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69話 どらごんていまー

「セルディアの森に配置していたコロネ様の作成した魔道具が全て壊されました!!

 黒いドラゴンに乗ったプレイヤーがサウスヘルブに向かっているそうです!!」


 兵士の言葉に私たちが固まる。

 うん。なんだ。

 攻め込まれるとか話していたからフラグをたててしまったのだろうか。

 まさかこのタイミングで襲撃とか。


 くそう、フラグとか漫画とかアニメとかの話かとおもっていたのに!?


「リュートとザンダグロムは王宮で国王陛下達の護衛!

 私とリリとコロネはプレイヤーの撃退!OK?」


 正攻法ではなく魔道具を壊してはいってきたということは、ろくでもないプレイヤーに違いない。

 はじめから闘う気でいくべきだろう。

 私の言葉に、その場にいた皆がうなづくのだった。



 △▲△


「キシャァァァァァ!!!」


 ドラゴンの咆哮が、大空に響きわたった。

 サウスヘルブの城の城壁から空を見れば、ドラゴンに乗った一団がこちらに向かってきていた。

 身体強化のスキルで視力を極限まであげて見てみれば、プレイヤーが1人。そして女性が3人乗ったドラゴン4体がこちらに向かって来ている。

 レベルを鑑定してみれば……プレイヤー403に女性は350くらい。ドラゴンが全部レベル500。

 今まで相手をしてきたプレイヤーの中では高レベルだ。

 コロネからこの世界を牛耳っているプレイヤーのほとんどがレベル200と聞いているので、こいつらならその気になれば世界を征服できそうなレベルである。 


 ドラゴンに乗った4人はこちらに気づくとドラゴンに乗ったままこちらに話しかけてきた。



「やぁ、君が猫まっしぐらかい?」


 中年の男性だろうか。黒髪のなかなかイケメンのプレイヤーがいやに友好的な態度で話しかけてきた。

 少しは話の通じる相手っぽい。

 名はクロム。この人は間違って召喚されたプレイヤーの類なのだろうか?

 それにしては他三名が、いかにもハーレムです✩といわんばかりの美女ばかりなので油断はできない。


「そうだが。何のようだ?

 魔道具を壊して侵入してくるとか、随分ひどい事をしてくれるじゃないか」


 私が答えれば


「当たり前だろ?僕は君を殺しにきたんだから。

 これから殺しに行きますって宣言したら大人しく入れてくれたかい?」


 と答える。


 なんだよ。こいうも面倒くさいタイプか。


「殺しにきたとか穏やかじゃないな。

 あんたも女神の使いとかいうやつか?」


「あーそうだね。建前的には。

 まぁあんな怪しい女神なんていつまでも従う気はないけれど」


 にっこり微笑むクロム。


「じゃあなんでこっちを殺しにくる?」


「もちろん……危険だと判断したからさ。

 君PVPで有名だったしね。

 レベルを上げられて手に負えなくなるよりははやいところ潰しておこうかと思ってね。

 せっかく、他プレイヤーよりレベルを上げてこれから世界を征服って時に君みたいな危険分子を残しておくのは厄介だから……ね?」


 と、嫌に含みをもたせた言い方をしてくる。

 つかいちいち ね?とつけるのがウザイことこのうえない。

 漫画とかでみるとわりとカッコイイと思うタイプなのかもしれないが……リアルに相手をするとムカツクなこれ。



「たった、400レベル如きでか?

 こっちのレベルくらい鑑定でわかるだろう?」


 相手が殺す宣言をしてきたのだから敬意を払う必要などないだろう。

 流石にレベル400にもなっていればスキルポイントに余裕がでてくる頃だから鑑定くらいはとっているだろう。

 私がケンカ口調で問えばクロムが笑い


「まさか。僕にそんなはったりが通じるとでも。

 君のレベルは914らしいけど……どうせ鑑定スキルを魔道具で誤魔化しているんだろう?」


 物凄く勝ち誇った顔で言ってくるクロム。


「はぁ?何の事だ?」


 私が眉根を寄せて聞けば


「隠しても無駄だよ。僕が何の下調べもしないでここに来たとでも?

 君がこの世界にきたのはつい最近だ。


 ベガ、デネブ、アルという魔導士三人に呼ばれたはずだ……違うとは言わせないよ?」


「ああ、そうだな。

 まさかあの3人に何かしたのか?」

 

「いやいや滅相もない。僕そんな非人道的なことはしないからね?

 ……いまはまだ、ね?

 話を聞いただけさ。無駄な殺生はしない主義なんだからねぇ

 彼らに聞いた話ではその時点で君のレベルは200だった」


 言って顎を撫でながら空を見上げ


「この世界にきてたった1ヶ月くらいで、レベル900はありえないんだよねぇ。

 バグ技で手に入れたレベル500の黒龍をもっている僕達ですらレベル400にするのに2年かかってるのに」


 と、ニマニマした顔で言ってくる。


 一時期なぜかテイムしたドラゴンがレベル500になるというバグがあったのは確かだ。

 そのバグはすぐに運営が修正したがレベル500のドラゴンは没収はされなかった。

 しかし、自分と同レベル以下のモンスターしかテイムボックスから取り出せないという縛りが新たにできあがり、結局ゲームではテイムボックスにいれておくだけのタンスの肥やしモンスターになってしまったが。

 どうやらこの世界では取り出せるらしい。


 てか、レベル500のドラゴン従えてて、二年でレベル400とか時間かかりすぎじゃないか?


 と、私が思えば


『猫様が規格外すぎるのです。むしろ二年で400レベルは早いほうでしょう』


 と、コロネが突っ込んでくる。

 ああ――リュートに会う前に一回チャレンジミッションに挑戦したから思考だだ漏れ状態だった✩

 やだ。はずかしい。

 ここでブロックするか?

 いや、いきなりブロックしたら、忘れてたのモロばれするか?


『ネコ 大丈夫 その思考も伝わってる!』


 リリちゃんが笑顔で返してくる。

 いや、全然大丈夫じゃない。むしろそれダメな方。


「それに君たち3人が耳に付けているのは、魔道具だ。

 しかも幻覚系の。僕は一応この世界の魔道具も研究したからね。

 僕の目は誤魔化せないよ?」


 ――たしかに。耳には三人とも姿をかえる魔道具をつけている。幻覚系の魔道具だ。

 が、いざというとき用でエルフ耳になったり人間耳になったりと耳の形状の見え方をかえる程度の魔道具でしかない。

 私の方は魔力がだだ漏れしないようにする魔力セーブ機能がついてたりするけど。


「そうだなぁ。君たちの魔力量からすると高くてもレベル300くらいが妥当かな。

 ……どう違う?」


 と、物凄いドヤ顔で間違った推理をしてくる。

 魔力量だってこっちはセーブしてるのだからそれでレベルがわかるわけがない。


 いや、まぁ、なんとなく聞いているだけなら、そうなのかなーと思わせる推理なのだが。


「流石クロム様!名推理です!」


「流石だにゃー!」


「ああ、もう抱いてくださいっ!!」


 と、私たちが何か答えるよりはやくハーレム1号〜3号が口々にクロムを褒め称える。


『……猫様、どうなさいますか?』


 若干というか、かなり引き気味でコロネが私にパーティーチャットで聞いてくる。


『石化で速攻、アイテムボックスに詰め込もう!

 なんだか他人の黒歴史を目撃するって、よくわからないけど耐えられない!』


 答える私。

 他人事なのに、こうも間違った推理をドや顔で相手に披露しちゃうってマジ、聞いてる方が恥ずかしい!

 や、私も魔族に同じような事したから人の事言えなんだけど!!

 だからこそ、自分の姿を見せられているようで悶絶しそうになる。

 やーー間違った推理を聞くのがこんなに悶絶するほどの精神ダメージがあるなんて思わんかったわ!

 毎回ダメ探偵の間違った推理を聞いているメガネの某子供探偵マジ偉い。


「……どうやら図星だったようだね?」


 無言の私たちを見てクロムが勝ち誇ったような笑を浮かべた。

 いや、もう私のHP0よ!?これ以上間違った推理を聴かせるのはやめて!!


「クロム様っ!!まずはこのわたくしめがっ!!!」


 金髪美女が鞭を構えてこちらに殺意を向けてくる。


「あのNPCと幼女は殺すなよ?NPCは魔道具が作れるようだし、幼女はこちらで保護しよう」


 言っていやーな笑を浮かべるクロム。

 ずぞぞぞぞぞぞと、リリから寒気が伝わってくる。

 てか、うちのリリちゃんをハーレムに加える気とか一億年はやいわっ!


「さすがクロム様お優しい!!」


「流石だにゃー!」


「ああ、もう抱いてくださいっ!!」


 と、ハーレム達。いや、獣人ハーレムとサキュバスハーレムはヨイショの手抜きをしすぎだろ。

 さっきと同じセリフじゃないか。


「死ねっ!!猫まっしぐら!!」


 金髪ハーレムが、ドラゴンから飛び降り私めがけて飛んでくるが……


 べちっ!!



 私が貼ったシールドにそのまま突っ込んで、激しく激突する。


 ずる…ずるずるずるっ



 シールドに張り付いたまま、落ちていく金髪ハーレム。


 これは……痛そう。

 落ちていく金髪ハーレムを見つめ……しばらく気まずい沈黙が流れるのだった。


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