカウンター。その奥には木棚と、二階に上がれる階段が見える。

 右奥に体の大きな男の人が二人居るカウンターが有る。あっちのカウンターは何用だろうか。

 さらに左奥には、食堂兼酒場だろう円卓が10卓程とカウンター席が見えるが、今は誰も座っては居ない。


「……広いな……」 率直な感想が漏れ出た。キョロキョロと辺りを見渡していたサラも、「広いね~」と驚いている。


「そう? そんなに広いとは思えないんだけど」


 ここよりも広い場所に住んでおられたお姫様だけが、別の感想を口にする。そりゃ、あのお城や橘のお屋敷に比べれば、そこまで広くは無いんだろうけどさ。


 初心者宜しく(いや、初心者なんだけど)、何をして良いのか判らずに立ち尽くしていると、


「そこのお三人さん、どうしたのかな? 依頼の発注かな?」


 正面の受付カウンターに立つ女性のうち、明るい茶色の髪をした女性が僕達に声を掛けてきた。


「いえ、そういうわけじゃあ―」

「まぁ、そこじゃ邪魔になっちゃうし、こっちにおいでよ。ね?」


 痛くしないからさ♪と手招きするので、その女性が立つカウンターの前に進む。

 そして、僕たちがその女性の前に立つと、女性はカウンターに肘を突いて上目使いで、


「で、今日は何のご用事かな?」 僕達に質問してくる。

「今日は―」 そこで振り返り、後ろに立っているサラとアカリに視線を向けると、二人とも頷いた。それに頷き返すと、再び正面を向いて女性に用件を伝えた。


「僕たち、冒険者になりたいんです!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ