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64話 対策

「……にしても、何か対策を考えなきゃな」


 グラッドさんの用意してくれた部屋でコロネと食事をしつつ、私が呟いた。

 ちなみにリリちゃんは子供たちと仲良くご飯を食べている。

 まぁ、あれから慰めてあげたので、4人も元気を取り戻し、それなりに楽しく過ごしているようだ。

 ちなみにコロネの家はいまだ人がひしめいているらしいので帰れていないので、しばらくグラッドさんの家に居候することになったのだ。


「……対策ですか?」


 コロネが不思議そうに聞き


「だって、そうだろ。まだ自分たちがいるからよかったけど、もし誰も居ないときにレベル400の敵なんか沸けば、リュートでも倒せないし。

 私たちだっていつまでもエルフ領にいるわけじゃない。

 まだ山の結界が壊れて間もないから魔素が不安定なら沸く可能性もあるんだろ?」


 グラッドの奥さんがつくってくれたポテトグラタンを頬張りつつ言えば


「ああ、なるほどその件ですか。

 そうですね。エルディアの森はしばらく狩り等は禁止にする方針で話は進めています。

 見回るにしても騎士を400までレベルを上げることもできませんし。

 しばらくは他の街から転移の魔方陣で商品を仕入れる方針で行こうと思います」


 と、コロネ。


「そうなんだよなー。レベル400まで上げると身体が耐えられないっていうし。

 自分もギルドハウスにいければ守護天使連れてこれるのに」


 じゃがいもをフォークでぶすっとさしてつぶやく私。


 そう、私も、前領主を脅していたセムスのように守護天使を持っているのだ。

 しかも3体。そのうち一体は、カンナちゃんの護衛に付けてしまっているからいないかもしれないが、ギルドハウスに少なくとも2体はいるはずなのである。

 けれどこちらの世界からはギルドハウスには入れないらしく、肝心の守護天使を連れて来れない。


「……では、セムスから守護天使を取り上げてはいかがでしょうか?

 猫様もギルドマスターなら取引が可能だったはずですが」


 コロネの言葉にハッとなる。


 ……確かに。セムスもギルドマスターなら守護天使をぶんどる事が可能だが……


「でもこればかりは本人の同意が必要だろう?

 あのセムスが大人しく渡すとは思えないし……あれを相手にするのは正直嫌だなぁ」


 そう、延々とブラック企業の愚痴を聞かされそうで私はうんざりする。

 いや、可哀想だとは思うけど、他人の愚痴ほど聞いててつまらないものはない。

 好意を持ってる相手ならまだしも、嫌いな相手なら尚更。


「いえ、猫様のお手を煩わせませんよ。

 手はいくらでもあります」


 と、ナイフとフォークを置いてコロネが言う。

 その顔は……お前は悪役かというほど悪顔をしている。

 ……コロネでもこういう顔するんだね。

 なんとなく人畜無害なイメージがあったが、よくよく考えれば帝国に務めていた時代もあったわけで……。


 それなりに容赦ない事をしていたのかもしれない。


「ま、まさか拷問とか……?」


 私がビクビクしながらいうと


「まさか。こちらの世界にはプレイヤーが来るまではそのような文化はありませんでした。

 魔道具があるから必要がなかったというのもありますが。

 既に私もレベル800超えですから。

 レベル200のプレイヤー程度なら魔道具で意のままにできます」


「あー、なるほど」


 確かに、石化しているとはいえ、何があるかわからないし、セムスからは守護天使は取り上げておいたほうがいいかもしれない。


「じゃあ、お願いしようかな」


 私の答えにコロネはにっこり頷くのだった。

 物凄い悪い笑で。

 ……うん。コロネって怒らせたらダメなタイプなのかもしれない。



 △▲△



「おおー!!ロボット!!ロボット!!」


 初めてロボットをみたリリが目を輝かせて……なぜかつついている。

 結局あのあと、コロネに全てを任せてセムスから守護天使ザンダグロムを譲渡され……また容赦なく石化した。

 いや、だってほら。

 牢に入れておくにしてもレベル200じゃ脱走の危険があるし、仲間にするのも……女神が召喚したプレイヤーだから何があるかわからないし。

 け、決して愚痴を聞くのが嫌だとか付き合うのが面倒そうとかいう理由ではないはずだ。

 うん。断じて。

 だってねぇ。こちらを殺しにきたのは確かなんだから日本に帰るまでは石化しててもらおう。

 帰る方法がないとわかればその時はまた考えるし。


「ヨロシク お願いします マスター」


 女性ロボット型守護天使が挨拶し


「ああ、よろしくな」


 と、私も挨拶した途端。


 リリがトコトコとザンダグロムを突っつきはじめたのである。


「すごい!!ロボット!猫がもってた漫画みたい!!」


 と、目を輝かせてザンダグロムをつんつんと棒でつついている。

 しかし、なぜつつくし。



「しかし、本当によろしいのですか?私の護衛に付かせて。

 レベル900クラスの守護天使ですよね?」


 と、リュートがザンダグロムを見ながら言う。


 そう――ザンダグロムを譲渡されたあと、大神殿攻略が終わったらリュートの護衛になってもらうために呼び出したのだ。

 ほら、だって、転移の魔方陣が使えて、ザンダグロムと一緒に行動できるレベルっていうとリュートくらいしか思いつかないし。

 それに精神世界で守ってやると約束したしね。


「約束したろ、虐める奴は全員ぶっ飛ばしてやるって。

 ザンダグロムがいれば、突っかかってくる奴もいなくなるだろうし。

 大神殿の攻略を手伝ってもらったあとはリュートの護衛についてもらおうと思う」


 ニシシと悪い笑を浮かべて言えば、リュートは、くすりと笑い


「本当に、猫様は……師匠が崇拝している気持ちが少しわかった気がします」


 と、微笑む。


「コロネは単に変態なだけだろ。


 ザンダグロムもそれでいいか?

 これからリュートを護衛命令対象にするけど」


 私が聞けば


「イエス マスター」


 と、直立不動のまま答える。


「じゃあ、頼むぞザンダグロム。リュートを守ってやってくれ」


「イエス マスターの 望み ザンダグロム の 望み」


 と、なかなか可愛いことを言ってくれる。

 なんだか自分の守護天使にしたあと、即効でリュートにつけて悪いことをしたかな?

 とも思わなくもないが、エルフ領にもいつ女神がちょっかいをだしてくるかわからない以上、ザンダグロムにはエルフ領に残ってもらうしかない。

 私はぽんぽんとザンダグロムの肩を叩くのだった。

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