70話 わりと放置
「リーベっ!!リーベッ!!」
私が念のために張ったバリアに勝手に激突し、大地に落ちていった金髪ハーレムをクロムが受け止めた。
金髪ハーレムは情けない顔で意識を失っている。
流石にこの姿は美女でも残念顔になっていた。
「貴様っ……!!よくもリーベを………
か弱い女子から狙うとはなんて卑劣な……」
やや演技じみてはいるが怒りに満ちた目でクロムがこちらを睨みつけてきた。
え、狙うって、攻撃してきたのそっちですよね?
「クロムやっちゃうニャー!!」
「ああ、その目も素敵ですっ!!もう抱いてください!!」
と、獣人とサキュバスハーレム。他のセリフもどうやら言えたようだ。
しかし抱いてくださいとしか言えないのかサキュバスは。
クロムは金髪ハーレムを抱き上げて、キっと私たちを睨む。
「え?あれって私達のせいなわけか?」
思わずコロネとリリを見るが、二人もぶんぶんと頭を振る。
「君たちは、僕を怒らせた。
この街には手を出さない予定だったけれど……怒らせた罪は重いからね?」
言って、魔法を唱え始める。
魔法の詠唱のでだしからすると炎系の魔法なのだが、広範囲魔法でかなりの高威力の魔法だ。
てか、何故そんな長々とした詠唱を敵の目の前ではじめるのだろう。
待つわけがないじゃないですか。
これでよくレベル上げできたな。わりと戦闘はドラゴンに任せっきりだったんじゃないのかこいつ。
「僕のリーベに手をだしたことを後悔するんですね!!」
クロムが言った途端。
ひゅん!!
私が問答無用で全員石化させるのだった。
△▲△
「あああ、精神ダメージがでかかった」
クロムご一行を全員石化させアイテムボックスに放り込み私がぐったりしていると
「……猫様は、共感能力が高いのでしょうか?
猫様が恥ずかしがる事はないと思うのですが」
と、コロネ。
「リリ、知ってる!こういうの!かんじょーいにゅーしやすいタイプ!」
と、胸を張るリリ。
ううう、放っておいてください
「でも残念。コロネの魔道具使いたかった」
と、コロネがかつてプレイヤー達に使った魔力核にあてると爆発する魔道具を握りしめていうリリ。
それ、クロム達が酷い事になる未来しか見えない。
子供って時には無邪気に残酷!
「所でリリ、あのプレイヤーから何か女神の事はわかったのか?」
私が聞けば
「リリ、コロネに頼まれて、コロネに記憶送った」
「はい。情報量が膨大なので少しお待ちいただけますか?並行思念で処理しています。
ただ、このプレイヤーに接触があったのは本当に最初だけのようですね。
こちらのレベルがあのプレイヤーより高かったのを知らないとみると、女神と接触はなかったのでしょう
あまりためになるような情報はありそうにありません
此方の世界でレベルを上げてこれから、活動する予定だったようです」
「だよなー。女神は知ってるわけだもんな。こっちのレベル」
面倒くさがらず教えてやればいいのに。
操ってるくせにわりとプレイヤー放置なんだよなあいつ。
本当何が狙いなんだろう?
……にしても、こうもエルフ領にプレイヤーが入れるのはやっぱ困るな。
いくらリュートがいるったって5ヶ所あるエルフの砦をいっぺんに襲われたらリュートとザンダグロムだけでは対応できないだろう。
もうちょっと何か対策をしないと。
とりあえず急ぎできることは街中に魔物や魔族が入れないように罠を設置することだろう。
今の私の罠なら、それこそレベル814超の魔族級の魔物でなければ入って来れないだろうし。
でも問題はプレイヤーだ。
私の罠もエルフ、人間、魔物などの指定はできてもプレイヤーは指定できない。
エルフ以外入れないと設定するにしても、種族エルフのプレイヤーに襲われたらそれまでだ。
出発するにしてもコロネが各地に魔道具を設置してからのほうがいいのかもしれない。
△▲△
「猫様、お待ちしておりました」
次の日。
神殿につくなり、リュートこと腹黒王子がにこやかに出迎えてくれた。
結局あのあと、コロネはプレイヤーが入れないようにする魔道具の作成を。
私はエルフの都市すべてに罠を張って魔物が入れないように設定することにした。
今の私のレベルならレベル814以下の魔物も入れないはずだ。
王族しか使えない転移の魔方陣を使うべく、リュートも連れていくことになったのだ。
リリとコロネとザンダグロムはグラッドさんの家でお留守番である。
っていっても魔道具作ってるから留守番は違う気もするが。
リリを連れてきてもよかったのだが、リリも子供同士で遊びたいだろうから置いてきた。
「今日は師匠達はご一緒ではないのですね」
と、私に紅茶を差し出しながらリュートが小首をかしげた。
「ああ、今日はエルフの住む各都市と神殿と聖樹にもう一度罠を設置しようと思って。
以前設置した罠だとレベル600までしか効果がないし。
レベルも大分あがったから、エルフの領土を出る前にやっておきたい」
「それは助かります。
ですが、国王の許可なく勝手に話を進めることはできませんので少々お待ちいただけますか?
許可をいただいてきます」
と、真面目な顔をして席を立つ。
私はその間、手持ちぶさに紅茶をすすった。
リュートが国王の許可をえて、戻ってくるのはそれから10分後のことだった。










